11月23日 DMZ(非武装中立地帯)、第三南侵トンネル見学



本日は昨日申し込んだDMZ、第三南侵トンネルのツアーに参加するために9時前までに大韓旅行社に行く必要がある。
しかし今晩はこのホテルに泊まれるか判らないので一応チェックアウトの準備をしていったんレセプションに向かう。
昨日の段階では今夜の予約が完全に把握できていない様なので、再度確認してみると今晩も問題なく泊まれるらしい。

今晩の宿も無事確保できてほっとしながら、歩いて5分ほどの大韓旅行社に向かう。
集合時間にはちょっと早かったので旅行社の中で時間をつぶさせてもらうことにして、他の参加者が集まるのを待つことにする。
こちらの旅行社では、「板門店24時」というビデオCDが売られていたので、行けなかったついでに購入しておく。
内容的には、よくテレビでやる「警視庁24時」みたいな内容だが、ちょっとした資料として持っておくのも面白いかもしれない。
9時前になり、子育てを終えて悠々自適と言った感じのご夫婦と若いカップルが合流してバスの方に案内される。
あまり人数はいないのかと思いきや、すでにバスの中に男性の3人連れがいた。
通常は日本人ばかりではなく雑多な人種になるそうだが、この日は珍しいことに参加者8人全員が日本人であった。
本来なら日本語、英語でガイドが数人付くそうなのだそうだが、今日のツアーは全員日本人なので日本語ガイドの全さんという女性が案内してくれる。

9時過ぎにロッテホテルを出発し、全さんの説明を聞きながら非武装地帯を目指して高速道路を北上する。
車窓には延々と鉄条網が続き、所々に監視所と敵の侵攻をくい止める対戦車障害物が見受けられた。
特に爆破して道を塞ぐ門型の爆破障害物は写真にとってみたいものの1つであったが当然撮影禁止でカメラを向けることはできない。
道路を北上するにつれ前線に向かっているらしく警備がだんだん厳重になっており緊張感がこちらにも伝わってくる。
途中兵士を乗せたトラックとすれ違ったりするが、この寒空に幌もなく吹きさらしのまま乗っているのにはバス車内からも思わず「寒そー!」の声が、、、
途中民間人の立ち入れる限界となる統一大橋の手前でパスポートのチェックを受けてから警戒区域の中に入っていく。
まず最初はこの一帯を管轄する第1師団の広報館(滅共館)で説明を受けるようだ。
ここで見せられたのは、北朝鮮が南侵するため掘ったトンネルのうち、現在発見されている4本トンネルについてのビデオであった。
今までどうやって北朝鮮のトンネルを発見しているのかよく判らなかったのだが、どうやら韓国側が休戦ラインに沿って数mおきに探査ボーリングを行って発見したとのこと。
てっきり音響探査かなにかかと思っていたが、以外と原始的な方法で見つけていたようだ。

ビデオ鑑賞の後は資料室を全さんの説明で案内されるが、ここで一番気になったのは軍事面でなく韓国の歴史であった。
詳しい内容は覚えてないが、全さんいわく「韓国の歴史は5000年で〜」(韓国って4000年の歴史を誇る中国より歴史が古いのか?)
さらに話を聞いていくと「その昔、虎と熊が人間になりたいと神様にお願いしたところ、神様は2匹に試練を与えた。虎は気が短くてすぐに止めてしまったが、熊は神様の言葉を忠実に守ったので人間の女性になれたそうだ。だが1人では寂しいので神様の子供を人間の男性にしてもらい二人の間に生まれたのが朝鮮人の祖先で、その人が5000年前にいたとの話がある」とのこと。
これを聞いていて正直突っ込みどころ満載だと思ったが、まずこの話は歴史ではなく伝説だろう!さらに朝鮮人の祖先は熊なのか?伝説を引き合いに出して5000年の歴史?
その場で突っ込みたい衝動に駆られたがここは韓国、しかも自称屈強を誇る第1師団の広報館、アウェーの状態で歴史の論争を繰り広げるのは非常に不利だ。
それにあんまり核心を突きすぎると逆ギレして、すぐ「日帝36年の支配〜」とか言われて最後にはお決まりの「謝罪と賠償を要求〜」とつながるのが目に浮かぶので黙っておくのが大人というものであろう。

広報館を後にすると次はDMZを一望できる虎展望台に向かう。
道の周囲にはロープが張られ、赤い標識が掲げられている。
この標識は地雷の表示で、道路以外はほとんど地雷原となっているようだ。
バスで急な上り坂を登り切って虎展望台に到着するが、ここは展望台の建物だけ写真撮影が許可されたがDMZの方は禁止とのこと。
正直建物なんかどうでもよいのだが、ここまでほとんど写真をとってないので一応撮っておくことにするか。
展望台の内部は吹きさらしかと思ったら大学の講堂の様な感じでいがいと広い。
韓国軍憲兵の説明を一通り聞いてから北側を見てみるが意外と霧がでていて視界が開けない。
休戦ラインより南方2Kmにある韓国側の南方限界線の鉄条網ははっきりと見えるが、北側までは見通せないようだ。
休戦ラインそのものは境界の石を点々と並べているだけのようなのでとても識別できるようなものではないらしい。
一応有料だが望遠鏡も置いてあるので覗いて見ることにするが、説明の時にでてきた朝鮮戦争時に破壊されたSLがDMZの中に放置されているのを探してもなかなか見つからない。
先ほど説明していただいた憲兵さんに望遠鏡を合わせてもらって何とか見つけるが50年も放置されると周囲に溶け込んでほとんど見分けがつかないようだ。

第三南侵トンネル

展望台の次は北朝鮮が侵略の意図で掘削した第三南侵トンネルに向かう。
このトンネルは3番目に発見されたトンネルで、現在のところ4本まで発見されているらしい。
ただ、完全に他に無いと言い切れず、まだ見つかっていないトンネルの存在も否定できないようだ。
ここのトンネルも入口だけ撮影可能で内部は撮影禁止、別に北朝鮮の協定違反を糾弾するのにはもってこいなのだから写真くらい撮らせてもいいだろうに。
もっともこの入口もトンネル発見後韓国側が掘削した斜坑で、北朝鮮が掘削した地下73mまで300mの長さがある。
入口の看板で説明を受けてから早速内部に入ることにするが、社会科見学の小学生があがってくるところなので、狭い斜坑内は大混雑だ。

内部は照明も薄暗いし、かなりの急角度のうえ足元が悪いので気をつけないと下まで滑り落ちてしまいそう。
狭い斜坑を延々と下ってやっと平らなところに出るとそこが北朝鮮が掘削した南侵トンネル本体だ。
内部は高さが1.8m幅が2mほどでそれほど広くはないが、武装した兵士が韓国側に押し寄せるには十分な広さだろう。
このトンネルは完成せずに発見されているので掘削途中で放棄されているが、最先端にはダイナマイトを仕掛けるための発破孔が残されていた。
でもこんなところで発破してても上まで音や振動が伝わらないものなのだとちょっと感心してしまった。
私の感覚では、ばれないように手堀で工事したのかなと思っていたが、やることが大胆というかなんと言うか。
切羽からトンネルを北側に260mほど進むとそこは韓国側が封印するために製作したコンクリート壁で行き止まりとなっていた。
壁は3重構造で一部には爆薬を仕掛けて北側が使えないように配慮しているようだ。
以前はこの壁の前で兵士が歩哨に付いていたらしいが、最近はテレビカメラでの監視に切り替えてやめてしまったそうだ。
外に出るため来た道を戻るが、登りの斜坑がものすごくきつい、一応途中休憩する事は無かったが地上に戻る頃には膝ガクガクだ。

見学の方はこれで終了で、バスに乗り込み統一大橋をわたって警戒区域を後にする。
後はツアーに含まれる昼食のため、途中のドライブインで石焼きビビンバを食べてから2時過ぎロッテホテルに到着。


新炭里往復
ツアー後の予定はなにも考えていなかったが、ソウルは特に見たいところもないので韓国最北端の駅、京元線の新炭里まで行ってみることにするか。
京元線は議政府駅から出発するので、地下鉄で議政府駅に向かうが、意外と列車が遅くて同じソウル市内なのに到着に1時間以上も掛かるとは思わなかった。
当初は議政府発15:20の列車に乗るはずだったが、到着が遅れたので16:20の列車になった。

これでは新炭里に到着する頃には日が暮れてしまいそうだが、とりあえず往復してみるか。
列車は5両編成の結構新しい気動車だが、前線方面に向かう列車らしく乗客には兵士が多い。
途中の線路沿いにも対戦車障害物が多数あり、戦争を身近に感じさせる路線であることが実感できる。

約1時間の乗車で新炭里に到着するが、すでに日は暮れているし、駅前にも商店も無く閑散としている。
20分で列車が折り返すので、駅前をちょっと見てから引き返すことにする。
帰りの列車はそれほど乗客もおらず、ひっそりと議政府駅を目指す。
車内ではトンネル見学での疲れが出たのか、ちょっと居眠りしてしまったが7時30頃無事議政府駅に到着。


明日は江稜へ向かうので、ソウル駅に行って切符を手配しておくことにしよう。地下鉄でそのままソウル駅に向かい昨日立ち寄った案内所に向かう。
ソウル駅は夕方のラッシュ時刻なの切符売り場の窓口はどこも混雑している。
とりあえず案内所でも切符を買えるようなので、順番を待つがはっきり言って韓国人のモラルは最低で、どんどん割り込んでくる。
私の番になって時刻表に印を付けたのを窓口に見せようとすると、何の躊躇も無く爺様が割り込んできた。このときは儒教の国だし私の後ろには並んでないからお年寄りには譲ってやるかと気にもしなかった。
爺様が終わると今度は、若い人が切符を見て急いでいるような仕草をしているので、こちらも急ぐわけでは無いので、先に買わせてやることにする。
この人は礼儀正しくちゃんとお礼を言っていったので、こちらとしても別に気分を害することも無かったが、さらに割り込もうとする爺様が現れたので、さすがにむっときたので横にどかすことにしよう。
何か文句言っていたが、案内所のお姉さんもこっちが先だというようなことを言っているのかすごすご退散していった。
切符の方はちょっと込み入った買い方だったので、なかなかこちらの意図が伝わらなかったが、無事江稜までのムグンファ号の切符を手配できた。
ただ片道7時間掛かるので、現地到着は夕方5時、帰りは10時過ぎの夜行列車なのでほとんど現地の観光はできそうも無いな。
もっともそれほど見るところもなさそうだし。

切符の手配が完了したし後はホテルの近くで夕食にする事にするか。ホテルがある明洞の焼き肉屋に入ると、結構日本人が多いらしく日本語が飛び交っているようだ。
今回は普通の焼き肉ではなく、プルコギにしておこう。
ただプルコギは2人前からしかないようだが、まあ何とかなるでしょう。
出てきた料理は結構ボリュームがありそうだと思ったが、焼いているうちに小さくなって丁度いいくらいの量であった。

食後はホテルに戻り、なんか疲れたので早めに就寝するが、明日は10時発の列車なので寝坊しても大丈夫だろう。