2002.12.31 5日目  北部の港街 Kiel とデンマーク国境へ

 寝台列車でハンブルグ到着

 昨日から寝台列車に乗車しており朝6時前に分岐器を越えた振動らしき物で目が覚めた。
 ハンブルグ到着は8時なのであわてる必要が無いが、やけに外の音が静かなので窓の外を見てみると、もの凄い雪の中を列車が疾走していた。
 どうやら雪で音が吸収されているらしく、ゆっくり走っているように錯覚したようだ。
 列車も全然揺れないので熟睡できたが、分岐を通過するときだけは結構大きめの衝撃が伝わってくるのはタルゴの特性なのかな?

 食事に行くには早いので、とりあえずシャワーを浴びることにするが、外気温が低いせいかお湯の温度がなかなか上がらない。
 しばらく出しっぱなしにして何とか浴びられる程度にはなったが、ちょっと肌寒むくて風邪をひきそう。
 シャワーの蛇口には三菱のマークが付いてるので多分三菱重工製だと思うのだが、こんなざまでは困るな〜。

 7時前に食堂車に行くと車掌さんが、パスと寝台券を返してくれた。
 食事の方はどうせパンとコーヒー位だろうと思っていたが、予想に反してバイキング形式のようだ。
 品数はそれほど多くはないが、意外とサービスが良いのには感心した。
 食事をしていると丁度ブレーメンに停車したが、外は相当寒そうだな〜。
 ホームも凍結しているし、歩いている人もかなりの厚着している。
 今まではコートのインナーも必要ないくらい暖かかったが、今日からは必要になりそうだ。
 ついでに手袋も用意しておこう。

 食後は部屋でハンブルグ中央駅到着までくつろいで、8時前に無事ハンブルグ中央駅に到着。
 列車の方はハンブルグ・アルトナ駅が終着なので、すぐに発車していく。

 とりあえずコインロッカーに荷物を預けて、本日の目的地キールを目指す。
 30分の待ち合わせでキール行きのREが発車し、目的地までは約1時間強だ。

  ドイツ海軍記念館とUボート

 9時半頃キールに到着すると駅の方は改装工事中で、ちょっと雑然とした印象をうける。
 本日の真の目的地はここから北に20km行った所にあるラボーと言う街だ。
 ラボーにはドイツ海軍記念館があり、近くに実物のUボートを見せているUボート博物館が有るため、それを見るのが今日の主な目的だ。
 駅前のインフォメーションでバス乗り場を聞いてから、しばしの待ち合わせの後ラボー行きのバスに乗車する。
 ラボーまではバスで約40分、途中の景色は余り見所がないので、ちょっと眠くなる。

 終点ラボーに到着するが、目的地はここからさらに海岸に沿って10分ほど北上したところだ。
道中の海岸は海水浴場のようで、道沿いにはレストランや土産物屋が建ち並ぶが、季節はずれのこの時期では流石に営業している店も極端に少ないようだ。
 海外沿いの道を雪まじり強風に吹かれながら、約15分で巨大な塔が建つ海軍記念館到着。
 手前の海岸にはUボート U995が展示されているので先にこちらを見学させてもらおう。 

艦全景 と エンジンルーム


 Uボート見学

 入場券を買って、後部側面にある入口から内部に入る。
 潜水艦のハッチは上面に付いているので、この入口は展示用に開けたものだ。
 最初に入った部屋は後部魚雷発射室、発射管のほかにいろいろな機械やメーター類があるが、何の装置かは良く分からない。
 まあ、最後部は潜行時に使用するバッテリー関係の部屋だと思うのだが、確証は持てないな。

 後ろから前に向かって進むと、次はエンジンルームで通路の両側にマン社製の6気筒ディーゼルが設置されていた。
 このエンジン1基当たり1400馬力で、水上航行時には17ノット(約35km/h)で艦を航行させる能力が有るようだ。
 この頃の潜水艦は、潜行時よりも水上航行時の性能を重視していたようで、潜行時は7.6ノット(約14km/h)とずいぶん速度が落ちる。
 
 エンジンルームの次は小さな厨房とトイレの区画があり、水密ハッチを越えると、ベットが両脇に並んだ一般兵用居住区だ。
 流石にベットの幅、長さともにかなり狭く、足を延ばして眠るなんてのはほとんど不可能だろう。
 
 また水密ハッチを越えて進むと潜望鏡がある発令所に到着、中には艦橋にあがる梯子があったが、金網で封鎖されていて上に上がることはできないみたい。
 潜望鏡もレンズが入っていない用で、中は真っ暗だ。
 
 発令所の次は、艦内で唯一プライバシーを許された艦長室と無線室と続く。
 もっともプライバシーと言っても、カーテン1枚で仕切られる程度だがら、ほとんど無いに等しいか、、、、
 さらに進むと士官用居住区、前部魚雷発射管室となっておしまいだ。
 前部魚雷発射管室は、居住区と兼用になっており、ここで寝起きする兵士は文字通り、魚雷を枕に寝起きしていたのだろう。
 
 一通り見終わって感想は、やっぱり噂には聞いていたけど、もの凄く狭いということに尽きる。。
 別に閉所恐怖症と言うわけではないが、こんな狭い船で水中に潜るのにはちょっと耐えられそうに無いし、ましてや戦闘なんて考えられないな。
 私が実践に参加したらまず間違いなく、発狂しそうだ。
 よく映画とかで、錯乱した兵士が水面下なのにハッチを開けようとするシーンがあるが、この狭さなら実際あってもおかしくない様な気がする。

発令所(左) と 前部魚雷発射管室兼居住区(右)

 海軍記念見学

 Uボートの見学が終わると、丘の上にある海軍記念館の方にいってみる。
 前庭には、重巡プリンツ・オイゲンのスクリューが飾られているが、流石にでかい。
 海戦史には余り明るくない私だが、ドイツ海軍と言ったら、戦艦ビスマルク、重巡プリンツ・オイゲンくらいは有名なので知っている。
 ただ、どっかで撃沈されていたような気がしたが、引き揚げて持ってきたのかな?

 ここはてっきり博物館と言うか、軍の広報的な施設かと思っていたが、戦没者の慰霊施設でも有るようだ。
 それに大戦後に設置された施設かと思っていたら、戦前から有るようで、ヒットラーがここを訪れているときの写真もあった。
 展示内容はそれなりで、資料や模型もそれほど充実しているわけで無いようだ。

 館内の展示も特筆するような物もなく、一通り見終わると高さ約80mの塔に上がってみることにしよう。
 一応エレベーターも有るようだが、私が見た限りでは、上に向かうボタンが見あたらない。
 おかしいなと思いつつ、しょうがないので階段で上がることにするが、塔の内部は吹き抜けとなっており、展望台までは相当高さがあるな〜。
 意を決して登り始めるが、流石に一気に上がることはできず、途中で休みながら何とか登頂に成功する。
 上からの眺めは高さがあるためなかな良く、キールの港から、バルト海まで一望できる。
 ただ風が強く、長居するのは辛いので、適当な写真を撮ってから下りることにしよう。
 下りはちゃんとエレベーターに乗れるので楽ちんだが、下に下りて歩き出すと膝がガクガクだ。
 海軍記念館を後にして、とりあえずバス乗り場に向かうが、時間は丁度お昼なので途中のカフェでちょっと腹ごしらえしていこう。
 今日の昼食も飽きもせずブルストとなるが、ここの店にはカレーブルストというのがメニューにあったのでそれを頼んでみる。
 出てきたのは、焼いた物ではなくカレーで煮込んだ物で、味の方はなかなかだった。
 食事を終えてたあとは、次のバスでキールの街に戻ることにしよう。
 
 キールの街に戻ると1時過ぎとなっているが、このまま立ち去るのもなんなので、市内をちょっとぶらついて行くことにしよう。
 とりあえず、駅前のショッピングモールをぬけて、歩行者天国のホルステン通りに向かう。
 ここのショッピングモールの中で、昼食がちょっと少なかった事もありノルド・ゼー(北海)というシーフードのファーストフードチェーン点で白身魚のサンドイッチを食べていくことにする。
 
 ちょっと寄り道してしまったが、食事をさっさと済ませて先を急ぐことにしよう。
 ホルステン通りから市庁舎、聖ニコライ教会と周り、港湾地区の船舶博物館間で行ってみるが、残念な事に教師休みのようだ。
 しょうがないので、海岸の沿って駅に戻る事にするが、港内には北欧に向かう大型フェリーが何隻も停泊しているのは圧巻だ。

 デンマーク国境のフレンスブルグへ

 駅に戻ると2時前で、このままハンブルクに戻ろうかとも思ったが、ここから海沿いにデンマーク国境近くフレンスブルグまで行って、ICでハンブルグに戻ると6時くらいに到着する。
 せっかくだから回り道していくことにして、フレンスブルグ行きの気動車に乗り込むが、車内は大混雑だ。
 幸いなことに、1等車には空席があったので立っていく羽目にならずに助かった。
 
 キールからフレンスブルグまではローカル線で1時間、日もだいぶ傾いた3時過ぎにフレンスブルグ到着。
 50分の待ち合わせの後、ハンブルグ行きのIC乗り換える。
 フレンスブルグの駅から市街はちょっと離れているし、待ち時間も中途半端なので、駅の構内で列車を待つことしよう。
 
 4時頃に到着した列車は「FLEX」という列車で、ECやICとも違う種類の列車みたいだ。
 一応設備はIC並だが、どうもドイツの車両ではなくデンマークの車両みたいで、車内はふんだんに木が使われていた。
 車掌さんも「FLEX」のロゴ入りの制服を着ているし、ちょっと特別な列車のようだ。
 フレンスブルグからハンブルグまでは2時間強、発車してしばらくは発電用の巨大な風車が立ち並ぶ平野を疾走するが、すぐに日没を迎えてしまい、車窓には暗闇が広がるだけとなった。
 
 しばらくはコンパートメントでくつろいでいたが、食堂車が連結されているので食事でも取りに行ってみることにしよう。
 メニューの方は軽食ばかりのようだが、ドイツ語オンリーで内容がよく分からない。
 唯一分かったピザを注文してみるが、出てきた物は生地にやたら粘り気があるため、まるで餅でも食べてるようだ。
 途中、やたら高い鉄橋の様な所を通過したみたいだが、暗くて景色がよく分からないのは残念だ。
 ここは一度明るい内に乗ってみる必要が有るかもしれないな、今回は無理だが、いずれ北欧に行くときに実現するか。
 
 その後列車の方は快調に飛ばして、定刻でハンブルグ駅に到着。
 荷物を引き出して、駅前のホテルにチェックインすれば、本日の予定は終了だ。
 今日は大晦日だから、どこかでニューイヤーのイベントに行こうかとも思ったが、初めての街で地理に不案内なことと、前夜の夜行列車のせいで疲れてる感じがあるため、せっかくだが部屋でおとなしくしておくことにした。
 ただ、駅前のためか夜中に爆竹や花火をやっているガキが多いのにはちょっとまいったな〜。