1月1日 バダホス往復


 リスボン→アブランテス 
 本日の起床は7時前、昨日ちょっと寝るのが遅かったので起きるのが辛いが、スペイン国境のバダホスまで往復するのには、8時過ぎの急行に乗らないと戻ってこれない。
 ここの宿の朝食は8時からなので今日は当然間に合わない。駅に着いてから調達できれば良いのだが、今日は休日だからやっているかどうか怪しいな、

 7時過ぎに宿を出発するが元旦のためか予想どおりタクシーが走っていない。
しょうがないからサンタ・ア・ポーロニャ駅まで歩いて行くことにしよう。どうせ1キロちょっとだから15分も有れば十分だし、、、
天気はちょっと雨が降っているが、どうせ今日も1日列車に乗り通しなので、駅に着いてしまえば問題ない。
7時30分頃駅に到着し、バダホスまでの1等車の切符を買うとお釣りは待望のユーロで帰ってきた。
何となく、おもちゃみたいな気もするが、真新しいお札はやっぱり良いねえ。
ちなみにバダホスまでの料金は1等車で250Km、約4時間の道のりだが1800円位と日本比べたら嘘の様に安い。

 8時過ぎに列車は発車し、乗換駅のアブランテスまでは約2時間の急行列車の旅となる。
天気は相変わらず、どんよりと雨模様だが幹線を走る事もあり列車は快調に飛ばしていく。
車内はさすがに元旦の朝から出かける人も少ないようで、1両に2、3人とガラガラだが、ビュッフェの方は発車直後から営業しているので朝飯にさせてもらおう。

 アブランテス→バダホス

 10時過ぎに定刻より若干遅れてアブランテスに到着、反対側のバダホス行きの普通列車に乗り換えれば、後はバダホスまで1本だ。
 普通列車でマドリードまで行くという若者一行と一緒になったが、あんまり身なりがよろしくないようなのでちょっと警戒する。
もっとも基本的にはフレンドリーな連中なので問題は無かったが、その中の1人が金に困っているのか、持っているポータブルCDを買い取ってくれとしつこく言ってくる。
 本人にしたらもの凄く良い品という感覚なのだろうが、日本人から見たら何処製かも分からない小汚いCDなんか買うわけがない。
 こちらに値段を付けさせようとするが、とにかくいらないの一点張りで拒否していたら、最後には「ただならどうだ?」と言ってきた。
ただでもいらないとと言っていたら、「嘘だろう?」と言うような感じであったが、周りの連中もゲラゲラ笑ってあきらめろと言っているようだった。
 まあ、日本人に小汚い電化製品売りつけようなどと言うのは、ちょっと世間知らず過ぎるのだろうが、良い勉強になっただろう。
最後にタバコを1本あげて気にするなと言っておいたが、結構がっくりしている様だった。

先ほどの連中も途中で乗り換えらしく、降りてしまったら車内は私と後2,3人だけでほとんど乗客がいなくなってしまった。
途中のアスマーと言う駅までは以前乗ったことがあり、ここを過ぎればマドリードからの乗車区間とつながるので、初期の目的は完了だ。
これで北はエジンバラからロンドン、パリ、リスボン経由でマドリードまで1つの線で結ぶ事ができた。
後はパリからケルンまで繋げればドイツもつながるので、次の夏の旅行で実現させるとしよう。

列車はその後もよく揺れる線路を順調に進み、以前泊まったエルバスを過ぎるといったんポルトガルを出国してスペインに到着だ。
相変わらず、ここの国境はよく分からないが、やっぱり看板とかのたぐいもないようだし、小さな川が有ったけどあれが国境だったのかな?
時差が有るので時計を1時間進める必要があるが、どうせバダホスで折り返すだけなので、そのままにしておこう。
バダホス到着直前で異様に速度を落としたなと思ったらどうやら最近脱線事故が有ったばかりの様で、線路脇にひしゃげた貨車が放置されていた。
        
 バダホス
スペイン時間で13時過ぎに無事バダホスに到着、構内には以前乗ったタルゴがこちらの到着を待っていたようだ。
前回ここの駅に来たときは、スペイン内陸の街メリダから普通列車で到着して、そのままエルバスへ行く列車に乗り継いだので、駅前にも出ていなかったが、改めて駅前を見てもほとんど店らしいものも無い。
一応この地方では大きい街の様だが、街の中心は駅から離れているのだろう。
別に地図も無いので、駅から離れるのは危険なので駅構内で時間をつぶすことにしておこう。
帰りの列車は15時過ぎなので、2時間程度しか待ち時間もないし、、、
構内にはカフェも有るので、コーヒーでも飲んで時間をつぶすが、まだここではユーロがあんまり流通してないようだ。
みんなペセタで支払いを済ませている。
一応わずかでは有るが、ペセタも持っているので支払いに付いては問題ないが、リスボンまで切符代ほどはペセタの持ち合わせがないな。切符を買う時はエスクードが使えるのだろうか?
帰りの切符を買いに行くと案の定ペセタでなければだめのようだ。
持ち合わせがないので、カードが使えるかどうか確認したら問題ないようだ。
まあ、ここで買えなければ車掌から買えばエスクードが使えるから問題は無かったんだけど、レンフェ(スペイン国鉄)の切符もほしかったのでここで買っておこう。

バダホス→アブランテス
2時間程度の待ち時間も結構あっという間に過ぎてしまい、そろそろ発車の時間なので列車に乗り込むが、接続する普通列車が遅れているようだ。
車内で待っていると、やたら恰幅のいいおばさんにこの列車はリスボン行きか聞かれたので、途中で乗り換えだと教えてあげた。
どうもイベリア半島系の風貌ではないなと思っていたら、なんとロシアのモスクワから来たことが判明、数少ない知っているロシア語のハラショで答えるととたんにフレンドリーになった。
その後同行者と思われるおじさん3人と合流していたが、どうも旅行と言う感じではないようだ。
勝手な想像ではロシアから出稼ぎに来ていて、クリスマス休暇で帰っていたが、休暇の終わりで戻る途中ではないかと思われる。
ロシア人というと常にウォッカを片手にというイメージがあるが、どうやらウォッカは持っていない様だ。彼らもいつも酔っぱらっている訳ではなさそうだ。
結局20分遅れで、普通列車の到着を待ってから発車となったが、乗り継いだ客は誰もいなかった。
どうやら接続を取っても無駄骨だったらしい。機関車は汽笛を寂しく響かせながらポルトガルに向け走り出したが、相変わらず空気を運んでいるようで1列車の乗客は10人いないようだ。

 ポルトガル側に戻ると、時間は14時過ぎに戻るが時計を進めていなかったので、特に目に見えて何かが変わる訳ではない。
 車掌が検札に来ると先ほどのロシア人の一行はポルトガル南部の街ラゴスに向かうようで、車掌に時間を聞いていたが車掌はリスボンまでしか分からないようだ。
 一応トーマスクック時刻表を持っているので、助け船を出してあげるが、ロシア人一行は時刻表が読めないらしい。
 向こうの言う目的地をロシア語の地図で示してもらい、該当する街を日本語の地図から読み直してと、ほとんど未知との遭遇を地で行く作業を続けた結果、彼らが目的地に到着するのは翌日の朝と判明。
予定していたのと異なるらしく、リスボンからバスを探してみるとの事で落ち着いた。
 しかし、キリル文字の地図は初めて見たが、なんて読むのか全く分からなかった。
 多少は分かるようにしておかないと、東欧圏やロシアに行くのはかなりきつそうだと実感する。
いずれはシベリア鉄道でユーラシアを横断などと考えていたので、それなりに覚えておかないと実現できそうもない。

 出発の遅れが響いたのか結局30分遅れでアブランテスに到着するが、すっかり日が落ちてしまった。
接続する急行は行ってしまったのかとも思ったが、どうやら急行も遅れているようだ。
とりあえず1等車の座席予約をしてホームで待っていると、本来後続の普通列車が先に到着したようだ。
一応、近くの老紳士にこの列車は急行かと確認するとやはり違うようだ。
先ほどのロシア人一行はこちらに乗ったようで、発車する車内から手を振って挨拶してくれた。
まさかポルトガルでロシアの人と交流があるとは思わなかったが、良い経験になったな。
その後は急行が到着するまで、先ほどの紳士と英語で簡単な話をして時間をつぶし、列車が到着すると車両が別々のため、お礼を行って別れる事にする。
今日はいろんな人と交流で来て結構楽しかったなと思いつつ、疲れが出たのかリスボン到着まで爆睡してしまった。
リスボン到着後はタクシーでホテルに戻るが、あんまり長い距離で無いせいか運転手の機嫌が良くないようだ。
周りの車を無茶苦茶あおりながらも無事ホテルに到着、食事に出る元気も無いので部屋でおとなしくしていたら、いつの間にか眠りこけてしまったようだ。