阿里山森林鉄路

 台湾中部の町嘉義と有名な観光地、阿里山を結ぶ全長約71kmの森林鉄道。
台湾の鉄道を管轄する鉄路局ではなく林務局が管理運営している。
これは、もともと森林資材の輸送用に敷設されたためで、軌間は762mmのナローである。

大まかな路線は、
   嘉義〜阿里山間 「阿里山線」
   阿里山〜祝山間 「祝山線」
   阿里山〜石猴間 「眠月線」
  の3線となっているが、現在でも木材運搬用と見られる支線が何箇所か見られた。
  車両基地は嘉義と北門の間に設置されており、工場等も設置されている。
1.阿里山線
**嘉義駅**
列車の運行は平日は阿里山線に1往復「デラックス特急阿里山号」が運転され途中の交力坪ですれ違うダイヤとなっている。
なお、休日などの多客期に臨時列車があり2往復となる。
 現在のところ阿里山観光はバスが時間、料金とも鉄道の半分のため主導権を握っている状態となっているが、鉄道も3重ルーブやスイッチバックの連続など見せ場が多いため、そこそこの平均乗車率のようである。
 標高30mの嘉義から2200mの阿里山まで一機に上るため、沿線の植生も熱帯林〜暖帯林〜温帯林と変化していく世界有数の登山鉄道である。
**阿里山号車内**
 客車4両編成の嘉義側にディーゼル機関車を連結した状態で運転する。
車内はフリーストップ式のリクライニングシートを1+2配置とし、各車両の嘉義側室内にクーラーを設置している。一車両当りの定員は25名で、1列車当り100名となっている。
 トイレは各車両の阿里山側にあり、タンク式ではなく垂れ流しとなっているが、一応水タンクを屋根上に装備している。
 トイレ脇は推進運転用の前方監視席で、推進運転時でも運転自体は機関車で行なわれるが、監視席の車掌と無線で連絡しながらの運転となる。
 車両間は貫通路があるため行き来可能だが、連結ホロなどは一切ない。
連結器はナローの定番、朝顔式である。
 機関車は三菱製で、B−B配置ロッド駆動となっている。

 列車の速度はそれほど速くなく、全体的に30〜40km程度となっており、特急なのだが途中駅で客がいた場合は停車するようである。
 また、スイッチバックの進行方向の変更も非常に迅速であり、停止して5秒程度で進行方向を変えて出発していく。
連結面 運転台


祝山線

 阿里山観光の定番中の定番、祝山の御来光観光のために敷設された路線で、日の出時刻に合わせて列車が運転されるため朝のみの運転となる。自動車の乗り入れが禁止されているため、観光客全員が乗る阿里山鉄道のドル箱路線である。
 乗車時間は約15分ほどで、片道100元、往復150元だが、帰りは遊歩道を使う人が多く、下山列車はガラガラとなるようである。
通常は朝の1往復のみだが、多客期には3往復となる上、2列車を連結した状態での運転となる。
 車両は眠月線と共用で4両編成+機関車の構成は阿里山線と変わらない。
 車内はロングシートでドアが両端に配置され、つり革が下がっていることからまるで通勤電車のようである。
**祝山駅**

3.眠月線

 阿里山の奥地の観光路線で、終点石猴近辺は遊歩道が整備される。猿が座っているように見える巨岩「石猴」が有名であったが、昨年9月の地震で崩れてしまったらしい。
 通常、列車は午前中に2往復運転され、石猴に到着した列車は1時間ほど停車し、散策を終えた乗客を乗せて阿里山へ戻るパターンとなっている。
 一応列車は運転されているようであるが、乗客が極端に少ないと思われる場合は運休となることもあるようである。
以前はシェイ式蒸気機関車が運転されていたことで有名であるが、現在運転されているのかは不明である。
ただし、沼平駅構内に石炭ガラが線路際に集められていたので、不定期ながら運転もされるようである。
なお、蒸気機関車自体は奮起湖の機間庫に留置されていた。