2007年 5月31日 5日目 ブロッケン山撮影日

 この日の起床は5時過ぎで、別にあわてて起きる必要はないが、時差ぼけのせいか早めに起き出してしまう。
 横になっていてもこれ以上は眠れそうにないため、さっさと起き出してマルクト広場まで早朝の散歩に出かけるが、朝早いため通には誰もいない。
 天候の方は雲のない良い天気で、これならブロッケン山も晴れていることだろう。

 7時過ぎには妻も用意が整い、ホテルのレストランに朝食を食べに行くが、なぜか鍵がかかって開いていない。
 これは想定外で朝食抜きはちょっと辛いことから、まっすぐ駅に直行し駅の売店で朝食を取ることにしよう。
 とりあえず、ヴェルニゲローデ駅の構内に向かうと、売店は開いているが朝飯にするような物が売られていない。
 お菓子で代用するかと思案のしどころだが、バスターミナル側のカフェがやっていたため、そちらで朝食を取るが、このあたりで朝飯が食べられるのはここだけらしく、バスの運転手や鉄道関係者も朝食を食べていた。
 朝食後は早速ハルツ狭軌鉄道の駅にむかい往復券を購入。
 切符は裏にSLのイラストがかかれたが硬券だ。
 値段の方は観光地価格で往復24ユーロと、本線の終点ノルドハウゼンまでが片道8ユーロであることを考えるとかなり割高なような気がする。

 列車の出発は8時40分でブロッケン山行きの1番列車だ。
 出発までは多少時間があり、客車に機関車も連結されていないことから、駅に隣接している機関区の様子を撮影することにしよう。
 機関区に隣接したホームを進んでいくと、以前は無かったお立ち台が用意されており、機関区の様子が見下ろせるようになっていた。
 以前はお立ち台はなく、ホームの生け垣が切れたあたりから撮影していたが、見学者が多く事故防止のために用意したのかもしれない。
 機関区では石炭の燃えるにおいが漂ってきて、生きたSLで有ることが実感できる。

 機関区では煙を上げているのは動輪が5軸のタイプが4両でマレー式の小型機は火が落とされているようで煙を吐いていなかった。
 
 構内の様子をしばらく撮影した後、そろそろ出発時刻も近づいたことから、客車の方に席を確保する。
 車内はだいぶすいているようで6両の客車にそれぞれ4,5人の乗客のようだ。
 列車は定刻に発車し、一路ブロッケン山を目指すが、途中駅での停車時間が長く、35kmほどの道のりを1時間半掛けて進んでいく。

 最初の長時間停車はノルドハウゼンに向かう本線とブロッケン山に向かう支線の分岐するドライ・アイネン・ホーフェンで、給水設備があることからほとんどの列車がここで小休止を行い給水作業を行う。
 給水作業の完了後はノルドハウゼンに向かう本線から分岐してブロッケン山への支線に分け入る。
 線路の勾配の方もだんだん厳しくなり、機関車のブラストもずいぶんと苦しそうな印象を受ける。
 2度目の長時間停車はブロッケン山頂駅の一つ手前となるシーアケ駅で、ここで最期の勾配区間に向けて蒸気圧を上げるのか、10分ほど停車する。
 シーアケを出発すると後は終点のブロッケン山までノンストップだが、沿線の風景は線路のすぐそばまで木々が密生し、山頂の直前くらいまでは視界はあまり開けないのが残念だ。 
列車の方は定刻の10時20分に無事ブロッケン山頂に到着。
 前回訪れたときはブロッケン現象で有名なだけあり、深い霧で覆われていたが、今回は天気も快晴で山を上ってくる列車の撮影にも支障はなさそうだ。
 以前に訪れた時は霧が深くて山頂周囲の様子がどうなっているか全貌を把握できなかったが、今日は山頂を一周している道を撮影のロケハンを兼ねて歩いてみる。
 最初に訪れたのはブロッケン山の山頂のモニュメントだが、特筆するような事もないので適当に記念写真を撮ってから先に進む。
 このときの私は山頂からSLの写真が撮れる場所を探して結構必死となっており、あまり周りの景色をゆっくりと見て回る余裕はなかった。
 そろそろ乗車してきた列車が折り返す時間になることから、踏切がある多少開けた場所で折り返し列車を狙う。
 その後も山頂付近をウロウロしながら、撮影ポイントを探すが、どうも線路の有る方向が把握しきれない。
 線路の方は山をグルグル回って山頂駅に到達するため、正確な地図が無いと線路の有る場所の把握は難しそうだ。
 だいぶ時間を浪費し、結局良いポイントが見つけられそうにないとあきらめ掛けていたが、ふと見た標識に「魔女の祭壇」の表示があり、以前ここでの撮影に関した読んだ文献に魔女の祭壇近くで撮れる場所があるような記述が有ったことを思い出した。
 早速標識のある方向に向かうと向かいの山中に線路が見える。
 何とか撮影ポイントを発見して一安心だが、意外と距離があり、手持ちのレンズで対応できるのか別の問題が発生してきた。
 今回の手持ちのレンズの中では最大の望遠側は200mm(デジカメ一眼の特性として1.6倍の320mm相当)となるが、それでも正直望遠側が足りない印象がする。
 少しでも荷物を軽くしようとして重い300mmズームを置いてきてしまった事をこのときだけは後悔した。

 1本目の撮影の間、妻はちょっと離れたベンチで休んでいたのだが、このときとなりに座った現地のご夫婦の方に、旅行かと聞かれたので、3週間の期間で旅行に来ていると伝えたら、「まあ、とても短いわね」と言われてちょっとショックだったようだ。
 さらに小腹がすいたので非常食のスニッカーズを食べていたら、前を歩いていた幼児にスニッカーズを凝視されて非常に困ったりと、こちらが撮影に夢中になっている間にずいぶんと疲れる目にあっていたようだ。

 1本目の撮影の後は次の列車まで時間があることから、駅前のカフェで昼食にする。
 この日は二人ともシェニッツェルという牛カツをチョイスする。
 食後にカフェのトイレに用を足しに行くが、ここの小用のトイレは2つの便器の間が異常に狭く、ついたてもないことから隣の人と寄り添って用を足す羽目になるが、隣の爺さんがこっちをのぞき込まないかちょっとヒヤヒヤ物である。(のぞき込まれて鼻で笑われでもしたら当分立ち直れそうにないし・・・))
 カフェを後にすると、山頂で唯一見学出来る旧レーダーサイトを博物館に改装したブロッケン博物館の見学となるが、こちらはこのあたりの自然に関する展示がメインとなるため、あまり真剣に見学することもない。
 ブロッケン博物館の見学を終えると、再度山頂に上がってくる列車を撮影すべく、魔女の祭壇のあたりのポイントに移動。
 今度は妻も撮影してみるようだが、妻のカメラでは距離が有りすぎてちょっときびしそうだった。

 撮影後は先ほど上がってきた列車に乗り込み下山するが、14時前に出発するこの列車は途中のドライ・アイネン・ホーフェン止まりまりのようだ。
 ここでノルドハウゼンからの列車と接続するが、乗り継ぎ時間は丁度1時間となる。
 山頂でこの後の列車を待っても良かったが、そろそろ山頂も飽きた頃なので、なかなか雰囲気の良いこちらの駅に移動して時間を潰しても良いかもと思ったが妻はここでさらに1時間の待ち合わせが有ることにずいぶんご機嫌斜めのようだ。
 列車のダイヤは決まっているのでどうしようもないのだが、妻はここで私が列車写真を撮るために途中止まりの列車に乗ることを仕組んだのではと疑惑を持っているようだった。
 結果的には駅に出入りする列車の写真が撮れたのは事実だが、疑惑をもたれるのは心外だった。
 「だってしようがないじゃないですが、列車は途中で止まってしまうダイヤだし、その時いろいろ列車の出入りも有るようだし、結構開けてて写真も撮りやすいんだし、すべては結果オーライでたまたま写真のカットが多くなったと言うことなんですよ。」と言って切り抜けるが、なかなか信用してもらえないのは普段の行動パターンのせいなのだろうか?
 最後は16時前にドライ・アイネン・ホォーフェンを発車する列車に乗り込み、終点の一つ手前の西駅の方がホテルに近いので、こちらからホテルに戻る。
 
 この日の夕食はホテルのレストランが繁盛しているようなので、ここで食べてみることにしよう。
 私の方は トマトのスープにチキンのゴルゴルゾーラチーズのソースがけ、妻はクリームスープとパスタを注文。
 この日は団体客もあり店の方は大忙しの様だが、味の方はおいしくて地元民で繁盛しているレストランは外れがないと言うことが実感出来た。

 食後はまた明日からの移動に備えて荷物をちょっとだけまとめて置くが、細かいことは朝早起きしてしまうだろうから後回しにする。
 今日も睡魔がおそってきて10時前に外も明るいが撃沈してしまう。
 明日はベルリンへの移動だ。