2014年 9月17日 6日目 コシツェ移動日

  EC532列車


駅の出発案内表示板
 本日でハンガリーを出国しスロバキアに移動する。
 本日の行き先はスロバキア東部にある第2の都市コシツェ。
 ミシュコルツからは北東に約80km程度の距離だ。
 列車での移動の場合、ミシュコルツからコシツェに行ける列車は3本のみ。
 特に朝のEC(国際特急 ユーロシテイ)を逃すと、その次は13時と15時台となり、しかも国境で乗り換えのため、3時間もかかってしまう。
 国境で乗り換える列車も悪くはないが、コシツェへの到着が遅くなることから、今回は朝のECを予約していた。
 
 昨夜は服も脱がずに寝た割に結構熟睡しているようで、起床は5時過ぎ。
 多少は時差ボケが改善しつつあるが、変な寝方をしたので体が固まり気味である。
 駅には出発の1時間前には到着したいので、6時過ぎから食事にして荷物をまとめると7時過ぎにはホテルを出発する。
 まだレセプションは開いていないので、昨日のホテル従業員から言われた通り入り口脇のポストに鍵を返却しておく。
 
 駅に向かうトラムは通勤時間帯で混むかもしれないと思ったが、混雑するのは駅とは反対方向のようだ。
 トラムに乗車すると、係員が運転台のすぐ後ろにいる。
 てっきり検札が有るのかと思ったが、どうやら空調システムの調整のようで、しきりに運転手とやりとりをしており、結局検札に来ることはなかった。
 それなりに空席のあるトラムに揺られること約15分でミシュコルツ駅前に到着。
 列車の案内を確認したところ列車の方は特に遅れはないようだ。
 
 毎度の事ながら妻に荷物を見ていてもらい、駅の構内を覗いてみるがほとんど列車はいない。
 東側に留置線が有るようだが、架線柱が邪魔で写真を撮る気にもならない。
 適当に見て回った後は、妻と交代のため待合室に戻る。
 妻の方も適当に散策してみたようだが、まだ開いている店もなさそうだ。

 ハンガリーの通貨フォリントを使うのはここが最後のチャンスとなるので、小銭を使い切ってしまった方が良いことから地下にある売店で飲み物とお菓子を購入するが、小銭をなくすという当初の目的余り達成できなかった。

 列車の到着まで15分ほどとなったので、案内にある9番線に向かう。
 ホームに上がるとホーム上屋がコンクリート製で柱を千鳥配置にしてあるなかなか凝った構造だが、あちこちでコンクリートが剥落し、鉄筋が剥き出しとなり錆びているので、崩落防止用の鉄骨で補強されていた。
 あちこちのインフラが老朽化しているが、更新が追いついていない様子が伺える。
 
 列車の方はほぼ定刻で到着だが、相変わらず編成は短く客車は3両で、牽引機はオーストリアのTaurusと同型の470型だ。 
 下車するお客がそれなりに多いので、座席指定はしていないが特に問題なくボックス席を確保できた。
 いつものごく妻に進行方向正面の席を譲り、私は後ろ向きとなる席でコシツェを目指す。

 乗車時間は1時間30分といつもの移動に比べれば短い方だ。
 沿線の風景は昨日と特に変わらず余り起伏のない田園地帯となっている。
 線路の方は途中から単線になったようだが、特急のため離合のために運転停車するようなこともなく、20分に1回程度停車駅のため駅に止まる程度だ。

 妻の方はいつの間にか眠りに落ちているものの、上を向いて口をパクパクさせている。
 その様子はまるで池の鯉のようで、さすがに寝言でも言い出したら起こそうと思ったが、特に害はないようなのでとりあえず証拠写真だけを撮ってしばらく様子を見ることにしよう。

 列車は国境の駅 Hidasnemeti でしばらく停車するが、午後の列車になった場合はここで乗り換えになるようだ。
 
 列車はその後国境を越えるが、沿線を見ていた限りでは田園地帯で、明確に国境と分かるような箇所は見あたらなかった。
 今はシェンゲン条約に加盟しているので、国境のチェックは無いので当然だが、共産圏時代には東側諸国はしっかり国境を鉄条網で囲んでいたのではないかと思い、その残骸らしき物があるのではと想像していた。
 しかしながら特にそれらしい物もないことから、実は旧東側時代は西側と接している国を除いて意外と国境は緩かったのだろうか?
 移動するのに許可証が必要だったらしいので、国境付近の警備はもの凄く厳しそうな印象だが意外とそうではなかったのかな?

 その後列車は順調に進み、定刻の10時にコシツェの駅に到着。
 列車を降りて、駅本屋に向かう途中で機関車を確認したところ、スロバキア国鉄の362型に変わっていた。
 国境のHidasnemetiで長めに停車しているとは思ったが、あの時に牽引機を交換していたようだ。

 駅構内に入ると今朝出発したミシュコルツとは大分趣が異なり、もの凄く近代的だ。
 駅舎内の店も多くスーパーも併設されているし、出発を待つ旅客も多く主要駅の雰囲気が漂っている。
 ここはウクライナの国境まで100kmもないが、特に警備が厳重な様子もなく、ごく普通の街といった感じだ。

 さて早速ホテルにチェックインして荷物を置きたいところだが、この駅でも済ませておかなければならない用事がある。
 明日はこの町の北東にあるシュピスキー・ポトフラディという街にあるお城を見に行く予定だが、その街にはバスで行くこととなるので、駅前のバスターミナルに寄って時刻表を確認する必要がある。
 バスターミナルは駅を出てすぐ左側にあり、待合室に掲げられた都市名を見ていると、当初調べたとおり10時40分発のようだ。
 昨日の森林鉄道のように運行しないと困るので、注意書きらしき物を紐解いてみるが平日のみ運行以外は特に問題ないようだ。
 
 後は両替とトラムのチケットを入手するため、ベンチのあるバスターミナルで妻に待機して貰い、国鉄駅に戻り、まずはハンガリーフォリントをユーロに両替する。
 このときレートを見ていると、円安が大分進行しており、日本出発時より3,4円円安になっているようだ。

 急激な円安にちょっと驚くが、海外旅行中は円高になってもらいたいものだが、なかなかうまく行かないようだ。
 両替後は駅前の市バス乗り場の一角に路線図と自動販売機が有ったことから、手元の地図と路線図をにらめっこして、何とかホテルのそばを通過するバスのルートを探し出す。
 バスの系統としては17番と19番が目当ての路線のようだが、駅が始発ではないので、乗る方向を間違わないようにしないといけない。
 目当てのバス停は駅から3つ目と判明し、後は自動販売機で24時間券を購入する。
 正直今日は余りバスに乗らないと思うが、24時間券にしておけば別のバス停でチケットが買えないような事があっても問題にならないだろうと判断したためである。
 ここは駅だから自動販売機があるが、他のバス停でも同様にチケットを買える保証はないし、運転手から買えるのかも不明なため、安全策をとることにした。

 用事を済ませた後は妻と合流し、駅前のバス乗り場から19系統のバスに乗り、3つ目のNamestie Maratonu mieruで下車する。
 ホテルはここから、繁華街のHlavna通りを南へ200m行ったところにあるHotel Ambassadr。
 ホテル到着は11時前で早いからチェックインできないかもと思ったが、部屋は用意できるようで問題なく入ることができた。

ミシュコルツ駅ホーム

EC532列車

ハンガリー・スロバキア国境付近

Kosice駅に到着したEC352

Kosice駅駅

   市内観光

ホテル室内
 午後はこの街の観光だが、先日のバッグの盗難の際にスロバキアのガイドブックも持って行かれており、正直この町の見所はよく分からない。
 チェックイン時にシティマップを貰っていたので、それを頼りに街を歩くものの、基本的にはホテル前のHlavna通りに観光名所が集中しているようだ。
 部屋の方はなぜか窓が天窓しかないが、部屋の広さと設備は悪くない。
 ホテル全体も清潔で、スタッフも親切なので非常に居心地の良いホテルである。
 ただ、我々の部屋の前の廊下だけは、節電のため、いつも真っ暗なのがいただけない。
 今回はここに2泊し、明日はこの町の北西に有るスピシュ城まで観光に行くための拠点となる。

 部屋に荷物を置いたら早速観光に出かける。
 ホテル前のHlavna通りには線路があるが列車の運行はしていない。
 この通りは歩行者天国となっており、基本車の乗り入れはできない。
 そのため公共交通機関もなく、この通りの周りを迂回するようになっている。
 通りは南北に1.2km程度あるので、この一帯に公共交通機関がないのも不便なような気がする。
 
 ホテルを出発すると、まずは南に向かい通りの中央にそびえる建物に向かう。
 建物の案内を見ていると、どうやら劇場のようで公演の案内と思われるボスターが張られていた。
 さらにその南側は公園となっており、花壇や噴水が整備されておりなかなか良い雰囲気だ。
 劇場の南側には教会があることから、周りを回ってから内部を見学させてもらう。
 中では熱心に祈りを捧げている人がいることから邪魔しないように端の方から見させてもらうことにしよう。

 教会を後にすると、教会のすぐ北側に塔の様な建物がある。
 上の方から市街を見渡せるかもと思い、内部に入ってチケットを買うと、そこはスロバキアの関係が深い人物の蝋人形館であった。
 塔を上まで上がって見ても結局外は見ることもできず、こちらの期待を裏切る結果となる。
 展示されている人物といえば、マラソンランナーのアベベとキャンベルスープのアートで有名なアンディー・ウォーホール位しか分からなかったが、なぜここにアベベがと思ったら、この町で開催されたマラソン大会で優勝したからだそうだ。

 当初の思惑とまるっきり異なることからかなり端折って塔を出ることにする。
 そろそろ昼食にしようと思い、相談の結果途中で見かけたケバブ屋に行くことにしよう。
 ただ見かけたことは確かだが、場所ははっきり思い出せないので、教会からホテルに向かい、通りを北上する。
 しばらく北上するが結局見つからず、ホテルの前までも戻って来てしまった。
 一端あきらめかけたのも正直なところだが、有ったはずなのに見つからないのは気持ちが悪いということで、再度教会方面まで探索に向かう。
 結局教会のちょっと南側に有ったのだが、塔に寄った際に教会より北側に移動していたため、教会南側に有ったケバブ屋を見逃していたようだ。

 せっかく見つけたので入ることにして、私の方はメニューの写真にあったご飯とサラダ、スープがセットになったもの、妻は普通のケバブを頼んでいた。
 飲み物もセットには付いていたが、地元のコーラのようで、コカコーラやペプシに比べるとちょっと薬くさい感じがする。

Hlavna通り

Hlavna通り

Hlavna通り

   食後は自由行動

駅前付近のトラム
 ケバブ屋を出ると正直観光するところは無さそうなので、Hlavna通りの南の外れにあるショッピングセンターを覗きに行くことにする。
 教会から歩いて10分ほどで目当てのショッピングセンターには到着したが、私が見て回るような物はほとんど無さそうだ。
 妻の方も単独の方が、ゆっくり見て回れる様なので、内部を一週したのち、別行動に移ることにする。
 私の方は駅に向い、駅構内で撮影タイムとすることにしよう。
 帰り道についてはホテルから距離があるので、さすがに妻もGPSの地図を使う気になったらしい。
 再度操作方法を説明し使用に問題ないことを確認して、それぞれ単独行動に移る。
 こちらの移動については、市内交通の24時間券があるので、ショッピングセンター脇の停留所から1つめで駅だが、暑くて歩く気にならずトラムで移動する。
 駅に到着後ホームに上がってみるがホーム付近では列車の動きもなく、停車している物も少ない。
 駅東側のヤードには貨物列車がたむろしており、2車体を連結した重量貨物用の131型がいたりするのだが、貨車の陰になっておりほとんど写真を撮れるような状況ではなかった。
 後は余り見かけない電車が停車していることから、撮れる範囲で写真を撮ったら早々に引き上げることにしよう。

 駅前のバス乗り場の路線図を見ていると、午前中にホテルに行くために下車したバス停付近をトラムも走っているようだ。
 ただ、バスは街の中心部の車両乗入れ禁止部を反時計回りに進むのに対して、トラムは時計回りで走るため、結構乗りでがありそうだ。
 結局6系統のトラムに乗ればホテルに戻れそうなので、乗り場でしばし待った後、やってきた6系統のトラムに乗車する。
 
 しばらくして発車したものの、どうも路線図とルートが異なるようだ。
 当初は西に進路をとり、適当なところで北に向かうはずであったが、本来向かう方向の線路は工事中のようで、舗装がはがされ、重機が線路を撤去していた。
 これはルートが変わっていることは間違いないが、手持ちの地図を見てみると、線路は当初ルートより西側でも北に行く路線があるので、おそらくそちらを通過するのだろうと当たりを付ける。
 しばらくすると、こちらが北に進路を取るのではないかと想定した交差点に差し掛かる。
 ここで進路を変えないようなら次の停留場で降りて一端駅に戻るかと思っていたら、こちらの予想通り進路を北に変えたので、そのまま乗車していくことにした。
 沿線はアポート街といった感じで同じ建物が無数に配置されており、あまりにも同じような風景が続くことから、たまに自分の家を間違える人が出るのではないか思うくらいである。
  そのうち自分が想定していた当初のルートに戻り、大分遠回りしたが目的の停留所に到着。
 ちょっと遠回りになったが、トラムにも乗れたし結果オーライであった。
 後はホテルに戻る道すがら、明日の朝に駅に向かうバス停の位置を確かめて時刻表を確認する。
 朝の9時台は17,19系統のバスとも15分間隔となっているので、それほど待たずにバス乗れそうだ。
 ホテルの横にはスーパーマーケットのTESCOが入っており、入り口付近には飲み物の自動販売機があるので、小銭を処分することを目的に明日のお城見学の際に必要になるであろう飲料水を確保しておく。 

 その後はホテルに戻り、レセプションの女性に明日シュピシュ城に行くのだが、10時40分のバス以外にもっと早く行く方法がないか聞いてみる。
 その場では分からないので、後で電話してくれるとのことだ。
 部屋に戻ると妻も戻ってきていた。
 意外とショッピングセンターは見るところが無く、早めに戻ってきたとのこと。
 帰り道ではGPSで現在位置を確認しながら戻って来ていた。
 いざGPSを使ってみたらその便利さに気がついたようで、これからは積極的に活用する気になったようだ。

 喫煙しに外に出て、レセプションの前を通ると先ほどの女性がルートを調べてくれたが、やはりこちらが思っていたバスしかないようだ。
 このときはお礼のチップを渡すのを忘れていたが、妻に指摘され後で改めて渡しに行く。
 夕食については、軽く済ませることとして、TESCOで食材を買ってきて、部屋で食べることになった。
 その他細々とした日用品も買いたいので、TESCOの上の階を除いてみると、以外と品揃えが良いようだ。
 先日ミシュコルツでは売ってなかったパスケースなども日本の100均感覚で置いてある。
 後は食器類がないので、使い捨てのナイフ、フォーク、スプーンに、妻が買った飲料用に栓抜きなどを購入する。
 意外と物価が高いかもと思っていたスロバキアだが、価格はそれほどでもなく、旅行者の財布には優しい国だと実感する。
 その後は1階と地下の食品売り場、パンにスープ、チーズにヨーグルトなどを購入。
 部屋に戻って簡単な夕食にさせてもらうが、これで十分だ。
 そういえばブタペストで妻がダックレバーの缶詰を買っていたが、昨日のダメージがあり、それは食べたくないようだ。
 結局ダックレバーの缶詰は食べることはなく、後日このホテルに置いていくこととなる。
 

ミシュコルツ駅

ミシュコルツ駅

Strojarenska通り

本日の移動経路