8月19日 ハノイ観光日  

移動経路図 (出典: Gogle Map)
 
本日は5時起きしてハノイ駅南側のトレインストリートで到着と出発の列車をそれぞれ1本ずつ撮影するつもりでいたのでちょっと眠いけど何とか起きだす。
洗面所に向かうと窓の摺りガラスが時たま光るのでまさかと思って外を見てみるとなんと雷雨でとても撮影するような状況ではなかった。
スマホの天気予報を見ても晴れるのは7時過ぎからで列車の通過は6時前後のため今から行っても雨でどうしょうもなさそうだ。
南北統一鉄道の列車自体が少ないためこれを逃すともう昼前まで列車は来ない。
ここはあきらめて2度寝しなおすことにした。

今日はホテルで10時より元同僚のグェン君と待ち合わせなのでちょっと寝なおしてからホテルの食堂で朝食で麺のフォーを食べてみるがスープが薄いのか正直いまいちな感じであった。
あんまり炭水化物は食べてはいけないのでもうフォーはいいかな。

待ち合わせのためホテルの前に出てみると昨夜は気が付かなかったが、ホテル前の通りにはベトナム国旗がやたらと飾られている。
ひょっとすると今日はベトナムの祝日なのかな?
時間通りにグェン君がやってきたので6年ぶりの再会を喜ぶが、以前はスマートだった彼も大分貫禄がついた感じだ。
今は3人の子供がいるそうで、日本の某巨大鉄道会社のハノイ駐在員をしている。
実質的には私の会社のお客さんになるのだが、まぁ元同僚ということで以前のように話させてもらおう。
まずはホーチミン廟に向かうということでgrabで移動するが、街中にやたらと国旗が掲揚されている。
グェン君に聞くと来週が建国記念のイベントがあるのでその一環だとのことだ。
道はそれほど渋滞してはいないがとにかくバイクが多いため運転するのは大変そうだ。
自分だったら走り出して5分で接触事故を起こす自信がある。

カットリン駅
grabに乗って10分ほどでホーチミン廟のそばまで来たがとんでもない人だかりになっており、入るのにすごく時間がかかりそうだ。
空いていれば見学しようかと思ったけど時間をかけてまで見るほどではないということで予定を変更し最近開業したホーチミン都市鉄道2A号線の体験乗車に切り替えることにする。
中心側の始発駅カットリン駅はそれほど遠くないようで、ドライバーに行先変更してものの5分で到着。

駅構内に入ると海外の都市鉄道の駅にしては、柱が少ないなと思ったら日本のような梁と柱が剛結合されたラーメン構造の駅だった。
私が関わったプロジェクトの高架駅は線路を支持する土木構造物とは別にホームなどの建築構造物が別々の柱で支持される構造が多いため図面を見てると柱ばかりで非常に使い勝手が悪そうな印象を受けることが多かったが、海外でも普通にラーメン構造が採用されるんだとちょっと意外であった。
使い勝手に関してはラーメン構造の方が空間が広くとれるので見通しもいいのだが、工事の時の鉄筋の組み立てが複雑になるため慣れていない施工業者では工事が行えないのが最大の欠点である。
この路線は中国の支援で整備されているため当然中国企業が工事を行っただろうから本国から鉄筋工も連れてきたのであろう。
工事が終わってちゃんと帰ったかは怪しいが・・・

切符をグェン君に買ってきてもらい早速構内に入るが、改札は海外でよくある通常はゲートが閉まっていて乗車券のカードをタッチするとゲートが開くタイプだ。
フィリピンでも高架鉄鉄道に採用されているので見慣れたものだが日本のSUICAに比べると反応が今一歩という感じで大量に利用者を捌くためには台数を多く設置しないといけないという欠点がある。
ホームに上がるとカットリン駅の線路配置は3面2線となっており、真ん中ホームが乗車用で両側ホームは降車用のようだ。
まだ運転本数が多くないようで1本の線路しか使用していないようだ。
とりあえず列車に乗り込み冷房がきいていることに安堵する。
車内は土曜日ということもあるのかガラガラで体験乗車に来たと見られる家族連れがチラホラ見られるが各ロングシートに2,3人程度しか座っていない状況だ。


イエンギア駅終点側の引き上げ線
車内の家族連れにはちょっとしたアトラクションのような感じで子供たちが歓声をあげている。
列車は川沿いに進んでいくが新しい路線のせいか乗り心地は特に問題ない。
若干車体幅が狭いような印象を受けるが新しい電車なのでまだまだ清潔な感じだ。
集電方式は第3軌条の750Vとのことで、地下区間がないのになんで架空線方式にしなかったのかは謎である。
都心側の延伸計画は無いようなので、郊外側に延伸しても地下にする理由はなさそうだしイマイチシステム選定のコンセプトがわからない。

川沿いの区間では比較的古い建物が多い地区のようで、あまり見慣れない建築様式に興味は尽きない。
各建物の上には水タンクがそれぞれ設置されており、グェン君の説明では断水や水圧不足のため建物の上にタンクを設置して水を貯めるのは必須であるとのこと。
大通りの上に出たと思ったらそこから先はほぼ一直線で終点までカーブらしいカーブはほとんどなかった。
終点までは大体25分程度の所要時間で、途中10駅で延長は約13kmとのことだった。
終点の手前にデルタ線があったので車庫に続く線路だと思うが車内からは車両基地はみえなかった。
終点のイエンギア駅にはバスターミナルが隣接しており、平日は乗り換えでそれなりに混雑しそうだ。
外から線路を見てみると駅に隣接して勾配区間が配置されており、ホームの延伸は考慮されていない構造のようだ。
将来的に混雑が激しくなった場合は車両の増結ではなく運転本数の増加で対応する予定なのだろう。
イエンギア駅近辺を少し散策したら適当なところで戻ることにする。
帰りの列車も往路と同様にあまり乗客はおらずガラガラの状態で、土曜日とはいえもう少し乗ってもいいのではとの印象が強い。
 

自動改札

イエンギア駅起点側

つけ麺 ブンチャー
カットリン駅に戻ってきてからはとりあえず駅直下のカフェでしばし休憩。
グェン君と話しているとマニラのプロジェクトで一緒の人と最近飲みに行ったとのことで、私の知り合いとも交流があるようだ。
意外と狭い業界だがこんなところで知り合いの名前が出るとは思わなかった。
休憩後は駅前の地下鉄建設現場の脇を歩き、近くのお寺を覗いてみると何やら馬の人形がいくつか飾られているが、かなり大きく実際のポニーくらいの大きさがある。
色遣いは赤などでかなり派手だがひょっとするとお葬式?と思ったが、どうやら日本のお盆と同じようで先祖が帰ってくるのに乗るためのもののようだ。
お寺の中は日本よりは大分派手目だが書かれている文字は漢字なのでなんとなく意味は分かる。
ただ漢文とかはどうでもいいと学生の時は思っていてちゃんと勉強しなかったので内容までは完全には理解できない。

お寺の後は昼食ということで再度grabで旧市街に移動する。
完全にお店はお任せ状態で、入ったのは異常に混雑している食堂でその時は店名もわからなかったが、後で調べるとつけ麺の有名店のブンチャーフォンリエンであった。

この店は過去にオバマ大統領が訪れたことがありそれもあって観光客が押し寄せるようになったとのこと。
メニューもつけ麺と春巻きのセットになったオバマセットがあるので、それを頼む。
麺はフォーを細くした感じで、見た感じはソーメンぽい。
お肉が入ったスープにつけて食べるがこれが若干酸味が効いていて初めて経験する味だが、なかなかおいしい。
スープに入っているお肉もハンバーグのような食感で結構癖になりそうだが、春巻きは正直?という感じもしないでもない。
グェン君に言わせるとオバマが来てから繁盛にして2号店を出したようだが、そちらはうまくいってないとのこと。
あくまでオバマが来たこの店に観光客が来ているだけで地元の人はあまり来なくなってしまったらしい。
確かに周りを見てみると地元の人ではなさそうな人ばかりで、ツアーに組み込まれているのかな?という印象を受けた。
 
ロンビエン駅そばの Serein Cafe
 
ロンビエン橋 


ロンビエン駅
食後は次の目的地ということで、再度grabで移動する。
到着したのはハノイの北東部にあるロンビエン橋の近くである。
私も写真を取りに来るつもりでいたのでここでロケハンできるのは助かる。
彼に連れられて行ったのはロンビエン駅そばの Serein Cafe。
ここは私も事前のリサーチで写真を取るのにうってつけの場所であることは把握していたが、注文のシステムがよくわからなかったので地元の彼に連れてきてもらったのは助かった。
この店はエレベーターで3階の店に行って注文してから席に移動し後ほど店員さんが持ってくるシステムになっている。
3,4階は屋内で、5階は屋上のテラス席となっており、ロンビエン橋が一望できる。
彼は私がここを知らないと思っていたようだが、5階のオープンテラスに行こうと言うとなんで知っているのかとちょっと驚いていた。
鉄系趣味人の嗅覚をなめてもらっては困るが、撮影に関する調査は渡航前にある程度はすましておくため、調査の段階でこの店を発見していた次第である。

5階に上がるとさらに上に上がる螺旋階段があるのでその上の6階に席を確保する。
天気は曇っているので大分ましだが、正直暑さに大分やられ気味だ。
列車は1日4本往復しか運転しておらず次の列車が来るのは大分先なので、ホーチミンから戻った日に改めてくることにするが、写真をとってもトラスで車体が隠れて先頭の一部以外は隠れてしまうだろうな。
しかし付近の道路を見ていてもとにかくバイクが多い。
グェン君に解説ではハノイ市内は駐車場が決定的に不足しているので車で来るとどうにもならなくなるため機動性の良いバイクが主流になるとのこと。
本人も車は所有しているが止めるところがないので、中心部には乗ってこないとのことだ。
バイクはどこに止めるのかと思ったらみんな歩道に止めているので、歩道が駐輪場代わりになっているようだ。
確かに歩道に駐車しているバイクが邪魔で車道を歩いたこともあったと思い出す。

しばらくグェン君と話しこんだが、そろそろ駅の方に移動させてもらおう。
駅に向かうと待合室には大分列車待ちをしていると人たちがいる。
列車はまだしばらく来ないはずではと思っていると構内を横断する通路が解放されているので反対側に向かうために線路を渡りながら橋のほうを見ると列車が向かってくるのが見える。
駅の時刻表にも書いてないので臨時列車のようだがベトナム国鉄のサイトで時刻を調べた時にもこの列車は出てこなかったはずだ。
駅で列車を待っている人たちはどうやって運転されるのを知ったのかちょっと気になるところではある。
とりあえず柵の外で列車がやってくるのを待つがロンビエン橋は速度制限が15km/hのためなかなかやってこない。
グェン君からはカフェの上に戻ることも提案されたが、間に合わないのではと思いここに留まることにしたが予想以上に橋が長く戻っても十分間に合ったのかもしれない。 
 
ロンビエン橋
 
ロンビエン駅
 
ロンビエン駅
 
線路高架脇の商店街
 ロンビエン橋を渡った列車は駅に停車することなく、そのまま通過していった。
ここでこの列車はハノイ駅発の列車の回送列車であることが判明した。
どうやら駅で列車を待機している旅客はハノイ駅から戻ってくる列車を待っているようで、調べた結果と整合性が取れて自分の中ではすっきりした。

ハノイ駅発の列車をトレインストリートで撮影出来たらいいなぁと思いつつ、徒歩で線路沿いにハノイ駅方面に移動する。
線路の高架に沿って商店が立ち並ぶが、ロンビエン駅付近は食器問屋が立ち並ぶエリアのようだ。
その後南下していくと葬儀屋が集まったエリアとなり、どうもハノイの商店は同業者同士で固まる傾向があるようだ。

暑さに大分やられながらもハノイ駅北側のトレインストリートの北側付近に到着、先ほどからカメラを持った欧米人が異様に多い気がする。
みんな同じことを考えているのかと思いつつ、トレインストリートの入り口に行くと警備の人に入場を拒否された。
同行したグェン君が何やら交渉してくれたがどうもダメな様子だ。
でも立ち入っている人もいるしどういう基準で入っているのだろう?
中で営業しているカフェの人と一緒なら入れるとの話もあるが、地元民のグェン君がダメならちょっと厳しそうだ。
中に入らなくても写真は取れるだろうということで、トレインストリートの南側入り口に回ってみるが、ちょうど列車が来る時間帯なのでカメラを持った観光客が殺到していて写真を撮るどころではない。
そのうちロンビエン駅を通過した列車折り返してくるが、踏切付近は渋滞しているバイクと観光客でかなりカオスな状態となっていた。
 
ハノイ駅北側トレインストリート
 
ハノイ駅北側トレインストリート
 
踏切渋滞
 ハノイ−ロンビエン駅間は平日は昼間の列車の運行はなく、全てロンビエン駅で折り返す運用になっている。
理由としては踏切による道路の遮断で渋滞がとんでもないことになるためとのことだが、土曜日の昼間でも渋滞がすごいことになっている。
踏切待ちしているバイクは遥か彼方まで続いているし、平日にこれだけ道路を遮断したら市内全体の交通が麻痺しそうだ。

列車が通過した後もバイクと観光客で周辺は身動きが取れない状況なので、そそくさと退散すると次はベトナム軍事歴史博物館に移動する。
入り口ではグェン君に切符を買ってもらうが外国人料金が設定されているようで、しっかり私の分は外国人料金を徴収されたようだ。
博物館の前庭にはMig-21とT-54戦車が展示されており、Mig-21は14機撃墜した機体で国宝指定されている。
そのことを彼に言うと知らなかったようでスマホで調べだしたが、小学生の頃に遠足で来るような場所で大人になってからはほとんど来ることはないので気にしていなかったらしい。
T-54も最近ウクライナでの戦闘で主力戦車の損耗が激しいロシアが前線に送っているらしいが博物館に飾るような戦車で戦争するのもどうなのかなぁという気になる。
最も対戦車兵器を持たない歩兵だったら旧式の戦車でも十分脅威になるので使いどころがあるのかもしれない。

博物館内の展示はモンゴルの侵攻の撃退、フランス植民軍との戦闘およびアメリカとのベトナム戦争時の解説がメインとなるが館内は冷房などないのでとにかく暑くて英語の解説があっても頭に入ってこない。
展示物を見るというより扇風機の前を順番に移動していく感じになってしまう。
 
国宝のMig-21
 
T-54戦車
 
フラッグタワー
 館内展示の後は外の展示物を一通り見学後、ちょっと高くなっているフラッグタワーに上がることにする。
ここでも暑さにやられ気味で、上がったけどあんまり特筆するようなことはなく、こういったものは外から眺めるものだと思う次第である。

ここらで暑さでへばってきたので、館内あるハイランズコーヒーで休憩させてもらう。
ハイランズコーヒーはベトナムで一番のコーヒーチェーンで結構あちこちで店を見かける。
ベトナムにはスタバも一応あるらしいが、値段が高いのとコーヒーの産地であるベトナムではスタバの味はあまり好まれていないようで、繁盛しているとは言い難い状況のようだ。
この店はオーブンテラスのため冷房は無いが扇風機が設置されている風が当たる席でとりあえず休憩。

時間も大分よい感じになってきたので、グェン君の案内もこの辺りまでとなるが、お土産をホテルにおいているので、一度二人でホテルまで戻りお土産を彼に渡して、日本に来ることがあれば声をかけるようお願いして別れる。
このまま旅行を続けてベトナムが面白そうだと私が思ったらまた来ることもあるだろう。

部屋に戻るととにかく汗で服が重くなっているのでシャワーを浴びて冷房全開で部屋で涼む。
日も傾いてきているが正直食欲はない。
晩飯はいらないけど、水が不足しているので、近所のコンビニに水を買いに行った程度で、後は部屋で過ごす。

明日は6時10分発のホーチミン行きSE7列車に乗車するのでまた5時起きだ。
荷物の整理を済ませたら早々に就寝することにしよう。