12月29日  Bovington Tank Museum見学

 本来ならこの日はロンドン市内の見学の予定であったが。2カ所も博物館を梯子したにもかかわらずドイツ戦車がそれほど見れなかったため、急遽大戦中の戦車の宝庫Bovington Tank Museumに行くことに決定した。
 でもこの日の夜は寝台列車でEdinburghに移動するため、あまり遅くなるわけには行かないな。
まあ、時刻表を調べると片道3時間程度なのでそれほど遅くはならないだろう。
とりあえず7時30分頃ホテルをチェックアウトし荷物をパディントン駅で預けて一路Waterloo駅を目指す。
パディントンで預けたのは、駅近くにコインランドリーがあったので後で洗濯に来るためであった。
 Waterlooで行き先案内を見ていると、博物館の最寄り駅Wool方面に向かう列車は軒並み遅れているようだ。
列車の案内表示見ていると、直通列車のWeymouth行きはアナウンスに注意しろと書いてあるが、そんなの聞き取れる自信がないので一本前の途中のBournemouth行きに乗ってしまおう。途中駅で後続列車を待った方が間違いが無いだろうし。
 列車は結構古そうな電車で相変わらずドアは手動だ、一等車はコンパートメントで他に乗客はおらず1室貸し切り状態でBournemouthを目指す。
 途中車内販売のコーヒーなどすすりながら10時半頃Bournemouthに到着するが、接続の列車はどうなってるのか確認する間に隣のホームから発車した列車がWeymouth行きであった。
 しまった次の列車は思っていたら約30分で次の列車が来るらしいのおとなしく待つことにする。そうこうしているうちに後続の列車も到着したが、どうやらほとんどの列車がここBournemouthで折り返しているらしい。年末年始の特別ダイヤなのか、ただ単に遅れているための処置か判らないが、こんなにトーマスクックがあてにならないなら無理して重い思いをして持ってくること無かったかも、、、
 11時過ぎの列車でBournemouthを出発し約30分で目的のWool駅に到着。
 駅前に都合良くタクシーがいたのでそのまま博物館に行ってもらう。
イギリスのタクシーは初めてでちょっと古いオースチンだったがずいぶんと中が広くて快適だ。でもエンジンはデイーゼルだったらしく、結構音がうるさい。
 駅から博物館までは、だいたい2〜3km程度だが、博物館の敷地に入ると各地に戦車に注意と書かれており、気分が盛り上がってくると、戦車マニアの聖地とも言うべきBovington Tank Museumに到着だ。

 はやる心を抑えつつ、中に入ると最初はやはりここも第一次世界大戦の塹壕戦の展示があり、その奥、世界で最初の戦車、ドイツのスパイを欺くため水を運ぶタンクだと言ったMarkTから始まる貴重な戦車が惜しげも無く展示してあった。
MarkW戦車 さすがに古い!装甲は小銃の弾よけ程度 ドイツ U号戦車 小さいけどもととのったスタイル
 ドイツ V号突撃砲G型  正確には自走砲に分類されるが戦車不足のドイツでは、通常の戦車として扱われた。  旧ソ連 KV−T戦車  冬季迷彩が迫力ある。
 ドイツ W号戦車 H型 事実上のドイツの主力戦車 装甲板が比較的立った形で配置されるのがドイツ戦車の特徴。  ドイツ パンターG型 大戦後期の主力戦車 ソ連のT-34の影響を受け、傾斜装甲を取り入れられた。                 攻・走・防のバランスが取れた万能戦車。
 ドイツ ティーゲル(タイガー)T ドイツ戦車と言えばタイガー戦車と言うほど超有名。そばによるとかなりでかい!! ドイツ ティーゲルU 右のTではなくパンターを発展させた物(通称キングタイガー)ポルシェ砲塔搭載型。しかし、実際に戦場で主砲を向けられたら怖いだろう。
 ドイツ ヤークトティーゲル 前面装甲250mm 主砲は128mm
大戦中の化け物戦車 予想外の対面に感激!
唯一の日本戦車 95式 なんて貧弱な、、、、
2号戦車にも負けそうだ、こんなのに乗せられた日本兵って、、
 ドイツ レオパルドT まだ本国では使われているはずでは? スウェーデン Sタンク こいつも現役では?
 

 しかし、ここの戦車の数ははんぱではないな、ドイツ、イギリス、アメリカ、ソ連の戦車が大量に並べられていた。
しかも登らなければ、どの戦車もさわり放題、たたき放題と全く日本とはまるで違う。もっとも日本で戦車を展示しているような博物館はないか、、、、
 調子にのって前面装甲をたたいてみるが、全く音がせず、ただ手が痛いだけで身をもって装甲の厚さを実感する。でも日本戦車は内部に空洞のような音がするぞ!全くこんなのに乗せられた戦車兵もいい迷惑だろう?

 第2次大戦のコーナーには、お目当てのケーニッヒティーゲル(タイガーU)が鎮座していたが、初期生産型のポルシェ砲塔装備のもので、後期型のヘンシェルン社製砲塔を積んだ物では無かった。数が少なく貴重な初期生産型だが、全体のバランスではやっぱり後期型の方が迫力があって好きだったのだが、、、、
 でもこのポルシェ砲塔タイプの試作車を見たヒトラーがあまりの美しさに興奮しまくったというエピソードが有るらしいが、そんな美術品みたいな戦車を作っているから連合軍に負けたのではないだろうか?
 まあ、その辺のエビソードに事欠かない辺りが、またドイツ戦車の魅力と言えるのだが。
 アメリカやソ連みたいに、ばかすか作って数でごり押しするのではなく、ドイツ戦車みたいに1台に異様に手間暇掛けて強力な物を作り上げる方が何となく男のロマンを感じさせるが、戦争の結果は歴史の通りである。
 やっぱりロマンでは戦争に勝てないが、後から脳天気に格好いいとか言っているなら、当然後者の方であろう。

 大戦における有名戦車に目の色を変えつつさらに奥に行くと、予想もしないとんでもない代物が鎮座していた。
 それは、大戦中のドイツ最強の突撃砲ヤークトティーゲルであった。
事前に資料を収集した範囲では、ティーゲルUがおいてあることまでは把握していたが、これほど貴重なものが置いてあるとは、、、
 思わぬ拾い物に驚くが、やっぱりでかい!前面装甲厚は250mmでほとんど戦艦と同じだし、装備している主砲も128mmと本当の意味で陸上戦艦と言っても差し支えないほどの重装甲、重武装だ。こんなのを装備しても負けてるあたりが何か納得がいかないが。

 エンジンルームを見たらマイバッハ製のV12エンジンは外されていたが、ひょっとしてレストアでしているのか、もし動くようにするのであればまた見に来たいものだ。
 あとこれでエレファントがあれば、完璧なのだが、さすがにそこまでは置いてなかった。
 それにティーゲルUのヘンシェル砲塔型はいつか見てみたいものだ。アメリカにはあるのが確かなのでそのうち見に行くことにしよう。エレファントも確か有ったはずだし。

 他に置いてあるのは、別に大戦中の戦車ばかりではなく、冷戦中の物から現役まで、何でもありだが、チャレンジャーなどよく解説を読むと装甲厚がトップシークレットとなっている物まである、おいおいそんなのまで置いておいていいんか?と心配になる。 別に監視員がいるわけでも無いのに、、、、
 他の見学者も結構多くその多くは親子づれだったが、熱心に見ている戦車は自分の所の戦車では無くやっぱりドイツ戦車が多いようだ、ただ単に兵器として見たらドイツ製のが絶対格好いいと思うし。

 一通り見終わって、今日も博物館のカフェで食事にする。
 本日のお薦めは、鳥とマッシュルームのパイとと有ったので頼むと、比較的まあ食べられるかなというものであったが、うまいというほどのものではなかった。ここでもイギリスの食事は不味いの法則は健在であった。

 帰りは、博物館にタクシーがいないので、始めて海外で電話を掛けることになる。緊張の面もちでダイヤルして、戦車博物館にタクシー1台で何とか通じた。ただ、聞き取れない事も有り何度か聞き直したが、無事呼ぶことができた。終わってしまえば大した事は話して無いのだが、、、

 タクシーで駅に到着するとすぐ列車が到着し、往きに乗り換えた、Bournemouthで再度乗り換えてロンドンに戻った頃は18時を過ぎていた。通常3時間の所をこの時期は4時間近く掛かるとは、、、

 今晩の宿は、Edinburgh行き寝台列車だが、時刻表だと23時55分発なのに、予約した切符では21時30分の発車となっていたので早めユーストン駅に行く必要があるが、洗濯していく暇くらいは有りそうだ。
 パディントン駅正面を右方向に1ブロック行ったところにコインランドリーが有るので、貯まった洗濯ものを片付けてから、20時過ぎにユーストン駅に移動する。
 駅の案内所で列車の発車時刻を確認すると、係員は自信たっぷりに23時55分だと言っていたが、どうも怪しいな。
 構内には寝台車利用客専用のラウンジが有ったので、本でも読みなら時間を潰していると、21時過ぎに係員が呼びに来たのでホームに行くともう列車が入線していた。
 車内は個室で、入ってくつろいでいると、やっぱり21時30分の発車であった。駅員を信じて無くて良かったー。
 発車するとすぐにアテンダントの確認が有り、翌日の朝食の飲み物と、何時に朝食を届けるかを聞かれるので、7時で頼んでおく。
確認さえ受ければ、あとは自由だがあまり揺れないことや、防音がしっかりしているせいかすぐに眠りこけてしまった。
 明日の到着は4時過ぎのはずだけど、8時まで寝台を使えるのは便利なサービスだ。