2015年 9月14日 シベリア鉄道乗車1日目


移動区間 ベース図面出典 Wikitravel

ホテル外観

ЛЕНИН(レーニン)像
ウラジオストク駅付近探索

 本日の起床は現地時刻の7時前。
 朝食は7:30からなので、まずは最後のシャワーを浴びることにするが、なぜかこのホテルのシャワーからは1滴も水が出てこない。
 洗面台の方は普通にお湯も出ているのに、シャワーだけは全く使えない。
 この後1週間風呂なしを考えると最低でも洗髪だけはしておきたいところだ。
 幸い洗面台は非常に大きくお湯も出るので、洗面台を使用して洗髪を済ます。
 身支度を調えると、そろそろ7:30になることから食堂に行くがドアの鍵が掛かっているようだ。
 少しロビーで待っていると入っていく人が見えたので、こちらも向かうが何故かドアが開かない、内部で動いている人がいるようなので、ノックすると開けてもらえたが、このドアはなんとドアノブを上から下に押し下げるのではなく、上に押し上げないと開かないようだ。
 そんなのは何も書いてなければ分かるわけ無いと思っていたら、後から来た人も同じように開けられずに困っていた。
 
 朝食はバイキング形式でそれなりに種類がある。
 適当にいつものパンとハム、チーズのメニューで済ます。
 
 食後は一度駅に向かい、周辺状況の把握と携帯のsimカードを入手することにしていたので、ホテルを後に駅に向かう。
 ホテル前の道路は2車線の1方通行で結構通行量があるが、みんなマナーが良いのか横断歩道のところに立つときちんと止まってくれたので、さっさと渡らせてもらう。
 ここのところ東南アジアに出張で行くことが多かったが決死の覚悟で道路を横断することに比べるとロシアの交通マナーは西側先進国と変わりない。

 駅まで多少アップダウンがあり、歩道の状態も良くないが、10分掛からず駅前に到着。
 駅の向かい側にはレーニン像がそびえており周辺は公園になっているようだ。
 駅前は幹線道路の様で、かなり交通量が多い。
 ロータリーは路線バスの停留場、駐車場となっており、ちょっと雑然とした印象を受ける。

 駅の外観を撮影したら駅内部へ向かうが、駅舎内に入るには荷物検査を受ける必要がある。
 このときは小さいバッグ1つなので特に問題はないが、荷物が多くなると結構面倒そうだが、テロ対策のため仕方のないことなのだろう。
 

ウラジオストク駅駅舎

駅舎内のフレスコ画

 駅待合室の天井にはフレスコ画が有るとのことなので一応撮影するが、本当の目的はここでロシア号のEチケットを正規の切符に引き替えることにある。
 別にEチケットでも乗車可能なようだが、きちんとした切符が記念に欲しいので、切符売り場KACCA(カッサ)へ向かう。
 カッサの表示に向かって進むと、1階のホームに何故か出てしまった。
 周囲を見渡すと別の入り口のようで、改めて荷物検査を通過して切符売り場に入る。
 開いている窓口は少なく、6カ所の内1カ所だけだが並んでいる人もほとんどいない。
 ただ私の前の人がやたらと時間が掛かり、5分ほど待たされただろうか。
 こちらの順番となったので、以前から用意してあったグーグル翻訳によるロシア語で正規の切符を発行して欲しいとの文章をスマホに表示して見せると、先方にはすぐに理解してもらえた。
 Eチケットとパスポートを提出して、先方が機械に打ち込むと1、2分ほどで切符が発行され、後は受け取りにサインすれば無事引き替えは完了だ。
 
 切符売り場を出ると、そのままホームにあるシベリア鉄道のキロポストの記念碑に向かう。
 手前にはSLが保存されており、きちんと手入れされているのか比較的綺麗な外観をしている。
 肝心のキロポストはSLのすぐ向こう側にあり、モスクワ起点 9288kmの記念碑が鎮座している。
 キロポストの台座にはなにやらプレートが埋め込まれているがロシア語のため最後のモスクワ以外は全く理解できない。

 まだ朝が早いせいか余り観光客もおらず、しばしキロポストの辺りで静かな雰囲気の中、ここから続くモスクワまでの乗車に思いをはせる。
 実際にこの後乗車するロシア号の走行距離は路線付け替えを実施した箇所や短絡ルートを走行するためこの表記より約30kmほど短くなる。

キロポストとSL

キロポスト

キロポスト台座のプレート

全景

驚愕の8軸DL

台車部分

通勤電車の到着風景

駅裏の湾内

 キロポストも十分堪能したので、構内に停車している車両に目を向けるとホームには到着した列車を基地に回送すべく、ホームのモスクワ側に大型のDLが連結されている。
 見に行ってみると驚いたことに、4軸ボギーを2つ連ねた8軸の機関車だった。
 日本式に表記すれば、DHとなるが台車周りの釣り合い梁が異常にごつく、圧倒的な存在感を醸し出している。
 日本だったら2車体分割にするか、半分の4軸機を2両重連するのがせいぜいだと思うが、こちらは線路の幅広いしスケールがまるで違う。
 ただ余り機関車の細かいところを写真に撮っているといろいろとうるさそうなことから、遠目に適当に撮ってから退散することにしよう。
 一端駅上部を横断する跨線橋に上がって構内を見ていると、丁度通勤電車のエレクトリーチカが到着するところだ。
 跨線橋の上から見ていると通勤時間帯の月曜日ということで、ロシアの労働者諸君がぞくぞくと列車から降りて、それぞれの職場へと向かうのであった。
 その後回送となる列車の音を聞いていたら吊り掛け方式のようで、ロシアの電車はまだ吊り掛け方式が主流なのかとちょっと驚く。

 駅の東側国際航路の船着き場となっており、見物を兼ねてそちらを覗いてみるが、ターミナル内には入らず、港が見渡せる広場の方に行ってみる。
 
 金角湾は天然の良港として、かつてから港として栄えた所なので、いろいろな船が停泊している。
 またAPECに合わせて開通した斜張橋が湾を横断しているが、逆光がひどくて余り良い写真は撮れない。

 後は港内をブラブラ見学しながら、携帯ショップが開店する9時になるまで駅付近を散策する。
 
 9時になったので、駅前の携帯電話会社メガフォンの販売店に向かい、SIMカードを購入する。
 とりあえず片言の単語とジェスチャーで3Gbまでのインターネットプランで電話は掛けないと伝えると理解してもらえ、ロシア語モードにしたスマフォを渡して、セッティングをお願いする。
 対応してくれたのは若い女性で英語はNGなので、ロシア語での対応だが、終始無表情なのがちょっと怖い。
 金額も当初調べた通りの360ルーブルで有ることから、こちらのもくろみ通りに行ったようだ。
 手続きが終わり、ネツトが使えるようになるまでは15分程度掛かるようだが、とりあえず目的完了したのでショップを後にする。

 これで駅での用事は全て完了したので、一度ホテルに戻る。
 ホテルに戻ると荷物の最終整理を行い、レセプションでルームキーを返すだけでチェックアウトは終了だ。
 後は食料などでふくれたカートを引きずりながら、再度駅に向かう。

 9:40頃に駅に到着したが、駅前の列車案内板にはロシア号の出発時刻は表示されているものの、まだ番線は確定していない。
 とりあえずキロポストがあるホームに一度降りて、1番線に停車しているアエロエクスプレスの写真を撮ったりしながら過ごす。
、この電車のパンタグラフはなかなかおもしろい形をしていて、シングルアームのパンタを2基組み合わせたような形をしている。
 下枠が1本で構成されているが、上枠はV字方となっており、初めて見るタイプだ。
 よく見ると他の機関車なども同じ物を使用していることから、ロシアの標準的な形式かもしれない。
 恐らくロシアの気象条件に合致させるためいろいろ試行錯誤の結果この形に落ち着いたのだと思う。

 ホームをブラブラしていたら、昨日のホテルにチェックインする際にサポートしていただいたガイドさんに遭遇。
 アメリカ人らしき老夫婦に英語でガイドをしているようで、この人は3カ国語を操るのかと感心する。

 一応こちらにも問題は無いかと気を使ってくれるが、こちらの方も当初の予定通り順調で全く問題ないことから、お礼を言って別れる。

 構内の列車を観察していると2番線に電気機関車に牽引された列車が入線してきたのだが、不思議なことにパンタグラフが折りたたまれていた。
 そもそも2番線は駅舎が上部に配置される関係上、架線が手前で途切れている線であり、電気機関車がパンタグラフを上げたままだと、駅舎にパンタが激突するような構造となっている。
 ひょっとしてDLによる推進運転なのかもと思い、列車が通過し終わるまで見学していたものの、先頭の電気機関車以外に動力車は無く、架線が無いところを通過するために惰行でパンタグラフを畳んで通過したとしか思えない。
 改めて2番線の駅舎部を確認すると、やはり手前で架線が途切れていることから、推測したとおりの運転方法なんだろう。
 何とも大胆な運転方法としか思えず、運転手の注意力だけに頼った運転方法ではあるが今まで特に問題とはならなかったのだろう。
 たまにはパンタグラフを下ろし忘れて激突させるとか、ホームから人が転落して非常ブレーキを掛けたら架線のないところで止まってしまって再起動出来なくなるように事故がありそうなものだが・・・・・。
 もっとも旧ソ連時代ならそんなヘマをした運転士は粛正され兼ねないだろうから運転士も必死だったとは思うけど。

 日本だったらそもそもこんな運転方法はとらないだろうし、今回の一件だけでもロシアの鉄道はいろいろとおもしろそうなところだと期待がふくらむ。

アエロエクスプレス

パンタグラフ

駅前の列車案内板


ロシア号入線
 ロシア号入線

 しばらくホームでブラブラしていたが、相変わらず列車が入線する気配は無さそうなので、一度駅前に戻り出発案内を確認しに行ったところ相変わらずホームは決まっていない。
 また、このとき購入したSIMカードでデータ通信が行えず、ひょっとして周波数が合わないのかもと思っていたら、電話再起動したところ無事開通していた。
 しかしながら電話のロケーションを自動にしてもウラジオストクにはなるものの、やはり時間が合わない。
 電話の時刻はネットワークから自動で設定としているので、何故1時間ずれるのかは不明なままだ。
 とにかく電話の時刻は信用せず駅の時計を基準に行動しよう。

 その後は構内が見渡せる跨線橋で列車の入線を待っていると10:30頃DLに惹かれた客車が3番ホームに入線してきた。
 車両は新型の客車で構成されていることから、ロシア号だと思うのだが、編成量数は荷物車を入れても10両と比較的短いような気がする。
 確かロシア号は15両編成ではなかったかと思いつつ、案内を再確認すると3番ホームの列車で間違いないようだ。
 番線が確定したので、駅前の売店で昼食用のピロシキを購入。
 中身についてはこちらで指定できないので、売り子さんの言われるままの購入となる。

ロシア号牽引機

出発を待つロシア号

1等車室内

1等車室内

 ロシア号乗車

 すぐに3番ホームに向かい、まずは先頭の機関車とご対面だ。
 牽引機は交流区間の標準的旅客機ЭП1(EP1)だ。
 機関車の写真を撮ると私の席が有る7号車を目指す。
 各車両の入り口にはグレーの制服を着た車掌さんが立ち、乗客の切符とパスポートを確認している。
 車両に向かいながら、これから1週間という長期間の列車の旅に銀河鉄道999に乗車する鉄郎の様な気分になってくる。
 ただし終点についても機械の体はもらえないが、この国の場合だとロボトミー手術がされていてもおかしくはない気がする。

 7号車に到着し車掌さんのチェックを受けるが、メーテルのような車掌さん期待したものの現実には体型がまさに999の車掌さんと行った感じの女性車掌であった。
 年齢は30台と行ったところだが、ロシアの母と行った風格を醸し出しているものの厳しい感じはなく、背が低いこともあり小熊のミーシャの様な印象を受ける。
 切符のチェックではちょっと厳しい表情をしており、まさか乗車拒否かと危惧したが、私の名前の読み方がロシア人には発音しづらかっただけのようだ。
 無事OKをもらい車内に入ると私の指定された席は1等車2人用個室の2号室3番ベッドであった。
 どうやら隣の1号室1,2番ベッドは車掌さんが使用する部屋らしい。
 終点まで1両に付き2名の車掌さんが交代で乗務するので、客室を仮眠室に割り当てているようだ。
 1等車自体は9室18人の定員であるが、1室は車掌用となるため8室16人が最大定員となる。
 席の方は進行方向を向いており、窓は進行方向左側となるため西行きのシベリア鉄道では日中は南側となり写真を取るには逆光が厳しそうだ。
 同室の人は今のところいないようなので、綺麗な内に個室内の写真を撮っておく、
 ここで1週間過ごすので、最後の方はちょっと散らかるかもしれないな。
 取り急ぎ室内の設備チェックと当面必要になるであろう食器、食料類を整理したら、荷物をシート下に収納する。
 ベッドをチェックすると、すでにシーツ類はセットされており、自分でシーツをセットしなくても良さそうだ。
 2等車だと車掌がシーツを配りに来るので、自分でセットしないと行けないが、さすがに1等車はサービスが良いようだ。
 通路側上部の荷物入れに1人辺り2個大きめのクッションみたいな枕が用意されていることから、窓側に配置して、出発前の準備は完了だ。
 後は腕時計の時刻をモスクワ時刻に合わせて、今後は現地時間では無くモスクワ時間で生活することとなる。
 というのも列車の時刻表は全てモスクワ時間のため、現地時間を使うと時差が刻々と変更することから、間違えの元になるので基本的には使用しない様にした。

ВЛАДИВОСТ(ウラジオストク) モスクワ起点 9288km (営業キロ 9259km)

 列車は定刻のモスクワ時間4:02(現地時間11:02)に静かに出発。
 発車してしばらくは海岸線に沿って走るためちょこまかと向きを変えるので、余り速度が上がらない。
 しばらくしたら車掌さんが検札にきて、2枚複写の切符の内1枚を回収し原本の一部に手で切れ目を入れて返してくれた。
 海が途切れると今度はラズドリナヤ川に沿って北上していくが、今夜到着するハバロフスクまでは中国領が張り出してきているので、西行きの列車なのに一度北東に進路を取らなければならない。
 とりあえず最初の食事は駅前で購入したピロシキで、中身はキャベツで有った。
 結構大きさがあり、サイズ的には草履くらい有る。
 意外と脂ぎっているので、食べ過ぎると胃もたれするかもしれないがキャベツとの組み合わせはなかなか良いかもしれない。
 
 沿線の風景を写真に撮ろうとすると窓ガラスがかなり汚れているため、カメラのAFが狂ってまともな写真が撮れない。
 車外に出られる駅でチャンスがあれば窓を拭くようにしよう。

 後はブロンドの髪が美しい食堂車の女性スタップが1食はサービスで提供するのでいつがいいか聞いてきたので明日にしてもらう。
 この人は簡単な英語が話せるので、意志の疎通には困らないので助かる。
 昔は相当な美人だった事が伺えるのだが、大分巨大化が進行しているようだ。
 考えてみるとウラジオストクのガイドさんなどは巨大化が進行しておらず、街中の人たちも普通の体型のようだったが、この列車の乗務員女性はどうも巨大化が進行中、もしくは完了した人が多いような気がする。
 不規則な勤務と狭い車内で過ごすため、ストレスによる過食と運動不足が原因かもしれない。
 

УССУРИЙСК(ウスリースク) モスクワ起点 9147km(営業キロ)

 最初の長時間停車は、ウラジオストクから2時間ほどのУССУРИЙСК(ウスリースク)で15分停車である。
 長時間停車の場合は、車外に出られるので早速繰り出すが、ギリギリまで外にいることは出来きず、発車の5分前までには戻って来ている必要がある。
 というのも場合によっては数分単位で早発することがあり、車掌さんが乗り遅れが出ないよう時間前になると乗客を車内に入れてチェックしないといけないからである。
 とりあえず降りられたホームは個室の窓が有るサイドなので、テッシュに水を含ませたもので窓ガラスを拭くものの、低床式ホームのため窓全体には手が届かず、全体の下側1/4程度しか綺麗にすることは出来なかった。
 背伸びして窓ふきに悪戦苦闘していると、通り掛かった警官に笑われてしまうがそんなことは気にしない。
 しかしながら7号車の車掌さんがこいつは何をしているんだ?と言わんばかりの不思議そうな顔でこちらをずっと見ているが、特に文句を言われるような事もなかったので、こちらについてもあまり気にしないでおこう。
 УССУРИЙСК(ウスリースク)での停車も窓ふきと喫煙を行ったらすぐに発車5分前となり、車掌さんに催促されて表に出ていた乗客が皆車内に戻る。
 次の長時間停車はРУЖИНО(ルジノ)で到着は3時間半後だ。

 適当なところで紅茶を飲むためにすぐそばにある車掌室前のサモワール(湯沸かし器)で持参した水筒にお湯を入れていたら、大きく列車が揺れて手にお湯がかかってしまい、思わず日本語で「熱っ!」と言ったら驚いて車掌さんが飛んできたが、たいしたことは無かったので大丈夫と伝える安心したようだ。

7号車の表示板。(窓が汚れて行き先などの文字がよく分からない)

УССУРИЙСК(ウスリースク)

9000km キロポスト

                  РУЖИНО(ルジノ)駅

 ウラジオストクを出発してからずっと車窓を眺めているだけだが、全く飽きることはない。
 結構頻繁に貨物列車とすれ違うが頻度としては5〜10分に1回くらいであろうか。
 どの列車も新型と思われる3車体連結の機関車が牽引して50〜70両程度の貨車が連結されている。
 それなりに貨物輸送が多そうだとは思っていたが、想像以上の運行頻度で、旅客列車とすれ違うことの方がまれである。
 モスクワ時間の9時前(現地時間16時前に)9000kmのキロポストを通過した。
 ウラジオストクから約300kmで5時間要していることから、表定速度は60km/h程度である。
 途中何故か下り線側に何度か進路を変更するため渡り線の分岐を渡るが、その際はいつも35km/hまで速度を落としていたことから分岐側を通過するときの制限速度は35km/hなのだろう。
 下り線側を走行しているが、下り列車は上り線を使用して運行しているので、相単線方式の設備が劣化しないように適時切り替えているのではないかと想像した。

 РУЖИНО(ルジノ)までは途中3駅短時間停車の駅があるが、停車して2,3分するといつもエアコンが停止する。
 おそらくバッテリーの関係だと思うが、発車してしばらくすると稼働することから電源車による集中電源方式ではなく、各車の車軸発電機で電力をまかなっているのではないかと想像する。
 後車内の照明は、読書灯は点灯するものの室内の照明はスイッチを入れても点灯しなかったので、車掌室の元スイッチが切られているようだ。
 

РУЖИНО(ルジノ) モスクワ起点 8902km (営業キロ)

 2駅目となる長時間停車駅のРУЖИНО(ルジノ)へは定刻の9:45(現地時間16:45)に到着。
 現地時間だと夕方になるので、大分日が傾いてきている。
 停車時間は15分のため、実質自由な時間は10分しかない、構内にSLが保存されているので、SLと駅舎の写真を撮ったら、後は自分の車両の入り口付近で喫煙しつつ、車掌さんの目の届く範囲から出ないようにする。
 この辺りになると同じ車両のロシア人から話しかけられるようになるが、とりあえず日本人であることと、簡単なことしか意志の疎通が出来ない。

 車掌さんに催促されて車内に戻るが、同じ車両の欧米人男性はまだ5分有るとどこかに行こうとするので車掌さんから怒られているようだ。
 事前予習で5分前には戻ることを知っていた私は特に車掌さんから目を付けられるようなこともなく平和に過ごす。


РУЖИНО(ルジノ)駅

РУЖИНО(ルジノ)駅

 РУЖИНО(ルジノ)を出発するとしばらくして、部屋のドアをノックされたので出てみると、他の車両の車掌がアイスの車内販売に来ていた。
 車掌は2名で、1名は隣の6号車担当でおそらくこの列車の乗務員で最年少と思われる幼さを残した若い女性で、それを率いるのはやり手婆と行った風貌の何号車の担当かは分からない人であった。
 やり手婆はずけずけと個室に入ってきて、座席に陣取りアイスを売りつけてくる。
 まあせっかくなので一個求めてみるが値段は驚愕の200ルーブルとの事。(この時のレートで360円程度)
 駅の売店で80ルーブル程度なので、大分この人達のコミッションが含まれているボリボリ価格のようだ。
 一瞬マジで?という顔をしたら、若い女性車掌が、ロシア人にしては珍しくにっこりと微笑んでいるので、お前はそのための要員か!!と思いつつ、あきらめて購入。
 やり手婆も満足げに引き揚げて行くが、やり手婆の強引な売り込みと、若い車掌の天使の微笑みを巧みに使い分けるロシア流の押し売りは恐るべしと言わざるを得ない。
 アイスは手に入れたが、何ともいえぬ敗北感が漂う。
 

 日も暮れ掛かった12時半頃(現地時間17時半頃)に夕食にすべく、黒パンとインスタントのマッシュポテト、コーンスープにピクルス、サラミソーセージを用意する。
 マッシュポテトは正直微妙な感じがしないでもないと思っていたら、きちんと混ざっていなかったようで、最後の方は粉末そのままとなっていたので、次に食べるときはきちんとかき混ぜる様に気をつけよう。(結局この後はマッシュポテトは食べず、購入した分は日本へのお土産にした。)

ВЯЗЕМСКАЯ(ヴャーゼムスカヤ) モスクワ起点 8621km (営業キロ)

 完全に暗くなってから次の長時間停車駅ВЯЗЕМСКАЯ(ヴャーゼムスカヤ)には3分早着の13:47(現地時間20:47)に到着。
 車外に出るとあんまり大きな駅ではない感じだ。
 ホーム上には地元人が食品を売りに来ており、イクラやソーセージなどの食品をクーラーバッグに入れて売っている。
 ただあちこちで販売しているものの、誰も売り込みの声を上げずにじっと黙って立っているのが印象的だ。
 恐らく声を上げて販売するのは御法度ではないかという感じがした。
 1等7号車から外に出たの私の他に2,3人で、車掌さんが何かを買っていたようだが、1等車の乗客は誰も購入しなかった。
 2等車の辺りではそれなりに繁盛しているような感じなので、またたま待ちかまえていた場所が悪かったのかもしれない。
 
 構内では各車に給水作業を実施しており、係員があちこちで作業している。
 作業に手間取ったようで、出発は5分遅れの12:27(現地時刻19:27)

ВЯЗЕМСКАЯ(ヴャーゼムスカヤ)駅舎

ВЯЗЕМСКАЯ(ヴャーゼムスカヤ)ホーム

 ВЯЗЕМСКАЯ(ヴャーゼムスカヤ)の次はХАБАРОВСК(ハバロフスク)で到着までは2時間ほど有るので、ちょっと仮眠を取る。
 到着15分前に起きだし、ウラジオストク以来の都会の風景を眺めながら到着を待つ。

ХАБАРОВСК(ハバロフスク) モスクワ起点 8493km (営業キロ)

 到着は定刻の16:00(現地時間23:00)で大都会のためそれなりに乗降がある。
 車掌さんは夜間の担当に交代していたが、40台と思われる寡黙な女性だ。
 ただ冷たい感じは全くなく優しそうな印象を受けるが、たぶん言葉が分からないので恥ずかしいだけかもしれない。
 外に出てみると、急病人なのか何故か担架が用意されており、7号車の普段乗降に使用しない側のドアから車内に入っていった。
 ただそれらしい人がいたようには思えないが・・・・・
 ここの停車時間は38分と比較的長いので、構内の跨線橋を渡り駅前広場まで出てみることにする。
 大都会だけあり、遅い時間にも関わらず人出が多い。
 しかし夜になって大分冷えてきたため、長時間外にいられない事から、適当なところで車内に切り上げる。
 車掌さんにアイコンタクトして戻った事を伝えるとさっさと部屋に戻り出発まで暖を取る。

 ハバロフスクを出発するとすぐにアムール川を越えるはずだ。
 西行き列車はトンネルで通過するらしいと聞いていたが、列車は鉄橋で川を渡る。
 ただ非常に暗く、トラスの2層構造で上部が道路で下側が鉄道用となっていることしか分からない。
 非常に長い橋梁で有ることは分かったのだが、暗すぎて全く写真は撮れなかったのが残念だ。

 アムール川を渡ったことで一応本日のチェックポイントは終了ということで、ベットメイキングをして就寝する。
 就寝中の途中駅で同室になる人が来るかもしれないので、テーブル上の余計な物は片付けておく。
 明日はБЕЛОГОРСК(ベオゴリスク)が日中の最初の長時間停車となるので、2時過ぎ(現地時間8時過ぎ)には起きるようにしないと・・・・・
 ベッドに入り眠ろうかとしたら、定尺レール区間のカーブでちょっと怖いくらい列車が揺れ始めて不安になる。
 曲線部で継ぎ目が開き気味みたいで、ジョイントを通過するたびに外側にガツン、ガツンと体が持って行かれる。
しばらくしたら収まったので、一時的な物だったようだと思っていたらいつの間にか眠りに落ちていた。 

ХАБАРОВСК(ハバロフスク)駅舎

ХАБАРОВСК(ハバロフスク)停車中のロシア号

ХАБАРОВСК(ハバロフスク)駅構内

ベットメーキング