2015年 ロシア・シベリア鉄道旅行記
プロローグ

 今年は長年の目標であるユーラシア大陸の東西を鉄道で結ぶ計画を完了させるべく北の大国ロシアに渡り、シベリア鉄道のウラジオストクからモスクワまで踏破することにした。
 ヨーロッパ側の乗車区間はドイツから西側については最西端のポルトガルのリスボンにつながっているが、今回のシベリア鉄道だけではまだロシアからドイツまでは未乗車区間が残ることになる。
 そちらについては来年以降にチャレンジすることにして、今回はもっとも難関といえるシベリア鉄道の乗車に専念することにした。
 シベリア鉄道のウラジストク〜モスクワ間だけで約9300kmも距離があり、途中下車せずに乗り通したとしても6泊7日も掛かるため前後の移動日を考えるとあまり余裕のある行程を組むことが難しそうだ。

 1月頃より行程を組立て始め、費用の圧縮を図るため成田→ウラジオストクについては、ネットで最安値をつけていたS7航空、帰りのモスクワ→成田については貯まっているマイルを使いJALの特典航空券を利用してビジネスクラスで戻ってくることにした。
 特に今年の4月以降はJALの特典航空券は片道だけでの利用も可能になっているので無駄にするマイルが発生しないのがうれしいところである。
 ただ日本〜ロシア間の航空便はアエロフロートを除き毎日運行ではないのでなかなか予定が立てにくく、結局ウラジオストクの観光はあきらめモスクワのみ1日半の観光ができるように予定を組むのが精一杯であった。
 また初日のウラジオストク到着は現地時間の19時過ぎで、空港から市内までは連絡鉄道があるものの市内行きの終電は20時となっており入国審査がすんなり終わるとは思えないので乗車するのは難しそう。
 空港でのその他の交通手段はタクシーしか無く、ロシア語での交渉は困難であることと夜間であり治安面で不安があるため料金的には安くは無いがホテルまでの送迎をつけることにした。

 シベリア鉄道の方はウラジオストクからモスクワまで乗車することから最も所要時間の短い看板列車のロシア号を押さえる。
 ロシア号は2日に1度偶数日の運行で、特急相当のロシア号の他は毎日運行される快速相当の列車があるものの停車駅が多くまた途中の停車時間が長いためモスクワまではロシア号よりも1日余計に時間がかかる。
 ロシア号の座席の方は基本的に全車寝台で1等から3等まであり、1等は下段ベッドを向かい合わせた2名の個室、2等は2段ベッドが向かい合わせの4人用個室、3等は日本のB寝台の様にオープン席となるが、詰め込むために枕木方向のベッド区画の他に通路を挟んだ反対側に線路方向のベッドが配置されるためちょっと窮屈そうな印象を受ける。
 ネット上の旅行記を読むとロシア人との交流がそれなりにある2等と3等だが、下戸でアルコールNGの私は飲んだくれのロシア人に囲まれるのは正直勘弁してもらいたいところなので奮発して1等車にすることにした。
 1等車でも完全な個室とはならないが、最初から終点まで乗り通すロシア人はいないだろうから、ある程度の区間は1人になるのではないかと淡い期待もある。
 本来であれば途中のバイカル湖畔の都市イルクーツクで1泊して風呂に入りたいところだが、行程がタイト過ぎて何らかのトラブルがあった場合は行き詰まるため覚悟を決めて1週間乗り続けることとした。

 7月末には航空券、列車、ホテルの予約が完了し、いつもの旅行なら準備完了となるところだが、今回は旧共産国の親玉でありかつての鉄のカーテンの向こう側となるためVISAが必要となりその取得方法にはいろいろと制約があるようだ。
 普通の国ならVISAが必要でも小銭稼ぎの入国税みたいなものなので大使館に行くなり、到着した空港でアライバルビザを取得すればよいが、ロシアの場合はソ連時代の伝統なのか観光ビザでも現地で登録されている旅行代理店の発行した全行程の予約が終了して払い込みが完了していることを証明するバウチャーがVISAの申請には必要となる。
 このバウチャー制度がネックとなり、個人旅行でロシアに入国するのはなかなか大変そうだ。
 ネット上の先人たちの情報から個人で手配したケースでもバウチャーを作成しVISA申請をしてくれる代理店があるようなので、私もそれにならい申請を代理店に依頼することにした。
 ただ制度上はグレーゾーンの様な気もするが、ネット上では問題となったとの情報も無いことからそんなに気にしなくても良いかもしれない。
 その他にも到着地や移動先での滞在登録が必要らしいなど共産主義的監視社会の賜といえるようなシステムとなっており、基本的に観光客には来て欲しくないというか、全員スパイとして扱っているようにも思える。
 とにかくロシア旅行は情報が錯綜気味で調べてもなかなか確信が持てないのが旅行者泣かせ国である。
 不安がある場合はロシア旅行を取扱う旅行代理店のツアーを利用するのが正解なのかもしれないが、お値段の方もだいぶお高いのとツアーでは自力でシベリア鉄道に乗ったとの達成感が無さそうなので利用する気にはなかなかなれない。

 8月の中旬にはVISA申請も無事終わり、後は1週間車内に引きこもることになるので、暇つぶし用のグッズや車内で必要なるであろう物資の調達を行いつつ出発の日を待つのであった。


行 程 図



  1.ウラジオストク移動日

  2.シベリア鉄道1日目

  3.シベリア鉄道2日目

  4.シベリア鉄道3日目

  5.シベリア鉄道4日目

  6.シベリア鉄道5日目

  7.シベリア鉄道6日目

  8.モスクワ到着日

  9.日本帰国日

  シベリア鉄道資料編