2015年 9月19日 シベリア鉄道乗車6日目


移動区間 ベース図面出典 Wikitrave

ЕКАТЕРИНБ П(エカテリンブルグ) モスクワ起点 1778km (営業キロ)

 ЕКАТЕРИНБ П(エカテリンブルグ)到着は3時(現地時間5時)過ぎということもあり、目覚ましで起きるものの、あんまり眠れなかったこともあり睡眠不足だ。
 イリヤ氏もここで下車するので起きだして、荷物をまとめだしている。
 
 ЕКАТЕРИНБ П(エカテリンブルグ)到着は5分早着の 3:16(現地時刻5:16)。
 イリヤ氏を見送りに一緒にホームまで降り、地下道の入り口で握手して別れる。
 ここの駅はロシア号からは結構な下車客があり、ホームがかなり混雑しているものの、乗車客は皆無のようだ。
 この辺りは下車客ばかりと早朝なので、KIOSKも開いていない。
 夜明け前のかなり寒いなか、先頭の機関車まで見に行ってみるが、特に交換する様な動きは見られないようだ。
 
 一応地下道を通って駅舎の方を見てみると、やはり荷物検査があるようなので、引き返し隣のホームに上がってみる。
 こちらには東行きの下り列車が到着しており降車、乗車ともかなりの人数がいるようだ。
 乗車客が多いこちらはKIOSKも商売になるらしく早朝なのに開いていた。

 地下道で戻ろうとすると、入り口の扉の前で先行していたおばさまが私に開けろとアゴで指図する。
 ちょっと荷物が多そうだから手伝おうかと思っていたが、あからさまな態度にちょっとカチンとくる。
 一応開けてあげたがお礼もなく、感じが悪いな。

 そういえばイリヤ氏との話で、ロシア人に親切にしてもらっていろいろ助かったという話をしていたら、地方はホスヒタリティにあふれるが、セントラルに近づくと殺伐としてるような事を行っていたな。
 まあ極東に比べれば、ここもはもうほとんどセントラルと行って良いような場所なので、人々がギスギスしているのかもしれない。
 

ЕКАТЕРИНБ П(エカテリンブルグ)停車中のロシア号

ЕКАТЕРИНБ П(エカテリンブルグ)駅構内

ЕКАТЕРИНБ П(エカテリンブルグ)駅舎

ЕКАТЕРИНБ П(エカテリンブルグ)駅構内

いつもの朝食

 ЕКАТЕРИНБ П(エカテリンブルグ)でも打音検査は行われていたが、給水作業などはなく。
 列車に戻ると定刻で出発した。

 外から戻ると暖かい車内にほっとする。
 風邪の方は大分回復しようで、鼻水は出るものの喉の痛みは大分柔らいでいた。

 出発してしばらくするとナディア車掌がベッドを片付けにくる。
 相変わらず手際がいいと感心していると昨日に引き続き、枕を上の棚に上げてほしいと頼まれるので手伝っておく。

 早起きしたのでその分朝食も早めにするが、メニューはいつもと変わりない。
 ただ黒パンは買って日にちが経ってきているので悪くはなっていないようだが、多少堅くなり始めている。
 もともと結構歯ごたえがあるため堅くなって噛み切るのが大変になってきたが、今回の朝食で全部食べきる事が出来た。

 外が明るくなるとキロポストは1700km台のようだ。
 後で気がついたが、ウラル山脈を越えるヨーロッパとアジアの境界となるオベリスクを通過した後のようだ。
 もっとも通過時は暗いので見ることは出来ないが、これでヨーロッパに入ったことになる。
 
 周辺はまた若干山がちな地形となり、川や沼などが見られる中を快調に進んでいく。
 そろそろモスクワ到着まで、1日を切ったようだ。
 相当長そうだと思ったロシア号の旅も残りが1日を切ると何となく切なくなってくる。
  

1500kmキロポスト
 
 途中2000kmキロポストは夜間で撮影できなかったため、1500kmキロポストを写しておく。
 でもよく考えたら、1500kmは相当遠いはずだが、感覚が麻痺してきているのか随分短くなったように感じてしまう。

 
ПЕРМЬ 2(ペルミ2) モスクワ起点 1397km (営業キロ)

 本日最初の日中の停車駅はПЕРМЬ 2(ペルミ2)で、定刻の9:16(現地時刻11:16)に到着。
 時差がある駅はここが最後となり、次の駅からは時差2時間が解消して、モスクワ時間となる。
 天気は若干の小雨となっているがたいしたことはない。
 7号車からはここで2名の乗客が下車となる。
 全体的に下車客ばかりで乗車客は見かけなくなってきた。

 構内の跨線橋に上がってみると、停車中の軍用列車がある。
 まともにカメラをむけるとやばそうなので、そちらの方は余り写らないように適当に写真を撮る。
 跨線橋上に長くいると目を付けられそうなので、ロシア号が停車しているホームにすぐ戻る事にしよう。
 駅舎を見ていたら、なぜか日本の100系新幹線のイラストを使用したカフェの看板を発見。
 何でこんなところにと思うが、余り深く考えていないだけかもしれない。

 ПЕРМЬ 2(ペルミ2)を出発すると先ほどの軍用列車が見えてきたので、車内からこっそり撮影する。
 乗せられていたのは、トラックと装甲車で、トラックの荷台には多連装ロケットランチャ−が搭載されているような感じだ。
 さすがに大戦時のカチューシャロケットとは形状が違うようなので、後で調べたところBM-21 122mmロケットランチャーの模様だ。
 装甲車もBTR系列の様だが、マフラーの形状を元に調べた結果、大分古いBTR−60PBだった。
 BTR−60はその後改良されて70,80,90と発展してきているので、さすがに1線級の装備ではないと思われる。
 どちらにしろ1960年代の装備なので半世紀前の兵器となるため相当古そうだ。

 駅を出るとすぐにカマ川を渡る。
 こちらもなかなか川幅が広く大きな川であった。
 そういえば今日は保線作業を行っていないようで、全く見かけない。
 恐らく土曜日なので休みなだけかもしれないが・・・・
 お昼前には恐らく最後となる車内清掃があり、室内に掃除機をかけてもらう。

 ロシア号最後の昼食は日本から持ち込んだカップそばで、これをもってカップ麺は終了となる。
 食料は後は非常用のカロリーメイトとインスタントのマッシュポテトしか残っていない。
 今夜の夕飯は最後なので食堂車に行くことにしておく。

ПЕРМЬ 2(ペルミ2)駅舎

ПЕРМЬ 2(ペルミ2)駅構内

ПЕРМЬ 2(ペルミ2)駅舎

ПЕРМЬ 2(ペルミ2)構内のカフェ 100系新幹線のイラスト

軍用列車

カマ川

昼食のカップソバ

БАЛЕЗИНО(バレズィノ)駅駅舎
 
 さすがにもう相席となる乗客は来そうもない。
 明日朝のモスクワまでは一人で、部屋を専有できそうだ。

 ボケッーと車窓を眺めていると、今度は戦車を積んだ列車とすれ違う。
 さすがにカメラも用意していなかったので、撮影は困難だ。
 こちらの方は、リアクティブアーマーを配置したT-72のようで、T-80や90とは明確に異なるようだ。
 
 
БАЛЕЗИНО(バレズィノ) モスクワ起点 1154km (営業キロ)

 本日に日中2度目の停車駅はБАЛЕЗИНО(バレズィノ)で定刻の13:32に到着。
 ここはもうモスクワのタイムゾーンなので、時差は無くなる。
 小雨がぱらつくが大した雨ではなく、気温も15度これまでに比べると大分暖かい。
 構内の架線を確認すると、碍子の段数が多いので電圧の高い交流電化区間のようだ。
 当然機関車を交換するだろうから、先頭に行ってみるとМАРИИНСК(マイリンスク)からここまで、1日半牽引してきたЭП2К(EP2K)型が切り離されて引き上げていくところだ。
 代わりにやってきたのは、チェコ製のЧС4(ChS4)型でカラーリングと運転席の窓の造形から、映画のアイアンマンを彷彿とさせる。
 デザインも旧東側らしく凶悪な感じがしてある意味好感が持てるが、見ている限りだとずいぶんと馬面な印象を受ける。

 機関車の交換が終わったので、駅構内に目を転じるとなぜか構内に置かれた販売用のワゴンにはぬいぐるみが売られている。
 どうやら飽きた子供をあやすための物らしく、ここでの名物となっているようだ。
 ただし降車客ばかりとなっている上りロシア号ではぬいぐるみ売りは商売しないようで、お菓子や食料のワゴンしか開いていないようだった。

 適当なところで自分の車輌に戻るが結構野良犬が多い。
 後ろの車輌を担当している車掌さんが買い物帰りに餌をねだられて難儀していたようだ。

 БАЛЕЗИНО(バレズィノ)を定刻で出発すると次はロシア号最後の日中の停車駅КИРОВ ПАСС(キーロフ パス)で到着は3時間後だ。
 最後となるであろう明るい時間帯の車窓を楽しんでいるといつもより早い15時過ぎに車掌2人組による車販の突撃を食らう。
 ここ2日ばかり来ていなかったので油断していた。
 この時は通路との扉を開けっ放しにしていたため、いきなり懐に飛び込まれてしまったが、アイスならいらんぞと思っていたところ今回はお土産品の販売だった。
 なかなか商売熱心なのは結構だが、いつものようにやり手婆が座席に陣取り、商品の説明を始めるが正直ろくな物がない。
 最初はむちゃくちゃなデザインのマグカップを勧めて来るが、速攻で却下する。
 次にマスコットのぬいぐるみと来るが、こちらも鞄から出して持っているとアピールする。
 次々と繰り出してくる商品を却下して今回は勝負あったなと思われたが、満を持してやり手婆が奥の手として繰り出してきたのはロシア号限定の懐中時計であった。
 噂には聞いたことはあったのだが、本当に売っていたんだと驚きつつ見せてもらう。
 時計自体はチープな感じなのだが、ロシア号限定ということとチープな時計に目がないことから、思わず食いついてしまう。
 値段を聞くと2000ルーブル(3600円)との事で意外と安いので即決で購入。
 後は何かおもしろそうな物は無いか、商品を入れているダンボールを見せてもらうと、ロシア鉄道のボールペン(200ループル、360円)があったのでそちらも購入する。
 二人組もそれなりに売れたので満足して引き上げていった。
 

БАЛЕЗИНО(バレズィノ)で交換中の機関車 ЭП2К(EP2K)型

БАЛЕЗИНО(バレズィノ)で交換中の機関車 ЧС4(ChS4)型

構内のぬいぐるみ売りのワゴン

БАЛЕЗИНО(バレズィノ)で出発を待つロシア号

野良犬に餌をねだられる車掌さん

1000kmキロポスト

999kmキロポスト

 二人組が引き上げた後はまた車窓を眺めて過ごすが、また戦車を積み込んだ軍用列車とすれ違う。
 今回も先ほどと同じT-72系列のようだ。
 こんなに軍用列車を走らせてといるとうことはどこかで演習でもやっているのだろうか?
 КИРОВ ПАСС(キーロフ パス)到着の30分ほど前に、1000kmキロポストを通過し、残りの距離がついに百キロ台となる。
 ついでに999kmのキロポストを撮影しておくが、この後は日が傾いてきているので、速いシャッタースピードでの撮影は困難となりそうだ。

КИРОВ ПАСС(キーロフ パス) モスクワ起点 917km(ウラジミール経由短絡線営業キロ)  
 本来のシベリア鉄道のルートであるЯрославль(ヤロスラブリ)経由だと957km (営業キロ)


 ロシア号最後の日中の停車駅КИРОВ ПАСС(キーロフ パス)には3分早着の17:06に到着。
 構内の温度表示も20度大分暖かい。
 この分ならモスクワはそれほど寒く無さそうだ。
 機関車の交換などは行われずそのまま運転するようだ。
 大きな分岐駅のため運転上の拠点となっているらしく、打音検査と給水作業を行っている。
 それなりに大きな街の様で駅前はそれなり賑やかな様子だ。

 列車はここからウラジミール経由の短絡線に入るため、本来のシベリア鉄道のルートからは外れることとなる。
 次に明るい時間帯ににホームに降りるときはモスクワの降車時となりそうだ。
 長いように感じたロシア号の旅もあと半日で終了だ。

 いつもと同じように定刻の5分前には車内に戻り、定刻に駅を出発する。
 7号車も大分乗客が降りてしまって半分以上が空室になってさびしくなってしまっている。
  

КИРОВ ПАСС(キーロフ パス)駅構内

КИРОВ ПАСС(キーロフ パス)駅駅舎

КИРОВ ПАСС(キーロフ パス)に停車中のロシア号

КИРОВ ПАСС(キーロフ パス)駅前広場

 最後の夕食ということで食堂車に行ってみると余り混雑していない。
 いつものウェイトレスさんがやってくるが、最終日なので余り出せる料理がないらしい。
 メニューを指さし聞いてみると、その都度厨房に聞いて、結局のところキノコと鶏肉のサラダに最初に食べた豚肉のロースト、ライス添えに落ち着く。
 明日の朝のモスクワ到着は朝早いため、朝の営業はないし、食堂車は営業が終われば後は下車の準備になるのだろう。
 出てきた料理は最終日のため、おまけをしてくれたのか豚肉の大きさが前回に比べるとかなり大きかった。

 沈みゆく夕日を長めながら、ちょっと感傷的になりつつも食事を済ます。
 思い返せばあっという間の1週間だった。
 当初は飽きるかと思った車内の生活もまだまだ飽きそうにないし、また機会が有れば乗りに来たいと強く思うのだった。
 
 食事を済ませたら自室に戻り明日朝の下車に備えて、荷物の整理をしておく。
 基本的に明日の朝食のカロリーメイトと紅茶などを残して、バッグに荷物をしまうと乗車前は食料でふくれあがっていたバッグにも相当余裕が出てきている。
 
 整理が済んだら、本日最後に下車しようと思っていた。Н.НОВГОРОД (ニジニ・ノヴゴロド)まで仮眠を取らせてもらう。


Н.НОВГОРОД (ニジニ・ノヴゴロド) モスクワ起点 461km (営業キロ)

 到着前の22:50ごろ起きだし、Н.НОВГОРОД (ニジニ・ノヴゴロド)への最後の下車に備える。
 途中の停車駅自体は、もう一駅有るのだが深夜のためそこでは降りるつもりはないので、ここが最後の駅となる。
 車掌さんは夜の担当に変わっており、明日には交代しているだろうから有る意味これでお別れのようだ。
 挨拶程度であんまり話はしなかったけど、いろいろとお世話になっててはいるので、最後かと思うとちょっと寂しい。
 Н.НОВГОРОД (ニジニ・ノヴゴロド)には定刻の到着で、ウラジオストク以来の高床式ホームで、ドアだけ開けてデッキは降ろさずにホームにでる。
 列車を降りてきているのは、私だけのようだ。
 構内には列車に注意を喚起する看板らしき物が掲げられているが、ここでもイラストに使われているのはドイツの103型と思われる機関車でロシアの物ではない。
 何で自分のところの列車を使わないのだろう?
 まさか旧ソ連時代は鉄道が軍事機密扱いだったので、国内の人間でも参考用の写真が撮れず、西側の写真を参考にしていたのではあるまいななど考えてしまう。
 どちらにしてもなかなかぶっ飛んだセンスしている様だ。

 最後の停車を堪能すると、車掌さんに俺お礼を言って車内にはいる。
 発車後にはすぐ休むことにするが、明日は6時到着なので5時過ぎには起きるようにしないと・・・・

キノコと鶏肉のサラダ(マヨネーズ味)

豚肉のローストライス添え

Н.НОВГОРОД (ニジニ・ノヴゴロド)駅構内

列車に注意?の看板