2011年 7月7日 6日目 Dresden観光

 本日は午前中の列車でドイツのドレスデンに移動するので、今日でチェコともお別れだ。
 いつも通りに朝食をとり、ホテルを9時前にチェックアウトする。
 荷物を引きながら地下鉄Malostanska駅まで歩き、Muzeumで乗り換えプラハ本駅に移動する。

 本日の乗車列車は10時50分に出発するEC378(Euro City)で、出発まで時間が有ることから2番ホームのベンチで妻に荷物番をしてもらい、その間に写真を取りに行かせてもらうが、あまり被写体になりそうな列車はいない。
 適当なところで妻のところに戻り、出発ホームが未定のため案内表示の有る駅の正面側に移動して、ホームが決まるのを待つ。
 出発の20分ほど前になり、出発ホームが3番線になったので、ホームに向かうと列車は入線しており、直ぐに車内に入る。
 乗車するのはパスが有る1等車で、席の方は予約席が多い上に乗り込んでくる乗客も多く混雑しているが、無事進行方向を向いた2人掛け席を確保する。
 車輌の方は、ドイツ側の走行区間が長そうだが、今回もCDの車輌が充当されている。
 
 この時点では牽引する機関車については連結されていないので不明だったが、チェコ国内でドイツの機関車が走っているのは見かけなかったことからチェコの機関車なのだろうと推測する。
 列車は定刻の10時50分にプラハ本駅を出発し、プラハ市内であちこち方向を変えて進んで行く。
 市内のPraha-Holesovice駅では日本人ビジネスマンらしき初老の男性が乗り込んできたが、ほぼ満席の車内に困惑しているようだった。

 なお妻の話では、ウィーンからプラハに移動した列車の中で一緒だった家族旅行のアメリカ人らしき一団も乗っているとのこと。
 五月蠅いアラブ系では無かったので一安心だ。
 車内は1等車らしく静かで落ち着いた雰囲気になっており、今回の移動は不愉快な思いをしなくてすむと安堵する。

 プラハ市内を抜けると、線路はヴァルタヴァ川を右手に見ながら、ドイツを目指して北上していく。
 川の方は途中からラベ川(エルベ川)に合流するするが、景勝路線と言うこともありなかなかよい車窓が広がっている。
 雰囲気としてはライン川沿いのドイツのマインツ〜コブレンツ間に雰囲気が似ているが、ライン川よりも比較的山が川に迫って来ている印象を受ける。

国境のDecin駅 牽引機はCD Class371 201号機
 国境に近いDecinで先ほどの日本人ビジネスマンが下車し、ちょっと長めの停車時間となっているので機関車を交換するかもと思い、先頭まで見に行ってみるがどうやら交換はないようだ。
 先頭に立っている機関車はチェコ鉄道(CD)のClass371-201号機で、帰国後調べてみたところなかなかおもしろい経歴の持ち主であった。


 チェコ鉄道(CD) Class371型201号機概要
 元々はCD Class372と同型の東ドイツ国鉄(DR)のClass180の1号機で、ドイツ〜チェコ間の直通運転用として竣工していた。
 Class372、Class180型の最高速度は、当初120km/hであったが速度向上の必要性により、180型1号機(本機)を用いて160km/h対応のギアに換装して試験を行ったとのこと。
 試験結果が良好だったため、チェコの372型の一部の車輌に速度向上用のギア比変更改造を行い371型として運行を開始したが、東ドイツの他の180型は改造せずに貨物列車用として使用していたため、改造により性能特性が異なる180型1号機は他の180型と共通運用が組めずにずっと予備機となっていた。
 しかし2002年にドイツ内でCDの372型機関車に他の機関車が衝突して破損させてしまったため、その賠償として180型1号機をチェコ側に譲渡した結果371型201号機として371型の一員としてCDで使用されるようになっていた。


 371型の中でも一番の変わり種だったようで、なかなか興味深い機関車に出会えたのだが、まだこのときはこの機関車の素性については全く知らなかった。
 Decinで乗務員を交代後、ドイツ側の国境駅Bad Schandauに停車すれば、後は30分ほどで下車駅のドレスデンだ。
 途中の区間は、チェコ側より切り立った崖の区間が多くなり、その中でも一番のハイライトはザクセンのスイスと呼ばれる区間で、急峻な岩山の上にアーチの橋が架かっていた。

 隣に近郊列車Sバーン用の線路が現れると市街地になり、下車駅となるドレスデン中央駅には定刻の12時50分頃無事到着。
 降りるときにはドア開けるは手動で有ることを忘れて開くのを待っている他の乗客にボタンを押すよう声をかけて開けてもらう。
 

ザクセンのスイス

ドレスデン中央駅到着
 
 列車を降りたら、とりあえずホテルのある市街中心部近くに移動するが、トラムの路線図を確認するためしばらく駅のベンチで妻に待機してもらい、路線図と睨めっこして、目的地に行く系統を確認する。
 トラムのチケットについては午後に市内観光をするので1日券を購入し、トラムで3つ目のPirnaischerplatzまで移動後、歩いてホテルに向かう。
 今夜の宿はDorint Hotelで、ちょっと大きめのチェーンのホテルのようだ。
 部屋の方は早めの時間ながら問題なくチェックイン出来たが、エレベーターから遠い一番奥の部屋で見晴らしについても今一であった。
 また予約時に朝食付きとしていたはずだが、ウィーンと同様こちらのホテルも朝食が付いていないとのことだった。
 追加料金で朝食はつけられるが、結構高いので自前で調達することにしよう。

 部屋に荷物を置いたら、早速市内観光に向かうことにする。
 明日は朝からSLに乗って郊外のモーリッブルグ城に行くので、今日の午後しか市内を見る時間はないのだ。

 観光する旧市街まではホテルから徒歩10分ほどとのことだが、トラムの駅はホテルの目の前だったので、Almarkt広場までの2駅をトラムで移動する。
 とりあえず旧市街に移動してきたが昼飯がまだだったことから広場に有るMACで昼食にする。
 私の方はドイツに来るとよく食べるマックリブ、妻はフィレオフィッシュを選ぶが、慣れ親しんだ味に妻の方はちょっとうれしそうだった。

 食後は向かいにドイツ版100円ショップがあり覗いていくが、大した物は置いていないようで、適当に見るだけで終わってしまった。
 何かおもしろい物が有れば買ってみようと思っていたが、質の悪い生活用品を置いていると言った趣で、日本の100円ショップとかなり様子が異なる。

フラウエン教会

大道芸人と。

君主の行列

カトリック旧宮廷教会

エルベ川
 さてそろそろ本格的に観光しなければと言うことで、まずはフラウエン教会に移動する。
 内部はずいぶんきれい過ぎる様子と思ったら近年復元されたばかりのようで天井のフレスコ画などもあまりに綺麗すぎてちょっと興ざめだ。
 適当に内部を見てから表に出ると、パントマイムの大道芸人があちこちに立っている。
 妻の方が興味があるようなので、一番派手な衣装を着ている芸人を選んでチップを入れるが、ちょっと水晶玉動かす程度で大した芸をやる人ではなかったようだ。
 見かけ倒しにちょっと残念と思いつつ、君主の行列の壁画に移動する。
 こちらでは大同芸人の一団が休憩中のようで、車座になって話し込んでいるのはいいのだが、くつろいでいる大道芸人というのも何か違和感がある。
 
 君主の行列の前を通り抜けるとそこはドレスデンで一番有名なカトリック旧宮廷教会前広場で、聖人像がテラスに並ぶ堂々たる姿を見せていた。
 ただ訪れた時間帯は丁度逆光のため、写真を撮るにはちょっと厳しい状況であった。

 しばし教会前の広場でエルベ川を眺めたり、教会の姿を見た後、ドレスデン城の見学に行くことにしよう。
 城の見学と言っても財宝コレクションの「緑の丸天井」が見学のメインとなる。
 財宝コレクションは1階と2階に分かれており、1階は歴史的に価値のあるコレクションを集めており、入場に制限があるが、特に問題なくチケツトもすんなりと購入出来た。
 湿度管理のためか、厳重な2重扉を通過して内部にはいると戦争時に一部破壊されたりしているが、かなり凝った財宝が所狭しと飾られている。
 ただ壁一面に財宝を並べることで、権力を誇示していたようだが、ちょっとゴチャゴチャしているとの印象も受ける。

ツヴィンガー宮殿

ツヴィンガー宮殿

ゼンパーオペラ

カトリック旧宮廷教会

繁華街 Post platz
 1階の見学が終わると、2階も見学していくが、1階ほど歴史的価値がありそうではないことと、正直財宝はお腹いっぱいと言うことで、サラッと流して見学は終了とする。
 城見学の後は、カトリック旧宮廷教会の裏手に回りツヴィンガー宮殿の中庭を散策すれば、基本的な観光は終了だ。

 結構歩き回ったうえに暑いので、近くのカフェで休憩後、ここのところ恒例となっている単独行動と言うことで、私は中央駅に、妻はPost Platz脇のモールに行ってみることとなり、それぞれ分かれていく。

 トラムで中央駅に戻り構内をうろうろしていると、CDのClass371が留置されている程度でたまにSパーンが走る意外はあまり列車の動きはなさそうだ。
 Class371の写真を撮っていると、背後にTEEカラーの客車が止まっているのが見えた。
 せっかくだから近づいてみようと思い、留置されているホームに行ってみるとTEEカラーのドイツ鉄道(DB) Class103型も一緒に留置されていた。
 残念なことに反対側には他の客車が留置されており、下回りを含めた全体の写真は撮れないが、思わぬところで全く予想もしなかった機関車に巡り会えてラッキーだ。
 これまで数回ドイツに来ているが、TEEカラーの103型を見るのは3回目、写真を撮れたのも今回で2回目となかなか遭遇できない車輌であった。
 最近はほとんどが廃車されてしまい、動態保存用として走行可能なのは3両しか残されておらず、今回出会ったのはそのうちの184号機てあった。
 連結されているのは、TEEカラーの客車か2両で、うち一両はパンタグラフ付きの食堂車だった。

 103型の写真を取り終えて満足するが、一応Sバーンの写真も撮ろうと思い、光線状態のよい東側のホーム端でカメラを構えるが、西側に向かう列車に比べて運行本数がかなり少なく、あまりカット数は稼げなかった。

 

CD Class371-1号機 (2日前にもプラハで遭遇していた)

DB Class103

TEE塗装食堂車
 一度ホテルに戻り、先に帰ってきていた妻と合流すると時間の方は19時過ぎとなっていた。
 夕食をどうするか言うところだが、Postplatzに面したモール地下のフードコートを妻がリサーチ済みとのことなので、トラムでそちらに行くことにする。
 妻の方はここに来て食べなれた味への欲求が抑えられなかったようで、アジアンフード店を見つけており、そこの焼きそばが食べたくて仕方がないようだ。
 どうやら妻の胃袋の方は焼きそばと決まっているようで、もしここで私がほかの店にしたいと言っても変えない覚悟だったようである。
 別にアジアンフードでも問題ないので、とりあえず私の方は野菜炒めに鶏肉の揚げ物が乗った定食、妻は当初の予定どおり焼きそばを注文。
 よほど食べなれた味に飢えていたのかと思っていたら、焼きそばを食べ始めた妻の表情がちょっと曇る。
 どうやら想像していたのと味か違うようでちょっとショック気味のようだが、テーブルに置いてあった醤油を垂らすことで問題なく食べられるようだ。
 だがこの中途半端な焼きそばが妻の胃袋を刺激したようで、この後はちゃんとした和風味の料理への渇望に耐えられなくなっていくのであった。

 食後は明日の朝食用のパンやチーズなどの買い出しをして、ホテルに戻ることにする。
 このころから妻がカップメンが食べたくなってきたようだが、日本のカップメンが見つけられないことと、ホテルの部屋にお湯を沸かす設備が無いことに気が付いて、ちょっとだけ失望を味わったようである。

 こうしてみると今回の旅行は妻にとっては食事との戦いになりつつあり、今後の旅行ではカップ麺やおにぎりなど日本食を持参しないと耐えられないことが判明してくるのだった。

 ホテルに戻るため、Post Platzでトラムを待っていると通常のトラムとは明らかに異なる貨物用と思われるトラムが目の前を通過していった。
 気が付くのが遅かったことと、あまりに近すぎたため写真は撮れなかったが、車体の横にはフォルクスワーゲンのマークが入っている。
 妻に言わせると今日だけでも何回も目撃しているとのことだが、貨物用のトラムを初めてみたのでちょっと興味がわいてきた。
 まあ明日また遭遇できれば、そこで写真を撮ることにしてホテルに戻って休むことにするのだった。

本日の移動経路