リスボントラムのパイク

リスボントラムのパイク

 リスボンのトラムは私が初めてヨーロッパに行ってみたいと思わせた路線ですが、現地に行った感想は、想像以上のおもしろさがあり、いずれ機会が有れば模型で再現してみたいと思っていました。

 3回目のリスボン訪問の際にお土産用のトラムの模型を1つ購入して、構想を練っていましたが、1つでは無く複数買ってくるべきだったと後悔していたところ、大学時代の先輩がリスボンに行くとのことなので、無理を言って3つほど購入してきてもらったのを機に制作を開始するこことしました。

 ただし、建物関係はすべて自作しなければならないで、いきなり本番と言うわけにも行かず、練習を兼ねて、小さいサイズで練習してみることとしました。

 製作期間は1年3ケ月で、気が向いた時にちょっとづつ制作していたため、思いの外時間がかかってしまいました。
 この練習用のパイクで、本番制作のノウハウは収得できたと思いますが、本番のレイアウトの制作開始はもうしばらくしてからになりそうです。

左は現地のイメージ写真です。


 一昨年リスボンに旅行に行った先輩より、お土産に買ってきてもらったトラムの電車を走らせるパイクです。
 電車は無動力の観賞用ですが、全体的なプロポーションは比較的良好で、スケールはピッタシ1/87でHOサイズとなっています。


1. 車両の改造点
(1)動力装置
 無動力なので、当然動力化が必要です、線路は実物が軌間900mmのため、スケール的には若干狭くなりますが、Nゲージ用の線路を使用することとしました。
 動力装置はKATOのポケットライン用をそのまま流用しています。
ホイールベースが若干長くなってしまいましたが、車輪が外からほとんど見えないので、割り切ってます。

(2)車両外観
リスボンのトラムはシングルアームのパンタグラフとトロリーポールの2種類を屋根に装備していますが、製品はかなりオーバースケールなポールだけが付いているので、HO用のパーツに交換しています。
パンタグラフの台座に付いては実物の写真を見ながら、それらしくプラ棒で組み立てました。

 ウインカーとテールライトはボディと一体成形のため、のっぺりとした印象を受けたので、削り落として、ガンプラ用の透明レンズに着色して取り付けました。

 屋根上は一応架線からの汚れを再現するため、ウェザリングを施しています。
(3)照明
ヘッドライトは透明パーツになっているので、内部にLEDを組み込み、点灯しました。
室内灯もLEDで点灯させたので、内部にプライザーのフィギィアを組み込み乗客を配置しています。

トラム全景(正面側)
手前のアルミパネルはコントロール関係

トラム背面側

2.パイクの概要
(1)ベース、線路
 ベースに使用したのは、100円ショップに売っていた、A4用のファイルケースで、素材がポリプロピレンだったので、塗装ができない事から皮調のカッティングシートを全体に張り付けています。
A4のファィルケースですので、サイズは約300mm×220mmです。
ベースの上にホームセンターで購入したコルクのボードをを載せて、その上にレールを敷いています。
線路はKATOのNゲージ用のフレキシブルレールを利用し、最小曲線半径は75mmとしました。
フレキで正確な円を再現するのは難しいので、線路を固定後、紙に鉛筆でレールの形状をトレースして、プラバンにNOCHの石畳シートをコピーした物を張り付けています。
NOCHのシートは高価なのと、サイズが小さく全体を1枚で張ることができないため、スキャナーでパソコンに取り込み、フォトショップでA4サイズになるようコピーしています。

(2)架線関係
 架線柱はゾマフェルト製を緑に塗り替えて使用。
実物のリスボントラムは周囲の建物の壁にアンカーを設置してワイヤーで引っ張って架線を保持していますが、そこまで再現するのは難しかった事から、安易に既製品で済ませています。
 架線はφ0.8mmの真ちゅう線を線路の形に合わせて小判型に加工して、架線柱にハンダ付けしました。

(3)ストラクチャー
・建物
 建物はケント紙による自作で、CADで形状を書いて、ケント紙にプリンターで出力した物を切り出して、組立ててます。
 屋根はグリーンマックスのNゲージ用の瓦屋根を利用。
 室内も一応照明を仕込んでいる関係上、簡単な家具を自作し、内部に配置しています。
建物一階は軽食屋とし、屋号は実在するトラム沿線の店から拝借しました・

・停留場
 停留場は過去に訪れたときの写真を元に、それらしい雰囲気に仕立てました。
 天井のみスモークの入った塩ビ板、周囲はガラスだったので、透明プラバンで再現しています。
 一応、現地と同じように路線図を背面側に掲げています。

(4)電源関係
 電源は12VのACアダプターを利用し、線路への給電にはトランジスタコントローラーを自作して、ベース内部に配置しています。
 速度調節は、ベースの前面に配置したボリュームでコントロールします。
 トラム自体が片方にしか運転台がない構造なので、線路上を時計回りにしか動かさないこととして、逆方向へ走る回路は設定していません。
停留場 停留場の反対側
パイクの夜景

HOサイズなので、比較的照明の設置は容易と考えて、建物と電照式看板、街路灯の点灯を行うこととしました。

建物の1階は軽食屋と言うことで、現地でも普通に蛍光灯が使われていたので、白色LEDを採用。
2階3階は電球色のLEDとして画一にならないようにしました。
電照式看板はチップLEDを看板内に設置しています。
街路灯は現地ではナトリュウムランプが一般的だったことからオレンジLEDを使用しました。

 写真では電照式看板がちょっと明るいですが、直接目で見た場合は丁度良い明るさです。

 
夜景正面側
夜景停留所側 夜景背面側