Z車両改造編

注) 改造を行う際には自己責任でお願いします。

   改造による車両の損傷に対して、当サイトでは一切の責任を持ちません。

1.室内灯の取り付け
Zゲージ用の室内照明も製品が出ているようですが、それなりに高価なため、多数の車両を改造するのは頭の痛い問題です。
せっかくレイアウトの建物に照明を入れたことから、車両も室内灯が点灯しないと寂しいため、手持ちの材料で点灯させてみることにしました。
使用する材料
1)電子パーツ
左から
@定電流ダイオード(出力5V 15mA) 
:入力電圧5V以上で5V、15mAを出力します。

Aブリッジダイオード(25V用)
:レールの電流方向は列車の進行方向により変わるため、常に一方向に流すための整流用。
車両に搭載できるサイズのため直径1cm程度の物をチョイス。

B発光ダイオード 5φ 3.6V 20mA(白色)
サイズ的には3φが理想的でしたが、入手できず5φを使用。

2)その他
@ 真ちゅう版 t=0.2程度少々(3cm×1cm×2枚)
A 真ちゅう線
 0.5φ 20cm程度
今回の改造に充当される車両

IR用客車
基本的にどの客車でも方法は変わりませんが、当鉄道で余剰気味となっているIR客車に今回は白羽の矢を立てました。

客車の分解は特に難しいこともなく、爪を屋根と車体の間に入れて、車体を開き気味にしながら屋根を押し上げると、簡単に分離します。
窓ガラスはも作業の邪魔になるのではずしておきましょう。

台車もセンターのボルスターがはまっているだけなので、ちょっと強めに引き抜けば簡単に分離します。
台車の改造

集電シュー取り付けのため台車を改造します。
左写真の赤い印の位置に0.7φの穴を開けます。
位置的にボルスターに緩衝しないようなるべく端の方に寄せます。

車輪絶縁の関係上1台車に1つしかシューが取り付けられません。

車体側の改造

集電シューを車体側の接点にのばすため穴を開けます。
丁度車体側に凹みが有るのでその部分をピンバイスとカッターを使用して、削り取ります。
この時、シューの取り付け側と穴の開ける方向が合っているか確認しましょう。
穴開け加工後
集電シューの制作

集電シューは台車の車軸に当てて集電します。
台車に穴を開けた位置と車軸の位置を確認しながら現物あわせで加工します。
車軸の接点部と車体の接点部は別パーツになっているので、ハンダ付けで一体化させます。

集電シューには0.5φの真鍮線を使用しています。
集電シューの台車への取り付け

台車内収まるように車軸接点側の真鍮線を現物あわせで切断します。
車体側の接点は後ほど調整するので、この写真ではかなの長めになっています。
集電シューの台車下側から取り付け状況

車軸を保持する部品のすく脇にくるよう調整しています。
車輪のすくそばに配置すると、接触点が多くなり、走行抵抗が増加するのを懸念したためです。
車輪の組み付け後

車軸は片側の車輪からの電気が来ていますので、シューに接触させる向きを確認して組み付けます。

向きを間違えているとショートの原因となります。
室内灯の制作

回路図は有りませんので、組み立て後の写真のみです。
ダイオードブリッジで整流した後、定電流ダイオードで発光ダイオードの容量に合わせて電気を供給するように回路をくみます。
今回は発光ダイオード(3.6V)に対して定電流ダイオードの電圧(5V)が高めですが、多少寿命が短くなる程度と判断して、過負荷の状態で使用しています。
個人的には電流が少な目(定格20mAに対して15mA)なので問題ないと思ってます。

プラバンで集電用の真ちゅう板を瞬間接着剤で固定し、そのまま車両に搭載可能な形状にしています。
真ちゅう板からブリッジダイオードまでは真ちゅう線をハンダ付けして、回路を構成しています。
車両とプラバンの接続は、将来の保守を考慮して、両面テープでの固定としました。
車体に回路ユニットを組み付け後

車体にユニットを固定後、台車側のシューが真ちゅう板に接触するよう根気強く調整します。
この作業が一番肝心な箇所で、真ちゅう板に接触しないと、室内灯が点灯せず、接触が強すぎると車体が傾いた状態になったり、抵抗のためカーブで脱線します。

調整が完了したら、シューの接触部に通電性のあるオイルをさして、抵抗の低減を計ります。
私が使用したのは、KATOのユニクリーンオイルです。
あまりつけすぎると、レールにたれる原因となり、その後の列車の空転等に悩まされると思いますので、注油の際には慎重に。

最後に窓をはめ込み、屋根を取り付ければ完成です。
完成写真

発光ダイオードが1つのため中央のみが明るくなってますが、レイアウト上ではあまり違和感が有りません。
気になる場合はチップ型の発光ダイオードを数個使うことで、光が分散するようにもできます。

後は光ケーブルなどを利用すると、テールランプの点灯なども可能となります。

改造その後

室内灯の改造を4両に実施し、現在耐久試験中ですが、今のところシューの接触不良が1両発生しています。
この改造の肝はシューの調整にあるのは間違いなく、走行性と点灯の安定化のため、細かな調整が適時必要になるようです。
また、集電効率もあまり良くなく、集電している車輪数も片側のレールに対して2軸のみのため、細かなちらつきが発生するのが気にかかりますが、コンデンサーを追加することでこれは解決できそうです。(今のところは追加する予定はありませんが・・・)

また当初想定していた走行抵抗の増加は発生しておらず、室内灯装備の客車4両+無点灯の荷物車の計5両で編成を組んでいますが、機関車が空転するような事態にはなっていません。