2007年 6月8日 13日目 ストックホルム移動

 コペンハーゲン→マルメ

 この日も朝は早くから起き出し、ホテル脇の線路で写真撮影をして過ごす。
 本日はコペンハーゲンの対岸のスウェーデンに渡り、ストックホルムまでの移動だ。
 
 ホテルで朝食を取った後チェックアウトし、オスタポート駅からマルメ中央駅行きの列車に乗車する。
 やってきたのは昨日に引き続きET型の列車で、昨日訪れたヘルシンオアとマルメの間をコペンハーゲ゛ン経由で往復する運用の様だ。
 本日はパスを使用するため一等車での移動となるため車内はだいぶすいている。
 
 途中中央駅、空港駅を経由して国境の橋となるオースレン大橋を通過する。
 結構長い橋で、海峡は国際航路になっているため高さも高いが、列車の場合は橋のトラスが結構邪魔で見晴らしはイマイチのようだ。
 
 スウェーデンに入り途中マルメ南駅に停車すればコペンハーゲンから40分で終点マルメ中央駅に到着。
 構内にはスウェーデンの列車が停車しているが、近郊電車などは紫の塗装でちょっと私の趣味とは合わないようだ。
 雑貨などで最近は北欧のデザインが注目されつつあるようだが、列車のデザインについてはスウェーデンよりデンマークの方が好感が持てるなあ。
マルメ観光

 マルメの呼び方はガイドブックによりマルメだったり、マルモだったりいろいろあるようで、本当のところはどうなのか気になって、車内放送での呼び方に気を付けたところ、私の耳には「マルムォ」と発音しているように聞こえた。
 (自分の耳に自信がないので、ここではマルメと表記します。)

  マルメ中央駅には10時前に到着し、1国の首都から電車で1時間足らずで隣の国になるというのが信じられないが、通貨が変わる以外は特に意識するような事はない。
 駅構内に両替屋があるので残っていたデンマーククローネをスウェーデンクローネに両替し、荷物をコインロッカーに放り込んだら、早速市内観光に出かけることにしよう。

 マルメでの見所は駅からほど近いマルメヒュース(お城)と技術、海洋博物館の2カ所だ。
 もっとも私の目的地は後者だけと言っても過言ではないのだが、マルメヒュースと博物館の切符は共通なので両方見ていくことにしたというのが真相に近い。

 今日も日差しが強く、歩いていても日陰を探してしまう。
 駅から15分ほどでマルメヒュースに到着するが、道中の公園などは結構ゴミが散乱しており、妻の方は環境に配慮した先進国というイメージがだいぶ揺らいできているようだ。
 マルメヒュースはお城と言うより博物館兼美術館と水族館が一緒になったような施設で、外見こそ昔のお城だが、内部は現代アートあり、付近の歴史解説や地下の水族館などかなり混沌とした施設のように感じる。
 適当に覗いて回るが正直、余りおもしろくないのでさっさと本命の技術・海洋博物館に移動することにしよう。

 技術・海洋博物館はマルメヒュースから徒歩3分で到着、ヒュースのチケットを見せたらそのまま入場できる。
 今回ここに来たのはとある機体が展示されているからで、その機体とはスウェーデン空軍で活躍したサーブ35ドラケンである。
 エリ8読者であった私としては、ここははずすことは出来ない。
 館内に入ると最初に目を引くのは中庭に鎮座している潜水艦だ。
 元スウェーデン海軍所属だと思われるが、解説がスウェーデン語なので理解できない。
 
 ドラケンの方はすぐに見つかるが、正直写真を撮るには厳しい光線状態だ。
 暗い館内に明るい背景と言うことでまともな写真を撮ることはあきらめて、じっくり観察するが、原型初飛行から50年以上経っているのになかなか美しい機体である。
 思ったより小さい様だが、スウェーデンの特殊な運用方法を考えると大型機は不都合なのだろう。
 主翼が取り外し可能でトラック輸送が出来ることを考えるとこのくらいの大きさが限界だろうし・・・。

 潜水艦の方も内部が見学できるので当然入ってみるが、発令所前後の耐圧区画を通り過ぎるときに水密ハッチの周りに足掛かりがないので、うまく通れずジタバタしていたらその姿を妻に撮られてしまう。
 しばらくは館内をのんびり見学するがあとはめぼしい物も無いようだ。
 13時前に博物館を後にし、昼食を取りに市街の中心部に向かう。
 市内をブラブラ歩き、グスタフ・アドルフ広場の方に向かうが、市街には白い水兵がかぶるような帽子を被って騒いでいる若者もが多い。
 女の子はそろって白い服を着て笛を吹いて気勢を上げているが、何かのお祭りなのだろうか?
 町のあちこちでこのような若者がいるがので、そこら中で笛の音がしてかなり騒々しい。
 我々はこちらの成人式の様な物とかと想像しつつ、年齢的にはちょっと若そうなので卒業式なのではないかとの結論に達する。

 グスタフ・アドルフ広場のマックで昼食をすることにするが、この後は16時過ぎの列車でストックホルムに移動するのだが、列車の指定席は確保しているため時間までどこかを見てあることにするが正直見所は余りなさそうだ。

 結局ここからしばらく妻と別行動となり駅の両替屋前で落ち合うこととして、妻はウィンドウショッピングに、私はよくわからないがガイドブックにあった車両博物館に行ってみることにする。
 
 グスタフ・アドルフ広場から歩くこと15分で問題の博物館らしきところには到着したが、それらしき建物が見つからない。
 車両博物館と言うことで、鉄道か車かどちらかだとは思うのだが、付近に線路が引き込まれている様子もないことから車関係なのだろう。
 しばらくうろうろしても見つからないので、さっさと見切りをつけて駅のホームで列車の写真を撮って時間を潰すことにしよう。
 列車の発車までは2時間程度あるので、ホーム端より到着する列車を狙うが、どうも出入りするのはIC3と同じ前面のET型電車ばかりのようだ。
 コペンハーゲンへの連絡列車ばかりなのかと思ったら、スウェーデンでも同じ車両を導入して近郊で運用しているらしく、大部分がスウェーデン所属の編成であった。

 そのうちスウェーデンご自慢のX2000も到着するが、最近リニューアルを行ったようで、そのグレー一色の前面は骸骨かムンクの叫びを彷彿とさせる。
 以前は白地に黒抜きでかなり精悍な印象だったのだが、正直このデザインはいただけない。
 この後も何編成かX2000を見かけるがすべてリニューアルされているようで、従来の塗装は遂に見られなかった。
 またスウェーデンの列車はテールランプに特徴があり、通常は赤色で点滅しないがスウェーデンの車両は点滅しているのが印象的であった。


 マルメ→ストックホルム


 構内でしばらく撮影しているとホーム端は日陰がないため、ずいぶんと暑さで体力を消耗してしまったようだ。
 構内に戻り妻と合流して我々の乗車するX2000の案内表示が出るまで、ベンチで待つことにする。

 発車時刻の30分ほど前に我々の乗車するX2000、ストックホルム行きの案内が始まり、4番線からの発車となるようだ。
 あわてて行っても入線していないだろうから、しばらくしてから荷物を引きだし発車15分前にホームに行くがまだ入線していないようだ。
 今回の旅行の楽しみの一つが今回のX2000への乗車であったので、この先どのような走りを披露してもらえるのか楽しみである。
 カーブの多い路線を高速で駆け抜けるために採用された強制振り子式の高速列車はドイツのICE−T以来だし、車窓も湖が多いらしいので色々と期待が持てそうだ。
 ホーム上でも乗客が貯まりだしたが、そろそろ発車時刻の5分前で、ちょっと入線が遅くないかと思っていたらホーム上にあった行き先案内の表示が消えてしまった。
 これはおかしいと思い、コンコースの出発案内をあわてて確認すると10番線に変更となっているようだ。
 あわてて10番線へと荷物を引きずり、ホーム上の他の旅客もあわただしく移動を開始する。

 このとき頭のなかでは列車の撮影時にホームの使用区分を見ていたところ9番線以降は近郊列車専用ホームの様な気がしたが、勘違いだったのか?と思いつつ問題の10番線に到着すると予想外というかある意味予想どおりの列車が鎮座していた。
 「え〜と、、、、これがX2000?」
 そこに停車していたのはマルメ到着時に色が変とイチャモンをつけていた近郊型のX11である。
 行き先表示器にはマルメと書いてあるし、これはどういうことかと悩んでいたら、そばにいた他の乗客がストックホルムに行くにはこれに乗れと教えてくれた。
 ここら辺でやっと事情が飲み込めてきたが、また完全には疑問は解けていない。
 とりあえず車内に入り席を確保すると、近くのアテンダントを捕まえて、再度X2000はこの列車なのか確認すると途中で乗り換えだとの事である。
 私の語学力に問題があり完全にはわからなかったが、こちらの解釈では何らかの理由によりダイヤが乱れて本来のX2000が遅れており、マルメまで来ていては本日中にストックホルムに到着できないので、途中の駅まで代走を走らせて、X2000に接続させるものと解釈した。
 10番線の行き先案内表示もストックホルム行き X2000と書いてあるのでこのまま乗っていくしかないか。
 本来乗る予定ではなかったX11型にも乗れたのである意味ラッキーかもしれない。

 列車は本来の時刻を20分ほど遅れて出発したが、7両編成のX2000に対して2両のX11で席に余裕があるので意外と乗客は少ないようだ。
 
 列車は信号停車が多いのか、駅ではないところで結構停車しつつも走れるところでは140km/h程度で北に向かって快走する。
 車内は一応クロスシートだがリクライニングもしないし、このままこの列車でストックホルムまでだったら指定料金は払い戻しだろうなどと考えていたら、案内放送で次が乗換駅のようだ。 
 HASSLEHOLMという駅に到着すると反対側にX2000が止まっている。
マルメからほぼ1時間経っており、近郊型での移動距離は約80kmで終わりのようだ。

 待望のX2000だがいつ発車するのかわからないので、感慨にひたる間もなくあわただしく車内に入る。
 席の方は一等車を予約しており、進行方向を向いた二人がけが割れ当てられていた。
 これには進行方向を向いて座らないと酔いやすい妻も一安心だがここで安堵したのもつかの間、X2000の苦難はこの後に襲いかかってくるのだった。
 乗り換えも終わり乗客がすべて乗ったのを見計らってX2000の方はストックホルムに向かって出発するが、意外と信号停車があって速度が上がらない。
 
 しばらくしてやっと順調に走り始め車窓に見入っていると、突然後ろの方から女性アテンダントが「ヘイ!!」と声をかけてなにやらまくし立てるように話している。
 いきなり「ヘイ!!か?」とちょっと混乱したが、こちらでは一般的な挨拶だっただけなのにドタバタの後でいきなり想定外の声を掛けられたのでパニック気味だ。
 よくよく聞いてみた食事サービスだけだったのだが、混乱気味のこちらにはちょっとしたことで精神的に疲弊していく。

 食事は簡単なサンドウィッチだけだで、正直晩飯にはちょっと物足らない。
 妻の方には十分な量だったようだが、さすがにファーストフードばかりの食事にちょっとした意見の行き違いが発生する。

 列車はヨンショーピンの駅に2時間遅れで到着したが、なにやら車内放送でシグナル何とかと言っている。
 しばらく止まるらしいので、アテンダントを捕まえて聞いてみると、どうも先行列車が詰まっているようで、いつ発車になるかわからないようだ。
 そのうち隣のホームには後続のX2000が追いついてきてしまい、2本並んでしばらく線路が空くのを待つ。
 
 20分ほどの停車の後、何とか発車しその後はたまに信号停車はあるもののおおよそ200km/hくらいのペースで進行していく。
 
 途中は不覚にも30分ほど眠ってしまったが、目をさますと妻の様子がおかしいというか怪しい。
 どうやら強制振り子の列車に酔い気味なのと冷房の寒さにまいっているようだ。
 上着をきて頭にはフードを被って前屈みに座っており、端から見たらかなり怪しいが、この姿勢が一番楽なのだそうだ。
 確かに振り子のため結構ゆれるとは思っていたが、こんな事では鉄系人間の妻は務まらないぞ。
 列車の方はだいぶ速度が乗ってきたようで、カーブでは内側に車体が傾斜しているのが窓の外を見ているとわかるが、ボケッとしていたら気が付かなさそうだ。
 振り子制御が優秀なのか、私が鈍感なのかわからないが、振り子だからと特に変わった感覚が感じられないのは少し残念。

 その後途中から乗車して後ろの席に乗った老人が一杯引っかけてご機嫌なのかずっと鼻歌を歌っているのが正直うっとうしい。
 列車の方はベタベタに遅れ、到着予定時刻の8時を過ぎてもまだまだストックホルム到着する気配はない。
 妻の方にはこの苦行がいつ終わるかがわからないのは辛いところだがこればかりはしょうがない。

 結局列車は2時間半遅れて、10時半頃ストックホルム駅に到着した。
 さすがにこの時間では日も落ちかかってだいぶ薄暗くなっている。

 ホテルは地下鉄で一駅のガムラスタンに予約してあるのだが、不慣れな町で夜ホテルを探して歩き回るのも不安なので、駅からタクシーでホテルに向かう。
 ちょっと短い距離でドライバーには悪いことをしたが、運が悪かったとあきらめてもらうしかない。

 本日の宿はMALARDROTTNINGEN BOATでガムラスタンのリッダーホルム教会の向かい側に浮かぶ船がホテルになっている。
 ストックホルムもなかなか宿が取れず、何とか予約出来たのがここだった。
 当然船のため波があれば揺れるようで、寝ていれば気にならないが、座っていると若干揺れを感じる。
 船は苦手なのだが、湖だしなんとかなるかと思っていたら予想外に揺れる。
 妻はX2000の後でさらにホテルが揺れるということでかなりのダメージのようだ。
 
 部屋に入って落ち着くとすでに11時を回っている。
 写真などのデータを整理したらさっさと寝ることにしよう。
 今日は予想外の遅延で結構疲れたよ・・・。