2012年 9月8日 2日目 メークロン線撮影日


 この日はちょっと寝坊気味で、目が覚めたのが6時45分ころだった。
 今日の目的地、メークロン線のメークロンに行くには、8時35分に始発駅ウォンウェンヤイを出発する列車に乗らないと、メークロン付近の列車運行本数が非常に少ないため、メークロン駅で列車を1本やり過ごしてから戻ることができない。
 ウォンウェンヤイ駅まではBTSが通じているので、取り急ぎ支度をしてホテルの朝食もパスして、BTSのアソーク駅に向かう。
 昨日MBKに行く際に乗り換えたサイアム駅で、昨日と反対方向に乗り換え、チェォプラヤ川の西側地区にあるBTSの終点ウォンウェンヤイ駅下車する。
 驚いたことに結構BTSは運賃が高くて、昨日チャージした100バーツはもうなくなってしまっていた。
 帰りにチャージするとして、取り急ぎ500mほど離れたタイ国鉄のウォンウェンヤイ駅を目指す。
 しかしBTSの車内はエアコンが寒い位に効いているが、一歩外に出ると熱気に汗が噴き出してくる。
 おまけに下車直後は眼鏡が曇ってしまって、不便なことこの上ない。

 スマートホンの地図をたよりに、タイ国鉄のウォンウェンヤイ駅に約10分程度で到着するが、大通りからちょっと引っ込んだ駅の様子は、遠目には駅が有るようには見えない。
 まるで市場のような入り口を進んでいくと、その奥にホームと切符売り場が現れて、やっと鉄道駅に来たことが実感できる。
 しかしホームの上にも屋台が建ち並び、ちゃんと許可を取って営業しているのか、ちょっと気になるところではある。
 到着時間はちょうど朝の8時前、切符を買おうとウロウロしていたら、駅のスピーカーから大音量で音楽が流れ始めた。
 確か8時と18時に国歌を流して、その間はみんな直立不動になるはずだが、なんか普通に歩いている人もいて、何かおかしい。
 訝しく思っていたら、最初に流れたのは予告の音楽だった様で、8時の時報とともに国歌が流れ出すと、みんなきちんと立ち止まり直立不動で国歌が終わるまで過ごしていた。
 当然こちらも周り合わせてじっとしてやり過ごしたのは言うまでもない。
 国歌演奏の終了後は早速切符を購入するが、この路線は途中を川で分断されており、その間は渡し船で行き交うことになっているため、最初の区間の終点、マーハチャイまでの切符を購入する。
 切符の方はプリンターで印刷したなかなかしっかりしたものだが、値段の方は片道10バーツ(25円)で1時間程度乗る路線にしては激安である。

ウォンウェンヤイ駅入口

ウォンウェンヤイ駅ホーム

 とりあえず列車の方はまだ到着していないのと、朝飯を調達すべく、駅そばの7-11で飲み物と調理パンを購入。
 食べるのは列車に乗ってからとして、とりあえずホーム端で列車が到着するのを待っていると、8時15分頃に、列車が到着、朝はバンコクに向かう乗客の方が、圧倒的に多く、折り返し列車に乗車するのは、各ボックス席が1,2名埋まる程度でガラガラである。
 それなりにメークロン線を見に行く観光客が多いようで、私のほかにもチラホラと日本人が混じっている。

 列車の方は定刻で、ウォンウェンヤイ駅を出発するが、線路際まで屋台が建ち並んでいるので、しばらくは速度が出ない。
 沿線はバンコクの住宅街と言った様相で、それなりに立派な家も有るものの、どうも線路際はスラムになっているようで、掘っ立て小屋が多い。
 途中のワットシング駅で対向列車と交換するが、列車が遅れているようでだいぶ待たされた。
 その後は最高速度60km/hを出して、西に向かって順調に進んでいく。
 ウォンウェンヤイ駅から約1時間で、一端終点となるマーハチャイ駅に到着。
 ここも駅の中が市場になっていて、活気が有るのだが、足下はオイルで滑りやすいし、何よりもその臭気にだいぶやられ気味である。

マーハチャイ駅直前の市場
(建築限界など完全無視)

マーハチャイ駅終点側の車庫

マーハチャイ駅正面口

 渡し船で対岸に渡る必要があるので、駅構内の写真はさらっと撮って、駅前の道を右に折れて、大通りに出たら左に曲がれば、対岸のバーレムへの渡し船乗り場までは徒歩5分の道のりだ。
 しかし、タッチの差で渡し船を逃してしまい、次の船を待つが、列車の発車時刻が迫っており、ちょっとやきもきしてくる。
 船着き場では、入り口で渡し賃を3バーツを払って切符を受け取り、3歩歩いた先で回収するという、ちょっと謎なシステムであった。
 時刻表では、10時10分にメークロン行きの列車がバーンレムを出発するが、バンレームの渡し船を下りたのが、10時5分頃、ここから距離にして、徒歩10分と言うところなので、歩いていたら間に合わさそうなので、渡し船の出口に待機しているバイクタクに2ケツして、バーンレム駅まで、送ってもらう。
 ちなみにバイクタクの運賃は5バーツだったが小銭の手持ちが無かったので、20バーツ札を渡して後はチップでと言って駅に急ぐ。

渡し船乗り場

渡し船

 到着時刻が10時10分ちょうどで入口からは列車が待機しているように見えたので、あわててホームに駆け込むが、停車していたのは予備車輌のようで、エンジンが掛けられていなかった。
 あわてて来たがどうやら、定刻を過ぎてもまだ列車が到着していないようだ。
 ホームでは、列車の到着を待っている人がそれなりにいるが、満席になるほどではなさそうだ。
 とりあえずホーム端で列車が到着するのをカメラを構えてしばらく待っていると、遠くからタイフォンの音が徐々に近づいてくるのがわかる。
 列車の到着をカメラに納めると席を確保すべく急ぎ車内にはいるが、残念なことに進行方向を向いた座席はすでに埋まっていたので、進行方向に背を向ける座席で我慢することにしよう。
 

バーンレム駅構内

バーンレム駅到着の列車
 約20分遅れで、列車はメークロンに向けて出発する。
 沿線は、エビの養殖池か塩田と思われる水を貯めた施設が多い。
 線路はほぼ真っすくで、平坦なのだが川を渡るときだけは太鼓橋の様な線路配置になっており、結構無理して渡っているように感じられる。
 列車の方は時たま川を越えて、適当な無人駅に停車しながら、最高速度40km/h程度でメークロンを目指す。
 しかし線路の状況は相当悪いのか、よく揺れてちょっと怖いな。

 バーンレムから1時間強で最終目的地メークロンに到着するが、メインイベントの市場はちょうど駅の直前区間にある。
 ここは車輌ぎりぎりまで商品やテントが有るので、窓から体を出すのは自殺行為なため、車内からおとなしく見学させてもらう。

 ただ大量の観光客が線路際でカメラを構えているのは車内からでもよく見えた。
 待機しているとお店の人との隙間も紙一重で、毎日列車がくるたびに撤収と再開を繰り返しているのも伊達ではないようだ。
 とりあえず目的地メークロンに到着したが、折り返す列車の写真を撮るため、市場の中を先を急ぐ。
 市場で売られているものは、海産物、生鮮食料品がメインでこちらについても臭気がすごい。
 大急ぎでロケーションハンティングした結果、市場の駅から遠い区間がカーブしているし、余計な観光客が来ないことから、市場のバーンレム方でエスケープゾーンが確保可能な場所で列車の出発を待つ。

メークロン駅直前の市場入り口

線路上の市場

線路上の市場の撤収風景

商品と台車の間隔
 そのうち駅の発車の鐘が鳴り出すと、お店の人たちも多なれたもので、庇や商品を移動させはじめて、何とか列車が通過できるスペースを捻出していた。
 のそのそと徐行でやってきた列車は小刻みに加速と惰行を繰り返し、ゆっくりゆっくりと市場を通過していく。
 車輌の側面ばかりに気を取られていたが、以外と台車や車輪などぎりぎりに商品が置かれたままなので、下部限界を侵している商品がたまに当たって崩れたりしているようだ。
 写真の方はまあまあ満足行くカットがとれたので、これで来年の年賀状に使える写真が確保できて一安心だ。
 
 さて列車が行ってしまうと、市場は営業再開となるが、観光客はさっと引き上げてしまい、到着したときに比べると若干閑散とした印象を受けるが、それでも市場を歩くのは狭い通路のせいで押し合いへし合いでなかなか前に進まない。
 一度駅に戻ると時間は、12時前で次の列車が到着するのは、14時30分頃とだいぶ先である。
 この路線は1本の列車が行ったり来たりしているため、今から2時間強は列車が来ない、とりあえず、駅の終点側や周辺を散策したりして、時間をつぶすことにしよう。
 しばらく駅裏の川沿いで行き交う渡し船などを眺めて時間をつぶしていたが、そろそろお腹もすいてきたので、駅構内の食堂でポークヌードルで昼食とする。
 しかし食堂といっても、今は使用していない線路の上にテーブルと椅子を並べただけの簡素な食堂だ。

メークロン駅のバーンレム方

メークロン駅の終点側

メークロン線の線路の終わり。
先は結構大きな川

川に停泊する漁船

メークロン駅構内の食堂でポークヌードルで昼食
麺はビーフンみたい

メークロンの町中にあったお寺
 食後はとりあえず市場の周りを反時計回りにブラブラ歩いていると、なかなか立派なお寺がT字路に建っている、ただ道路を横断するのは非常に困難そうなので写真を外から撮っただけで中にはいるのはいいかな。
 基本的に市場は生鮮食料品がメインだが、市場の周りの店では普通の一般商店も結構あり、中華系の金ぴかの宝飾店などが結構並んでいる。
 後日ホテルにバックを預けて、チェンマイに行く際に着替えとかを入れるサブバックがほしかったことから、近所のカバン屋を物色し、adidasのニセモノを200バーツで仕入れておく、まあ最終的には破棄する予定なのでそんなに立派なものは必要ないのだ。
 列車の到着まで、散策と構内のベンチで休憩していると、そろそろ下り列車が到着する時間が近づいてきたので、市場の中で場所取りをさせてもらおう。
 とりあえず安全な場所は確保できたが、どうもフレームに他の観光客が入ってしまいそうなのが痛いところ、後は出たとこ勝負で対応するしかないか。
 列車の方は遅れているようで、なかなか来ないが、私が陣取っていた場所はでは、雷おこしのようなお菓子を売っている店がそばにあった。
 店員さんは若い学生さん風で、ちょっと試食させてもらうと、粘りの強い雷おこしそのものであった。
 非常食にしようと、1袋買い求め、写真を撮るのに問題ないか確認しておく。
 この若い店員さん、後日日本に留学予定で現在日本語の特訓中のようだ。
 片言の日本語で周りの観光客にここからが危険なので、下がるようになどと注意をしていた。
 意外と市場の店員さんも観光客慣れしているようだ。

 踏切の警報機の音が聞こえてくると、市場の方は撤収開始であっという間に列車の走るスペースが生まれるのは相変わらず壮観だ。
 やや遅れてやってきた列車の前には、身を乗り出した観光客が多数いるため、望遠系ではあまり良いカットになりそうもないので、なるべく引きつけて連写することでまあまあのカットを残すことができた。
 列車の通過後は速度が遅いこともあり、観光客が後ろ姿を納めにワラワラと線路に出てくるため、あっという間に大混雑となる。

下り列車の到着

下り列車の最後尾

バーンレム駅到着
 その後は折り返し列車に乗車するため、駅でバーンレムまでの乗車券を買い求め、発車までしばらく時間があるが、車内で待機させてもらうことにしよう。
 列車は15時30分頃メークロンを出発し、一路バーンレムを目指す。
 ちなみにこの列車は上りの最終で、下りがここに戻ってきたら1日の運転は終了となる。
 まあ、この列車を何かのトラブルで逃したらバスかタクシーで帰ることも考えていたが、そこまで必要になることはなさそうだ。
 バンレーム到着は17時前でだいぶ日が傾いてきているような気がする。
 行きは駅までバイクタクだったが帰りは余裕があるので、下車した乗客たちに混じり、徒歩で渡し船乗り場まで戻る。
 とりあえず暑さで水が不足気味なことから、渡し船乗り場前の7-11で水を購入。
 こちらは日本並みにコンビニが有るので非常に助かる。
 やってきた渡し船に揺られて対岸のマーハチャイ駅に到着するとちょうど列車が出て行ってしまったところであった。
 

マーハチャイ駅構内

駅名版

マーハチャイに到着する下り列車
 まあこちらの路線は多少本数があるので問題無いだろうと時刻表を見ると、30分後に次の列車がくるようだ。
 駅構内も行きにゆっくり見られなかったし、ちょうど良い待ち時間として、周辺を散策することにする。
 そのうち列車がやってくる気配が有るので、駅手前の踏切で到着する列車を撮影してさっさと車内に席を確保させてもらう。
 列車は17時30分過ぎにバーンレムを発車し、1時間ほどで18時30分頃、BTSの駅に移動して、ホテルに帰り着いたのは8時過ぎだ。
 食事に出る元気もないので、ホテルそばの7-11で飲み物と軽食を買ってホテル食べることにしよう。
 明日も早くから起きて列車に乗るので、写真やGPSのデータ整理も適当に切り上げ、早々に就寝するのであった。

本日の移動経路