2006年 9月16日 3日目 Rothorn経由、Grindelwald移動

 この日はスイス国鉄のブリューニック線に乗って、途中のロートホルン山に登ってから、グリンデルワルドに移動だ。
 この日の目覚めは例によって午前1時、全く時差ぼけが解消する兆候はない。
 結局2度寝するのはいつものことで、4時位からメールチェックなどをすますが、案の定会社から仕事の質問が来ていた。
 あまり難しいことではなかったので、メールで返事を書いておくが、仕事そのものが日本から送られてこないか戦々恐々となるなぁ。

 列車は8時前のIR(インターレギオ)で、本日よりスイスパスを使用して一等車に収まる。
 荷物の方はライゼケベックで送っておくことも考えたのだが、前回の旅行でブリエンツ駅にコインロッカーが有ったことは確認済みなので、今回はそのまま持っていって、登山鉄道に乗車するときだけ、ロッカーに預けることにする。

最近ブリューニック線の車両は塗装が変更されたようだが、以前の赤一色の塗装に比べると、白黒の塗装はあまり良い印象が感じられない。
 列車は定刻にルツェルン駅を出発し、狭軌線の割には速度も高く乗り心地も申し分ない。
 前回はそれほど気にもとめていなかったが、軌道の保守がきっちりなされているのだろう。

天気の方は相変わらずの曇り空で、せっかくのゴールデンパスラインの車窓も華やかさに欠ける。
車窓のすばらしさでは、氷河急行、ベルニナ線と並ぶ景勝路線なのだが、こればかりはどうしようもない。
 途中のアプト区間では登りの時は相変わらず急斜面を結構なスピードで駆け抜けるが、下り坂ではそろりそろりと降りていくのは前回と全く変わらない。
 ただ、登りの時に気になったのは、これほどの急勾配を先頭の機関車で牽引して連結器に問題がないのか気になるところではある。
 他の登山鉄道では、常に機関車が下側になるように運転しているのだが、この路線はそこまで急ではないためなのだろうか?
 その辺は考えているのだろうけど、上ってる最中に連結器が切れたら大変なことになりそうだ。
 ブリエンツ手前の区間では川と併走する区間があるが、ここのところの雨のせいか増水しており川の水の色が濁っているが、何とも形容しがたい色で、あえてたとえるならモルタルを流しているような感じあった。

 途中のマイリンゲンで進行方向を変えると、目的地ブリエンツはもうすぐだ。
 それまでは雨もぱらついていたが、天候の方は回復しているようで、山の上の方は大丈夫みたいだ。 
 9時30分頃に最初のロートホルンへの登山鉄道が出発するブリエンツに無事到着。
 駅では結構な人が降りていたようだが、コインロッカーも無事確保でき、早速国鉄駅の向かい側にあるロートホルン鉄道の駅にむかう。
 駅前は大きなスーツケースを抱えた人でごった返していたが、別に切符を買い求めるようでもない。
 ただ列車を待っているにしては人数がちょっと多いのが気にかかる。
 少ない場合には運休することもあるが、多すぎても乗れないのではとの不安がよぎる。
 切符の方は無事購入できて、列車の出発まではそれほど時間もないようだ。
 とりあえずホームに入ると、団体さんらしき人たちは、別の列車に乗るようで、席の方は難なく確保できた。
 出発前に列車に乗っている二人の写真を撮ろうとちょっとホームに降り立っていると、ふとした隙にドアを閉められてしまい、あわてて開けてもらう羽目になる。
 別に自動ドアではないので、係員が一つ一つ閉めていくだけなのだが、閉められたときは結構焦った。
 とっさに「Wait!!Wait!!(待って!!待って!!)」と言って、開けてもらうが車内の二人に苦笑いされていた。
 出発準備が整うと、登山列車は順調に山頂に向けて走り出した。
 最初の区間は付近に民家もあり、林の中を抜けていく感じになるので、それほど眺望がきかないのはこちらの登山鉄道ではいつものこと。 
 そのうち眺め良くなってくる箇所も有るが、見遮蔽遮へい物が現れて最初の方はなかなか写真が撮れないようで、しきりにタイミングが悪いとこぼしていた。 
 
 列車の方は順調に進み、前回脱線した箇所も問題なく通過し、だいぶ山頂に近づいてきたが、結構風が冷たくなってきたためせっかくの大きな窓の客車もみんな窓を閉めてしまった。
 11時前には山頂駅に無事到着、山頂までは歩いても大したこと無いはずと思っていたが、意外と距離がありそう。
 4年前のことなので、記憶が曖昧になっていたかもしれないが、ちょっと義母にはつらいかもしれない。
 もっとも義母の方は行く気満々なので、途中休み休みでもゆっくり上がっていけば大丈夫だろう。
 しかし、寒さに結構堪えていたので、途中のレイトランでいきなり休憩していくことにした。
 時間は少し早いが、スープとソーセージで軽い昼食をとり、食べることで体が温まるように努める。
 いつもは観光客でオープンテラスは満席なのだろが、周りの人にも寒さが堪えるらしく、今日は誰も外に座っておらず、みんな店内で暖をとっているようだ。

 十分暖まったところで山頂を目指して出発するが、義母には登山道はちょっとつらかったかも。
 途中休みながら15分ほどで山頂に到着、雄大な景色に3人そろって感動する。
 前回回って思っていたのだが、スイスでの展望台では実はロートホルン山が一番景色が良いのではないだろうか。
 手前に湖が有るし、奥にはアイガー、メンヒ、ユングフラウヨッホの山々が見えて、景色に広がりが感じられる展望台だと私は思う。
 もっとも鉄系人間の私としてはSLが走っている点からも点数が高めになってしまうかもしれない。
 
 山頂で十分景色を堪能した後、再度登山道を降りて駅にむかうが、この後の予定はグリンデルワルドにむかうだけなので、特にあわてる必要もない。
 と言うかまた体が冷えたので、先ほどのレストランで再度暖をとって行くことにする。
 先ほどは軽食だったが、今回は飲み物のみで列車までの時間を適当につぶす。
 そのうち体も温まったので、併設する土産物屋を覗いてみるが、大したお土産でも無いのに結構いい値段である。
 妻と店内を覗いていると、まあまあ手頃と思われたのはルートホルン鉄道の機関車がでかでかと書かれた折り畳み傘くらいであったが、日本でこれを差して歩くのは、かなり勇気がいりそうな事から購入には至っていない。

 下りの列車はフルオープンのSLを避けて、ディーゼル機関車で運転される密閉式客車で下山する事にする。
 せっかくのSLなのにとも思ったが、寒さには勝てないのと、DLが先行するので、後続のSLの走行写真が撮れるのではないかとの判断もある。
 (とりあえず二人には紳士を装い寒くないDLを選択したように言っていたが、実は鉄系の判断が優勢されたのは秘密だ。)

 下り列車はさすがに密閉式のため車内は寒くなく、みんなSLに行っているせいもありガラガラだ。
 たまに窓を開ける分にはあまり周りに迷惑もかけなくて済みそうだ。
 下り列車の中ではみんな疲れたのかけだるい雰囲気が漂っているが、私の方は後続のSLの動向が気になり、良さそうな地点では適時写真を撮影しながら麓にむかう。
 麓の直前では民家のそばを通るが、住民の人が列車に手を振ってくれている。
 列車の沿線の家は庭がどれもよく手入れされていて、すばらしい庭ばかりなので、妻の方も「住民の人が手を振っているのも家の庭を見てってと言う感じ」と笑っていた。
 
 列車は無事に14時30分頃麓の駅に到着。
 預けていた荷物をコインロッカーから引き出し、インターラケン・オスト行きのIRの一等車に収まる。
 ブリエンツからインターラーケン・オストまでは20分ほどなのであっという間だ。 
 
 インターラーケン・オストで下車すると、グリンデルワルド行きの列車が接続しているのだが、ここの駅でこれから3日間使うユングフラウVIPパスを受け取らなければならない。
 列車の方は見送って、駅の切符売り場でバウチャーを提示し、無事パスの方を受け取る。

 次の列車まで30分あるので駅のベンチで時間をつぶすが、残念なことにこの時間は駅のホーム列車がおらず、普段なら荷物を見ていてもらって撮影タイムとなるのだが、それも出来ずじまい。

 しばらくするとグリンデルワルド行きの列車が入線してきたが、以前のブラウンをベースとした塗装からブルーとイエローの塗装に変更になっていた。
 以前の塗装の方がシックな感じで好きだったのだが、先日正面衝突事故を起こした関係でイメージチェンジを図ったのかもしれない。
 グリンデルワルドまでの区間はスイスパスが有効なのでせっかくだから一等車に乗車するが、多少座席のピッチが広いかなという程度で特に二等車と大きな差別化が図られていないようだ。

 列車の方は順調に進むが、この区間は両側に山が迫ってきているためあまり見通しが利かず、特にすばらしい風景と言うほどでもない。

 グリンデルワルドに到着するとホテルは駅のそばと言うか、ホームから直接エントランスに入れるため非常に近くて助かる。
 チェックインも問題なくすますと、私の部屋はアイガーが正面に見えるなかなかの部屋だが、妻と義母の部屋は線路側であまり風景には納得できないご様子。
 私だったら線路側も大歓迎なのだが、とりあえずこの日はそのままの部屋で翌日は交換すると言うことで話が付いた。
 
 部屋に荷物を置いてとりあえずグリンデルワルドのメインストリートの散策となるが、土産物屋が並ぶだけで特に見所は無いようだ。
 適当に通りを見た後はアイガーが正面に見えるオープンテラスで休憩し、途中にあつたCOOP(スーパー)で水やお菓子を仕入れる。
 手持ちの現金が心細くなったことから、観光案内所のATMで現金を引き出し、今後の事もあるので妻にカードでのキャッシング方法を伝授しておく。
 
 一度ホテルに戻って休憩下後は日没後に食事にでかけ、駅そばのレストランで夕食を取れば、本日の行動は完了となり、それぞれの部屋に戻るのだった。
 明日はユングフラウヨッホの観光だが、それ以外はどの辺を回るか計画を立てていなかったので天候と相談しながら決めることにして、早々と就寝するのであった。