2013年 7月12日 7日目 バーンポータールアン往復


パンーポータールアン行き 機関車はGEタイプ
 本日はウボンーチャーターニーからバンコクへ向かう寝台列車の中で目覚める。
 目ざめた時刻は5時過ぎで、昨夜の出発が1時間30分遅れていることから、バンコクへの到着もそれなりに遅れるだろうと考えていた。
 位置を確認すると、意外なことにバンコクまでそれほど距離がない、ドンムアン空港のそばまで来ている。
 この調子だとバンコクへは定刻で到着できそうだ。
 バーンスージャンクションのあたりでベッドを座席に戻し、夜が明けたばかりのファランポーン駅には、ほぼ定刻の6時過ぎに到着した。
 遅れるのが当たり前のタイ国鉄にしては予想外で、この列車は走行区間があまり長くないことから、相当な余裕時分を持っていたようだ。
 同席となった人たちと別れ、一度待合室に向かい本日の予定をどうするか考えることにしよう。
 
 一昨日から列車に乗るか、駅で列車を待っているだけの行程で大分疲れていたので、正直なところホテルで休みたいのが本音だが、こんな早い時間ではホテルにチェックインするのも難しい。
 それに本来の予定であれば、この後7時前の列車でバーンポータールアンまで往復することにしていたが、どうせ列車が遅れるので乗り継ぎは無理だろうと考えていた。
 しかしながら予想外の定刻での到着ということで、これはがんばって列車に乗り続けるべきとの神の啓示と思い、予定通りバーンポータールアンまで乗り鉄を続けるのだった。
 
 とりあえず荷物を持っての移動は面倒なので、駅構内の荷物預かり所に余計な荷物を預け、多少身軽になつてから切符を購入するため窓口に並ぶ。
 切符の購入後は朝食を仕入れるため、構内のコンビニでいつものごとパンと飲み物を仕入れて、ホームに向かうのだった。

 これから乗車する東本線系統のバーンポータールアン行きは、バンコク近郊ではなかなか乗車の難易度が高い路線で、平日に1往復のみの運行のため、金曜日の今日を逃すと今回の旅行では乗車することは出来ない。
 土日も運行していれば、明日に乗車日をのばしたいところだが、行程的に無理なのでがんばって本日乗車するしかない。

 本日の牽引機はタイ国鉄では最古参となるGE型で、最初の導入からまもなく半世紀になろうかという古い機関車であるが、それなりに整備が行き届いているようで、まだまだ結構な数の同型機が活躍中である。
 列車は定刻にプァランポーン駅を発車し、駅北側の東本線への分岐点で対向列車の信号抑止を受けた後、しずしずと東本線に進んでいく。
 分岐してすぐのマッカサンで対向列車の交換と、朝の通勤時間帯に掛かり始めたためかなかなか列車が進まない。
 車内は通学列車となっているのか、高校生がたくさん乗ってくる。
 東本線も軌道工事を進めているが、途中では軌道工事の作業員用の宿舎として日本から送られたキハ58を連結した工事列車が側線に止められていた。
 一瞥した限りでは、キハ58の車内は座席が撤去されているようで、会議室か食堂のような用途で使用されているようだ。

 途中からは3複線となり、対向列車待ちも無く快調に走っていくが、車内は通学の高校生で満員だ。
 それも途中のフアタケーではほぼ解消し、余裕の出てきた車内は大分落ち着きを取り戻して、東に向かって進んでいく。

 東本線の本来のメインラインであるアランヤプラテート方面の路線が分岐する、チェチェンサオジャンクションを過ぎると線路は南に進路を取り、比較的新しい複線の高架橋を走り、南に進んでいく。
 この区間を走る旅客列車は1日に1往復で、それ以外は周辺の港から陸揚げされたコンテナを積んだ貨物列車ばかりである。
 本来であれば、こちらの方が東本線の支線となるのだが、貨物列車が多数運行されることから、複線となっており軌道の整備状況も良好だ。
 
 列車は途中、県の中心チョンブリーやビーチで有名なパッタヤーを通過するが、基本的にバスの利用者がほとんどのようで、途中駅で乗り降りする旅客はわずかである。
 
 線路は比較的海岸に近いあたりを走る路線だが、海とはそれなりに離れているようで、途中車窓からはほとんど海は見られなかった。

マッカサン駅で対向列車待ち

工事列車となったキハ58

チェチェンサオジャンクションから進路を南に

重量貨物列車が走るので軌道の状態は良好に保たれている

パッタヤー駅
 列車は順調に走り、ほぼ定刻の11時30分頃、終点のバーンポータールアンに到着。
 構内の外れには客車に改造途中で放棄されたキハ58が大量に留置されていたが、周囲には雑草が生い茂り、放置されてから大分年月が経っているようだ。
 駅のトイレで用を足し、手を洗っているときに何気なく見た鏡に映る自分の顔は、煤煙と砂埃で真っ黒になって、ものすごいことになっていた。

 折り返し列車までは2時間程度あるので、とりあえず駅周辺の探検となるが、そろそろ水を補給したいと思っていたが、駅前には見事なまでに何もない。
 このままでは食事にもありつけそうにないので、駅前の道を進み大通りまで出てみると、駅前の道と大通りの交差点にローカル食堂があったので、食事して水も補給させてもらうことにしよう。
 ただこのあたりまで来る外国人はほとんどいないようで店の人はタイ語以外は全く理解できない。
 注文するのも難しいので、他の人が食べているものを指さして同じ物を注文する。
 水についてもクーラーにペットボトルのミネラルウォーターが有ったことからそれも注文し、料理ができてくるまでしばし休憩だ。
 駅からたいした距離ではないのにちょっと歩いただけで汗だくとなり、暑くて扇いでいたら店の人が扇風機を回して涼しくなる席を勧めてくれた。
 店では猫を飼っているようで、人見知りもせず、私の足下でじゃれてくるのがかわいいが、店の人に奥に連れて行かれてしまったのはちょっと残念。
 料理の方はチキンライスというかチャーハンなのだが、個人的には味付けと量がちょうど良く、なかなか満足の高い昼食となった。

 食後は駅に戻り、構内でブラブラしながら帰りの列車の切符が販売されるのを待つが、ホームでは野良犬同士で喧嘩を始めており、かまれないように離れたところで過ごすことにする。

バーンポータールアン駅

構内にはキハ58が集められ放置されていた

 帰りの列車は13時過ぎの出発で、バンコクまでは直線距離で120km程度なのだが、4時間以上かかる。
 発車の時点では車内はそれほど乗客もおらず大分ガラガラだが、なぜか私の向かいには怪しい感じの現地人がやって来た。
 風貌的にはピッピー風のタイの老人と言った感じだが、なぜ私のそばに座ったのかよく分からない。
 とりあえず警戒レベルをあげていくが、あえて座席を移るほどではないとして、そのままバンコクに向かう。
 途中の車内では、相席の老人と話すわけでもなく、ガン無視を決め込んで車窓を眺め、時たま来る物売りからタイ風のつくねに甘辛いソースをつけた串焼きなどを買ったりしながらバンコクを目指す。
 途中駅に停車するごとに僅かずつだが、乗客が増えチェチェンサオジャンクションを過ぎる頃にはほぼ満席な状態となっていた。

 そろそろ帰宅する人が増える時間のようで、行きで大量に学生が降りたフアタケーからは帰宅する学生が乗り込みかなりの混雑となった。
 列車の方はバンコクに近づくと今度は徐々に乗客を降ろし、若干遅れながらも無事ファランポーン駅に19時前に到着した。
 さすがに乗り続けて大分疲れたので、荷物預かり所から荷物を引き出すと、さっさと駅前のホテルに移動することにしよう。
 今夜のホテルはバンコク到着時のバンコクセンターホテルとは異なり、より駅に近い経済的な@ファランポーンホテルにしていた。
 経済的ホテルだが、比較的新しいようで内部は清潔な印象だ。
 ただエレベーターがないので、指定された部屋がある4階まで荷物を持って上がるのはちょっと面倒だ。
 部屋の方は、一応広い部屋にしていたので広さ的には問題ないが、設備的には貧弱な印象を受ける。
 もっとも寝るだけであれば清潔だし十分な感じだ。
 荷物を置いて休憩したら、夕食をとりにいくが、あまり遠くまで行く気力はないので、駅前にあり去年も利用した「てっちゃん食堂」に行くことにしよう。
 ここの食堂は日本語メニューがあるので、注文するのに悩まなくていいのが助かる。
 食後は途中のコンビニで飲み物を仕入れたら、ホテルに戻りGPSのログなどを整理したら早々に就寝するのであった。
 明日はバンコクで活動できる最終日だが、朝早起きしなくていいので大分気が楽だ。 


本日の移動経路