旅行日記その9

9月22日 一日単独行動
 今日は一日単独行動で市電の写真を撮ることになっており、有名なアルファマ地区に行くため28系統の市電に乗りロケハンする。噂には聞いていたがむちゃくちゃ急な坂道、急カーブ、さらに単線になったり複線のまま線路が割り込むガントレットに狭い路地と、よくぞこんなところに線路を敷いたものだと感心する。一通り状況が把握でき、終点のマルティン・モニースが近づくと一台の路上駐車で電車が動かなくなってしまった。警笛を鳴らすが運転手が戻ってこない、待つこと十分、後ろにも電車がつかえ始めたころ車の運転手が戻ってくると電車の運転手、乗客から罵詈雑言の嵐(ポルトガル語だけど悪意は伝わる)
 終点でおりて写真を撮ろうかとカメラを構えると一人の黒人がふらふら寄ってくる。警戒して場所を変えるがまだ周りをうろついているので12系統の電車に飛び乗りアルファマへ直行する。
 12系統の電車は先程乗った28系統をショートカットする路線で、坂を上る電車しかないらしい。ここでも違法駐車に行く手を阻まれ待つことしばし。でも周りの人はさっきと違い慣れっこといった感じなのでこちらもあせらないことにする。ポスタ・ド・デル広場から有名なアルファマの単線区間まで撮影しながら移動する。
 アルファマの路地に到着した頃から電車がまったく来なくなった。30分後電車が来たときにはなんと5台以上連なってきた。一応、時刻表はあるのだがリスボンの市電は違法駐車しだいのようだ。
 順調に撮影も進み、そろそろ昼時なのでサンタルジア展望台そばのレストランで昼食にする。ここのレストランのウェイターが注文していないものを次々だしてくるのでその都度注文してないと戻させるが、気を付けないとぼられそうだ。
 昼食後はセ大聖堂前のカーブで撮影するが、雲行きがあやしいぞ? 突然大粒の雨がふりだし慌てて近くのカフェに駆け込んで雨宿りする。スペイン、ポルトガルと言うと太陽がいつも輝いているイメージなので傘をもってこなかったが、やはり旅行には必要かと反省。どのみち暗いと写真を撮りづらいのでゆっくり待つことにする。でもこちらのコーヒーは1杯80エスクート゛(50円)ととても安いので気楽に入れるのが利点。結局コーヒー2杯を飲み終わるころ日が差してきたので撮影再開。
 しばらくセ大聖堂前で撮影した後、市電でバイロアルトに行ってみる。よく考えたらサンジョルジュ城をはじめ観光名所に行ってないことになるが、電車好きのかなしき性かビッカのケーブルカーに乗るのを優先させる。[まあ、今回の旅行の目的は市電の写真を撮るのがメインだったからなあ」と無理やり納得する。(リスボンには再びやってくることをこの時点で決意)
 バイロアルトに入ってまもなく、またも違法駐車に遭遇するが、これほどひどいとは思わなかった。動く気配がないので電車を降り徒歩でビッカのケーブルカーへ到着。写真を撮りながら坂を降りて上りのケーブルカーに乗車する。速度は人が歩くのとそれほど変わらないが、自分で歩く気にはならないほど急な坂だ。途中カフェで休憩し、馬鹿の1つ覚えで「ウン ピッカ ファシュファボール」を連発する。でも、数字はわからないのでいくら払えばいいのかわからないから500エスクード札を出してごまかすしかない。
 また、市電でバイシャに戻ろうとするが、この日4度目の違法駐車によりまたも立ち往生となる。いいかげんうんざりするが、まったく動く気配がない。今回は、警察署に近いせいかすぐに警官が集まってきた。痺れを切らし、また徒歩でバイロアルトからバイシャに戻りコルメシオ広場で最後の撮影を済ませホテルに戻る。

 夕食は3人揃って近くのレストランへ、この日はなぜかどのレストランもすいていた。
食後はロシオ広場の上にあるセニョーラドモンテ展望台に行くことにしフィゲイラ宮脇のグロリア線ケーブルカーに乗る。車内は白熱灯でなかなか雰囲気がよく、ちょっぴり太めの運転手さんがいい味を出していた。
 展望台はケーブルカーの隣にあり向かい側にはサンジョルジュ城がライトアップされ幻想的な姿を見せていた。
あとは適当にお茶しながらホテルに戻りおしまい。