コンコルド再会編 2004年10月3日

    ドイツ、ジンスハイム博物館

 ドイツハイデルベルク近郊のジンスハイム、ここには私が搭乗したコンコルドの量産7号機「F−BVFB」が展示されているジンスハイム博物館がある。
 今回は新婚旅行でハイデルベルクに行ったついでにコンコルドと再会するため立ち寄ることにした。
(どちらがついでかという容赦のない突っ込みはなしね。)

 ハイデルベルク駅から各駅停車で40分、ジンスハイム博物駅に降り立つまでは、実は博物館までどのくらい離れているのか正確には把握していなかった。
 もともと車で来ることが前提となっているようで、博物館のホームページにも車での案内図がメインで、列車のでの行き方はちゃんとかかれていないようだ。
 もっとも駅名が博物館となっているなら歩けない距離ではないだろうと安易に考えとりあえず駅に降り立つこととした。

 ジンスハイム博物館駅は1面1線のローカル駅であったが、列車を降りたら博物館はどこにあるのかという不安は消散した。

 駅のホームからコンコルドとツポレフ144がよく見える!!


 左写真は駅のホームから

 駅から博物館までは1本道で約5分。
 目的のコンコルドが見えているのだから迷うはずもないし、駅に通じる1本の道をたどったらそこはもう博物館の入口だ。

1年半ぶりにF−BVFBと再会 コンコルドスキーこと、ツポレフ144
(不勉強なので博物館で展示されているのはここしか知らない)

 コンコルドは博物館の建物の上に置かれていて、螺旋階段を上がって後部の手荷物用ドアから機内に入ります。
 博物館の改札をくぐり抜けたら、係の人にコンコルドは屋上だと案内されました。
 (ここに来る人の大半がコンコルドが目的みたいです。)
 入口近くにはトリコロールカラーの台車に乗せられたエンジンが。
 おそらくオリンポスエンジンに間違いなさそう。
 博物館の開館とほぼ同時に行ったので、コンコルドの周囲はまだ見学者もまばらですが、1時間もしたら長蛇の列になっておりました。
 なにせ後ろから入って、コクピット直後まで行ってまた後ろに戻ってくる順路なので、機内はあちこちで渋滞してました。
 後ろからのカット、逆光なのがちょっと残念。
 方向舵のアクチュエーターの取り付け位置が左右で違うようです。
 右で上側2/3、左で下側1/3を駆動していた模様。

 機内の座席は見学者の通路や滞留スペースとして結構撤去されています。
 保護のアクリルカバーは座席はもちろん、壁から天井まで完全に覆っており、オリジナルの内装は床以外触れられません。
 ここまで徹底しなくてもと言う印象が・・・・

 座席が残されているところもアクリルのカバーが掛けられており、狭くて通るのが大変。
 さらに機首上げ姿勢のため、機内は結構な傾斜です。
 

 ギリギリ残されていた3列目シート。(上写真)
 左端が私が座った3D、右端はリンクしいてるかねこさんが座ったことのある3Aです。
 1,2列目はコクピット見学者のための滞留スペースとして座席が撤去されてしまっています。

 (右写真)
 3D座席のアップ。
 ここに座ってM2.02で移動したんだと、一人浸りまくってました。

 コクピット直後まで見学できますが、アクリル板は傷だらけで、写真撮影にはちょっと厳しいところです。

 右のトイレも入り口はアクリル板でふさがれてます。
 私も超音速中に用を足したことがある場所です。
(汚い話でごめんなさい。)

 機内換気のため搭乗口のドアが半開きにされていたようですが、雨などは大丈夫なのかちょっと心配になります。

尾部のテールバンパー

主 脚


今にも飛んでいきそう・・・


 博物館のもう一つの目玉 Tu-144 (ツポレフ144)
 NATO コード 「チャージャー」 通称の「コンコルドスキー」のほうが通りがよいかも?
 一応世界最初に初飛行した超音速旅客機、コンコルドに数ヶ月先駆けて進空しています。
 旧ソ連の威信を懸けた機体でしたが、実体はスパイを使ってコンコルドの機密情報を盗み出して制作されたと言われるコンコルドの半コピー。
 もっとも旧ソ連も電子装備系は不得意ですが、意外と機械設計は優秀でスペック上はコンコルドよりも巡航高度、巡航速度とも勝っています。

 世界最初の商業運行もこの機種により行われましたが、旅客では無く郵便を超音速で運んでいたようです。
 その後事故が多発して、旅客輸送も数ヶ月で取りやめとなり、
その後は退役してました。
 ただ数年前まではNASAが実験機としてレンタルで飛ばしていたようです。


 機体後部の入り口付近。
 壁のリブが共産圏の機体であることをプンプン臭わせてます。

 内部の見学者はコンコルドが大盛況なのに対して、こちらはガラガラでした。

 Tu -144の座席(写真上)
 なんか座席が異様に安っぽく感じる。
 エコノミーでももうちょっとましでは?
 こんな座席でも、座れたのは党の一握りの幹部のみなのか・・・。

 座席が残されていたのは、機体前方の右側列のみで、後はすべて撤去されていました。
 ただ、博物館で撤去したのか、郵便輸送用に供された機体のための仕様なのかはわかりません。

 Tu-144のコクピット(右写真)
 コクピット内の高さはコンコルドと大差なしですが、奥行きが長く感じます。(カナードが外側についいているせいか?)
 パネルの緑色がソ連製らしさを醸し出してます。
 操縦席は通常の座席のようなので、この機体は量産型の「S」型のようです。
 原型機は旅客機なのに射出座席が付いていたのは有名な話。
 なんで射出座席が必要かというと、信頼性が低くて・・・・

 エンジン排気口(写真上)
 スラストリバーサーが付いてないので、コンコルドとはだいぶ印象が異なります。

 このエンジンの推力は15.0t(AB使用時で18.1t)、超音速時の燃費が悪いのが特徴です。

 Tu-144の主翼前縁は直線主体で構成されているのがわかります。
 でもぱっと見はコンコルドとそっくり・・・
 コクピット直後のカナードが無ければ、詳しくない人はコンコルドと区別が付かないかも・・・
 まあ、ある意味兄弟みたいな機体だから似てくるのは当然か・・・

 Tu-144の機首部分

 ツポレフの特徴であるカナードのアップです。
 ツポレフはコンコルドと違い、機首のバイザーはレドームと一体になっており、コンコルドのように別構造になっていません。
 そのため着陸時のみならず、視界確保のため離陸時もレドームを下げる必要があり、この部分で受ける空気抵抗で発生する機首下げモーメトをうち消すためにカナードが必要となったようです。
 (コンコルドの離陸時はバイザーを下げて視界を確保し、レドームはわずかにしか下げないので、機首下げモーメントの発生はわずかです。)
 巡航中はカナードを機体のくぼみに沿わせて格納します。

 遠目に見てもかなり複雑な構造をしているように思えます。
 1973年のパリ航空ショーで墜落したツポレフは高機動を行い、カナードが脱落して燃料タンクを破損したのが事故原因になってますので、構造的にも問題が有ったようです。

注)バイザー 操縦席前面の空気抵抗低減用の2重窓。
  レドーム  機首先端の円錐形部分。レーダードームの略?

 2機のツーショット、こうしてみるとツポレフは直線的、コンコルドは優雅な曲線で機体が構成されている印象を受けます。


参考URL ジンスハイム博物館 (ドイツ)  http://www.museum-sinsheim.de/

航空機、自動車、鉄道、戦車などを集めた博物館で、船舶関連はほとんどありません。
博物館内の展示はなり大雑把で、あまりグループごとに分けられていないので、目当ての物を探すのはちょっと大変かも・・・