9月21日 ロカ岬、シントラ観光

 本日の予定はロカ岬を回ってから、シントラの観光である。
 ロカ岬に行くバスは本数が少ないのでバスの時間に合わせてカスカイスまで行かなくてはならず、今日も宿で朝食を取っている余裕はなさそうだ。
 8時前に宿をでて近くのバイシャ・シアードから地下鉄でカイス・ド・ソドレまで1駅だけ移動し、カスカイス線に乗り換える。
ホームに上がると去年と電車の様子が違う。アレ?新車を投入したのかなと思ったが、車両全体のディティールは在来車と変わってない。
 どうやら車体をリニューアルした様だが走行装置関係は昔のままだ、中には車体にトラス棒がついてままで、日本なら戦前の車両かと思わせるような物まで混じっていた。
 車内もきれいに改装し、疎い人なら新車といわれたら信じてしまうほどの変わり様であった。古いタイプの在来車は今年あたりで見納めになるかもなあ。
 電車に揺られること約30分でカスカイスに到着、のどが渇いたので構内の自動販売機で紅茶を買おうとしたら、故障していたらしくお金だけ取られた。
 しまった、ポルトガルの自販機は比較的ちゃんと動作していたので油断した。160エスクードを飲み込まれてしまったが、油断したこちらが悪い、あきらめよう。
 9時すぎにロカ岬を通るバスが来るので、それまで海でも見て過ごすが、どうやら他にも1人、日本人がロカ岬に行くらしい。
 でも互いに微妙な間合いを取って声を掛けるタイミングを失したようだ。やっぱり海外では日本人には声掛けられたくないのかなあ?
バスは5分ほど遅れて到着し、乗り込むとすぐ出発となった。
去年この路線のバスに乗って無茶苦茶飛ばして結構怖い思いをさせられたが、今回の運転手はそれほど無茶はしないようなので一安心。でも日本のバスに比べたら、比較にならないほど飛ばしてる。
 約30分でロカ岬到着、2度目のせいか去年に比べると感動が無いなあ。
最初にすべきことは、インフォメーションで到着証明書を書いてもらうことで、去年は2種類あるうちの高い方を購入したので、今回は安い方でいいやと思っていたら高い方はデザインが変更されていた。
 うーん2枚買うか?とも思ったが、また来るための口実にしようと1枚だけ購入することにした。
 今回の番号は36984で去年は66700だったから、どうやら2種類の証明書の番号はバラバラみたいだな。
 証明書を手に入れた後は、カモイエンスの碑の周りで大西洋を眺めながら考えたこと言えば、「いつかコンコルドでこの海を越えてやる!」位だった。
 去年はどっぷり感傷に浸っていたが、今年は全然そんな気にならなかった。いやなれなかった。なぜなら、周りには日本人の観光客しかいないからである。
 私が到着して大して時間をおかずにツアーバスが到着したが、そのほとんど日本人だった。中にはJTBのツアーも含まれ、こんなとこでJTBのマークを見かけると、なんだか脱力してしまう。
 このとき、ロカ岬における日本人の比率は7割を超えており、どっか国内旅行をしていて、外人の観光客が混じっているような錯覚におちいるほど、周囲では日本語が氾濫していた。
 急に興ざめになり、インフォーメーションの近くでバスを待っていたら、また一台ツアーバスが到着し、中から日本人らしき人たちが降りてきたので、ロカ岬は日本に占領されとるなあ、などと思っていたら1人の若い男性がインフォメーションに向かってくる。目が合ったので挨拶したら相手の発した言葉は「アニョハセヨー」だった。
 あ?何だ韓国の人達だったのか、英語で簡単に話をするとこの人はツアーコンダクーだとのこと、去年ソウルに行ったよ、みたいな話をしたらまた来てくださいと言っていた。
 私が一人旅だと知ったら、それはすごいとお世辞を言ってくれたが、結構寂しいもんだと言ったら笑ってた。でもこんな遠いとこで、韓国の人と話ができるのも何か不思議な気分だ。 
 さて、次は11時のバスでシントラに移動だが、途中でシントラ−アトランティコ・トラムの始発駅を見つけたので、あわてて降りる。
 このトラムは以前ロカ岬に向かうバスに沿って線路が敷かれていたので、何か走っているのかなあなどと思っていたが、リンクさせていただいている中尾氏に質問して教えて頂いた路線である。
 ただ、当日運行しているかどうかは確認が取れていなかったが、トラムは発車の直前と言った様子なので運転手らしき人に乗せてと言ったら、なんかだめだめといったそぶりをしている。
 何で?と思いつつも、英語は分からない様なので、しばらく付近で様子を見ていると、1台の観光バスが横付けされた。中から降りてきたアメリカ人らしき人々が次々電車に乗り込んで行く、どうやらツアーの貸し切りのようである。
 でも乗りたいなあ、もう一回運転手に乗れないか?と合図したら、何か特別だよ見たいな感じでキップを売ってくれた。ツアーの人の邪魔にならないよう一番後ろの席に行くが、よく考えたらここが一番の特等席の様な気がする。
 みんな、乗り終えるとすぐ出発となり、先ほどロカ岬からバスで通った道に沿ってゆっくりゆっくりとトラムは走る。
 追い抜いていく車の人達も手を振ってくれたり、クラクションで合図をくれたり、なんかいい雰囲気だ。、
途中お約束ともいえる線路上への違法駐車があり、運転手がベルを鳴らすが誰も来ない。そのうち周囲の家を一軒一軒聞きに回る始末であるが、乗客はこれ幸いと撮影タイムに入ってしまった。そのうち、騒ぎに気が付いたのかドライバーが戻ってきたが、今度は運転手がいなくなってしまった。
 2、3分して運転手が戻ると無事発車となるが、みんなおもしろい体験だったのか、よりいっそう陽気になって騒いでいた。
その後は電車に驚いて逃げる野ウサギを見かけたりしながら順調に進み、大西洋が再び見えると終点プライア・ダス・マカスに到着。みんなで拍手して無事到着を祝うと、ツアー客達は海岸の方に向かって去っていった。
 さて帰りの列車はどうなのかなと思い、運転手に聞くと時計を指さし「クアトロ、クアトロ」と言っている「エー!4時の出発なの?」今12:30だから3時間半待ちかい。とてもそんなに待っていたらシントラを見ている暇が無くなってしまう。残念だけど、バスでシントラに戻る事にしよう、片道だけでも特別に乗せてもらえたのだから、ものすごいラッキーだったんだしね。
 トラムの向かいのバス停で20分ほど待ってバスに乗ると、トラムの運転手も乗ってきた。おいおい、誰もいないとこに電車置きっぱなしでいいのか?何かいたずらされそうな気がするが、、、運転手はそのような私の心配をよそにバスの運転手と談笑していたが、先ほどのトラム始発駅で降りていった。やっぱり運転手もぼうと3時間以上待ってる訳にもいかないのか。
 バスの終点シントラ駅前で降りると、まず最初は王宮観光である。駅からそれほど離れてないし、徒歩で緑が多い道路を行くと結構馬車とすれ違う。約10分ほどで王宮に到着,特徴ある煙突が二つそびえているが以外と小さいなあ。チケットを買って入ると、なぜか私の靴は歩くと、キュウキュウとでかい音がする。ゴム製の靴底だからかなあ?歩くときは音を立てないよう慎重になってしまう。内部は結構小さい部屋が多く、王宮と言うから豪華絢爛といったイメージを持っていたが、結構質素だなあ。装飾もちょっとチャチな印象を受けてしまう。目印の煙突の内部はキッチンとなっているが、あんまり道具類もそろっているようには見えないなあ。
 王宮を出た後は、近くのレストランで食事にするが、昨日までの胃痛も治まり何か無性に腹が減ったので、昼から豪華にステーキを頼む。
 食後は山の上のペナ宮に行くが、バス停で待っていたら観光バスがやたらとバス停の前に駐車しているせいで、乗るはずだったバスに気づかれずに素通りされてしまった。あららー、と思ったときには時すでに遅し、バスは走り去ったあとだった。しまった、こちらも観光バスの陰で乗るはずだったバスの接近に気づくのが遅れた。ええい次のバスを待ってるのもかったるいなあと思ったらちょうどタクシーが声を掛けてきた。渡りに船とばかりに料金を聞くと別にぼられているような値段でないので、そのままお願いする。山道を約10分でペナ宮に到着、タクシーは帰りはどうするか?と聞いていたが、歩いて帰ると丁重に断った。
 さて入口に入ると緑のバスが停まっている。確か、ペナ宮の前まで結構な坂のはずなので乗ろうとするが、前のグループが高いと言って値切っていた。バスのドライバーは全く相手にせず、なら歩けと言っているような感じだが渋々買っていた。まったく往復300エスクードくらいでケチるなようと思ってしまう。
 バスに乗っているのは、2、3分ほどだが、自分で歩くのはちょっとといった坂道だった。
 内部を見学するため切符売り場で切符を買うが、ちょうど私の時にプリンターの紙詰まりを起こして、お金を渡しているのに切符が受け取れない。
 すぐに直ったが、係員は何であんたがいつまでもいるのよ?といった表情をしている。
 まだ切符を受け取ってないぞと強い口調で抗議するとばつが悪そうに切符を差し出した。
 ペナ宮内部は撮影禁止であるだけでなく、荷物を持って入ることも駄目らしく、クロークに全部預けて内部を見学する。
さすがに王宮よりは内部の装飾は緻密で、こちらのほうがすごい。さすが世界遺産と関心するが、結構補修中の部屋が有るらしく全部を見せてはもらえないようだ。
 山の上にあるので、見晴らしもすばらしく、テージョ川から大西洋まで一望できる。
 見学が終わると、またバスで入口まで降りるが、シントラ駅行きのバスはすごい行列で積み残しも出ていた。
 こんなの待ってたら大変だが、タクシーを捕まえるのはさらに不可能だろう。
 さてどうしようと思ったが、ふと見た道路標識にムーア人の城跡まで250mとある。確かバスはこちらも停まるはずだし、道が一方通行だから、ペナ宮の前に乗れるはずであった。そちらを見てから乗ればいいんでは?と悪知恵を働かし、ムーア人の城跡に行くと案の定それほど人が待っていなかった。

 ムーア人の城跡も山の上に城壁だけ残っている様な物だが、ここも景色は最高であった。ただ、山の上まで歩くのが結構大変ではあるが。
 一通り見終わってバス停に戻ると、ちょうどバスが来ているところだった。車内は込んでいるが、乗れないほどではない。
 次のペナ宮に停車すると先ほどよりさらにすごい人が待っていた。やっぱり一つ戻って正解だったなと一人ほくそ笑むが、待っていた人は半分も乗れなかったようである。
 シントラ駅から列車に乗ればロシオ駅まで1本だし、今日の予定も終了だ。
 6時頃宿にもどり、明日でチェックアウトなので荷物の整理をしておく。
 7時頃食事に出かけ、フィゲイラ広場裏で最後の夕食を楽しんでいると、一人のフルート吹きが演奏している。でもお世辞にもうまいとはいえない、逆に耳障りだと思ってしまう。何曲か演奏した後にお金を集めにきたが10年早いといった感じで断った。他の人も誰もあげてなかったし仕事変わったらとよけいな心配をしてしまう。
 さて今夜で最後の夜なので、昨日行きそびれたバイロ・アルトに行くべく、グロリア線のケーブルカーで上にあがって歩いて行くとなんだかお腹の調子が良くないようだ。時間が遅いから、カフェテリアもやっている様子が無い。ええい仕方ないので、バイシャ・シアードの駅の上側から入り中を横断して宿へ戻る事にする。しかしビッカの夜景は撮りたかったなあ。またリスボンにこれるかなあ?