2002.9.20 8日目 ベルニナ線乗車 Tirao往復 

 この日はレーティシュ鉄道のベルニナ線に乗ってイタリアのティラノの間で往復だ。
 当初の予定では8時半頃の列車で出発するつもりだったが、ガイドブックを読んだら途中のアルプグリュムで途中下車するのがお奨めとなっいた。
 せっかくだから1本早い列車で出発する事にするが、列車は7時の発車なので、ホテルでの朝食はあきらめるか、、、、

 6時半頃表に出てみるとまだ薄暗いのだが、それに輪を掛けてすごい霧だ。
 これでは車窓は余り期待できないかもしれないな。
 駅の売店で朝食用のサンドウィッチを仕入れてから、ベルニナ線乗り場の6番ホームへ向かうが、地下道が工事中なのでとんでもない遠回りをさせられた。

 ホームに行ってもまだ列車は入線してないしベンチもないので、ブラブラしながら列車を待つことしばし。
 そのうち列車が入線したので乗り込むが、1等車は先頭の機関車と言うか電車にしかみたいなので、先頭車に席を確保する事にしよう。
 車内は真ん中で1、2等車に別れているし、さらに車内は禁煙、喫煙区画に別れているためか、座席の1区画ごとにドアがついているのでちょっと狭い印象を受けるな。
 7時過ぎに定刻でサン・モリッツを出発するが、結構昔からある電車かと思ったら床下からはインバーターの音が、、、
 この電車って実はすごく新しかったのかな?

 最初は霧がすごかったが、サン・モリッツを離れると次第に薄れ、青空が広がってきた、どうやらサン・モリッツ周辺は湖の関係で霧が出やすかっただけのようだ。
 この調子なら今日も一日天気は大丈夫みたいだな。
 すぐに検札が着たのでいつものように挨拶したら、向こうからは「ボン・ジョールノ」とイタリア語で帰ってきた。
 スイスも南に来るとイタリア語が使われるのは知っていたが、初めて聞くとちょっとうれしくなる。
 ただ最後は「メルシー」とフランス語だったので、この辺りの言葉は何でも有りなのかなという気もするな

 車窓の右側にはモラレッチェ氷河が見えるのだが、森のなかを走っているためなかなか全景が見えない。
一瞬橋の上で見えたかなと思ったら、後はもう見えずじまいだった。
 その後も列車はベルニナ峠を目指して快調に走っていく。
黒い湖と呼ばれるレイ・ネイルが見えてきたので、車内に誰もいないのを良いことに窓を全開にして写真を撮るが、かなり気温が下がっているようでちょっと寒いな。
車内の暖房を強めにさせて貰おう。
 後はバックミラー越しによく運転手さんと目が合ったのはちょっと恥ずかしかったな、、、

 レイ・ネイルを過ぎるとイタリア語で白い湖という意味のラーゴ・ビアンコに沿ってしばらく走る。
 この辺りが分水嶺となるらしく、イタリア側に流れる水は地中海、北側に流れた水はバルト海にそそぐことになる。
 分水峰を越えてしばらく下り坂を走ると、サン・モリッツから約1時間で最初の目的地アルプグリュムに到着。
 列車を下りたのは私のほかはどうも鉄道の関係者だけのようだ。
 駅の目の前にはパリュ氷河が広がり、まさに絶景だ。
 ここは周りに人家が無くホテルが2軒有るだけなので、ホテル専用の駅みたいだな。
 しばらく駅前で氷河を眺めていたが、次の列車まで1時間近くある。
 一応駅にレストランが併設されているようなので、ちょっとお茶して行くことにしよう。
 レストランに入いると入れ替わりでハンターが2名、山に向かって行った。
 持っていたのは散弾銃ではなくライフル銃だったので、鹿とかの大物狙いのようだ。

 朝も早いためか、店内には関係者しかいないが、9時前でもちゃんとやっているんだな。
 流石にハイキングに来る客も8時過ぎではまだそれほどいないのだろうし、こんな時間から店を開けていても商売になるのかな?
 店内で30分ほど過ごしてから、また駅前で風景を眺めて過ごし、9時過ぎの列車で次のブルジオに向かうことにしよう。

 アルプグリュムを出た列車は、ここから断崖を一気に400m下って高度をさげる。
 ただ、最初に乗った列車はインバータ制御のようだったが、この電車は床下から釣り掛けモーターの音がするぞ、、、、
 どうやらライトが角形の電車は最近増備された車両らしく、今回乗ったライトの丸いタイプは従来からある車両の様だ。
 ただ基本デザインは一緒なので、ライトで見分けるしか無いのだろうな。

 途中ポスキアーボでちょっと停車したのち、ポスキアーボ湖に沿ってブルジオを目指す。

 アルプグリュムから約1時間で次の目的地ブルジオに到着。
 この駅の先には有名なオープンループ橋が有るので、そこでの写真撮影が目的だ。
 駅から坂道を下ること約15分で目的のオープンループに到着。
 ここで昼過ぎまで撮影タイムとすることにしましょう。
 
 ループの外、中、さらに良いアングルを求めて岩場でロッククライミングしたりしながら何とか納得のいくカットが撮れた。
 



 撮影を終えて駅に戻るが、ここの駅もよく見るとすごい線路の配置だな。
 山側の方は開けているのだが、駅に向かってくる列車が高度を下げるため、すぐ目の前を2回オメガカーブで往復してから、駅に到着する。
 
 ここの駅は時間によっては客のリクエストが無いと通過してしまうようで、駅のボタンを押して列車に合図を送らないと止まってもらえないことが有るようだ。
 私が乗る時間は停車するはずだし、ボタンが何処に有るのかよく分からなかったので押すことは無かったが、ちゃんと列車が停車するかちょっと不安だ。
 列車が駅に到着した時はかなりの勢いで突っ込んで来たので、ひょっとしたら?とも思ったがちょっと急ブレーキ気味の様にも思えたがちゃんと止まってくれた。
 その後駅の出入口脇にボタンが有るのは発見したが、冷や冷やするくらいなら最初から探して押しておけば良かったかもしれない。
 
 列車に乗り込むとすぐに先ほどのオープンループを通過し、最終目的地ティラノを目指す。
 
 ブルジオから15分ほどで、ティラノに到着。
 ここはもうイタリア領で、国境は途中に有ったのだが、鉄道のみ駅の改札が国境となっている。
 そのため駅の外に出るにはパスポートが必要で、不携帯の場合は確実に折り返しの列車で追い返されるそうだ。
 とりあえず入国管理官の親父さんにイタリア語で挨拶したら、とたんに愛想がよくなった。
 「ミラノにいくのか?」との質問に、ちょっ気取って「ランチだけで、サン・モリッツにもどる」と答えたら、即OKがでてヨーロッパ7カ国目のイタリアに入国だ。
 ただ何となく先ほどの発言には我ながらちょっと格好付けすぎたかな?
 後から思い返すと、ちょっと恥ずかしかったかも、、、
 
 さて最初は腹ごしらえと言うことで駅前のレストランに入ることにしよう。
 やっぱりイタリアと言えばパスタでしょうから、豆と野菜のスープとボンゴレにしよう。
 ただ、イタリアでパスタは前菜扱いとも聞いたから、前菜しか頼まない変な奴と思われたかも。
 さて本場のパスタのお味の方はと言うと、パスタ自体は悪くないのだがボンゴレの味がとてつもなく濃厚なのでちょっとしつこいかも、、、
  ただ値段はスイスに比べたら何でこんなに安いの?と言うくらいの値段だが、国境越えただけでここまで物価って変わる物なんだねぇ。
 食後はイタリア国鉄のティラノ駅を覗いてみると、ミラノ行きらしき列車が停車しているのだが、デザイン先進国イタリアにしては、なんかあか抜けない電車だな。
 あか抜けないというか、「子供が絵に描いた物をそのまま形にしたような電車」位しか誉め言葉が出てこないよ。
 先日見たチザルピーノは洗練されてたのに、この落差はなんだろうな。
 さて次は、ティラノの町外れにあるRhBの併用軌道まで行ってみることにしよう。
だいたい駅から歩いて15分くらいで目的地に到着、丁度サン・モリッツ行きのベルニナ急行が来るのでしばし撮影タイム。
 そのうち小雨が降り出したので、適当なところで駅に引き上げるとするか、、、
 さて、4時前の列車でサン・モリッツに戻る事にする。
 ベルニナ急行が行ったばかりなのでなんとなく駅前が閑散としてようだな。
 パスポートコントロールに行くとほかには誰もおらず、係官も手持ち無沙汰そうだ。
 先ほどは人が多かったのでスタンプを押してもらえなかったが、今度はほかに誰もいないのでちゃんと押してもらえた。
 ホームに行っても列車を待つ人はほとんどいないみたい。
 閑散としているせいか、何となく裏寂れた雰囲気が漂っているな。
 後はサンモリッツまで列車で戻るだけだが、アルプグリュムまで何とか天気がもったが、ベルニナ峠の辺りからちょっと大粒の雨が降り出した。
 窓を開けて写真を撮るのはちょっと難しそうだ。
 そのうち暖房が効いてきたのかちょっと居眠りしてしまった。
 夕方7時過ぎにサン・モリッツに無事到着、今日も食欲がないので晩飯抜きで早めに寝ちまおう。